<aside> 💡 このページではNFTについて解説しています。
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前章ではStablecoinについて触れました。本章ではニュースで目にすることも多くなってきたバズワードである「NFT」に触れていきましょう。
本節ではNFTの技術的な仕組みを説明する前に、どういった領域でNFTが利用されているかの事例を紹介しまずは興味を持ってもらうところから始めたいと思います。
**2021年3月、美術展オークションハウスの老舗クリスティーズに出品されたbeeple氏の「The First 5000 Days」という作品が75億円を超える価格で落札されました。**このニュースはメディアにも取り上げられデジタル絵画に着いた価格としては過去最高額として大いに話題となりNFTブームの火付け役となりました。
参考:クリスティーズ, beepleのNFTがNFT史上最高額70億円超えで落札
参考:The Wall Street Journal, beeple NFTが70億で落札された記事を掲載
beeple氏は10年以上毎日1つアート作品を制作し続けているアーティストでこの作品は彼が過去に作った作品を並べたコラージュ作品です。beepleというアーティストの特性を表した彼にしか作れない唯一無二な作品であることと、この作品がNFTになり世界に1つしかないことが証明されているためにこれほどの価格がつきました。
Beeple Everydays - The First 5000 Days 出典=クリスティーズのウェブサイトより
beeple氏のNFT販売事例を皮切りに著名なアーティストもNFTの販売を始め眼を見張るような高額な価格で飛ぶように売れていったのが2021年の前半の出来事です。有名な匿名画家バンクシーの作品もNFT化されて登場するも、匿名であるがゆえに偽物が先に登場してしまい偽物の方が高く売れる事態が起こりました。初期のNFTの混乱状況をよく表している事例だと思います。
参考:偽バンクシーがNFTアート作品を1億円以上売り上げる 本物バンクシーの法定後見人は関与否定
参考:本物のバンクシーも作品をNFTトークン化, 4千万で落札される
アート作品が高額で売買されることは納得できるかもしれませんが、CryptoPunksという24×24の誰でも描けそうなドット絵の作品が**$11.8Mで落札され**、こちらも大いに話題になりました。
参考:Rare ‘Alien’ CryptoPunk fetches $11.8 million in Sotheby’s auction
$11.8 Mで落札されたCryptoPunks
参考:CryptoPunks とは
CryptoPunksのNFTはAIによって自動生成された24×24のドット絵のNFTシリーズです。様々な見た目をした1万枚のNFTが発行されており、見た目がレアなほど高額で売買されます。$11.8Mで落札されたPunksは1万体の内、9体しか存在しない「宇宙人」という属性を持っており希少であるがゆえ高額で売買されました。
CryptoPunksのドット絵自体にそこまでの価値はありませんが、**Ethereum上で最初に発行されたNFTプロジェクトと言われているNFTシリーズです。**ブロックチェーンを参照することで時系列を確認することができるのでどれが最も古いNFTであるかを知ることができます。ブロックチェーンの歴史はまだまだ浅いですが、人類が最初に書いた壁画に歴史的価値があるのと同様に、「古いものに価値がある」という現代の価値観を継承するならばCryptoPunksはいずれ歴史的な価値を持つNFTになっていくでしょう。
高額で売買され歴史的な価値の高いCryptoPunksは最も有名なNFTの1つです。NFTに詳しい人でPunksを知らない人はいません。そして、そのNFTを持っているということは早くからNFTの可能性に気づき、先見の明を持っていたイノベーターであることを示す称号となり、NFT界隈から尊敬を集めることができます。これは現実世界で富の象徴とされるロレックスやランボルギーニを所有してまわりに「すごい」と思われる感覚に近いものです。
NFTの事例として挙げられるのがTwitter創始者の最初のTweetが300万ドルで落札された事例ですが、これはNFTの説明を難しくしている良くない事例だったかもしれません。
https://twitter.com/jack/status/20?ref_src=twsrc%5Etfw">March
中央集権的なサービスであるTwitter上のTweet自体がNFTによって販売できるようになったわけではありません。TweetはDBに保存されたデータであり、Twitterがサービスを停止すれば無くなってしまうデータです。