まずは、登記直前の学生時代のことについてお話させてください。

登記から10周年と言いつつ、"起業っぽいこと"を始めたのはさらにその半年前の2012年、大学4年目の夏休みに遡ります。

なけなしのお金で買ったMacbook airに向き合い、なんだかwebサービスが作れそうな気がするプログラミング言語・phpを独学して、日光の当たりにくいワンルームで1人黙々とキーを叩き続けていました。そこで作った「写真共有サービス coco」のリリースが株式会社cocoの最初の一歩目でした。

理系学生時代に崩れ去った夢

そもそもですが、大学入学当初から「起業しよう!」と思っていた訳ではありません。

高校生くらいの頃から、僕の中で「あらゆる物理法則さえわかれば、世の中のあらゆる課題が解決できるのではないか」という仮説がありました。なので大学受験では物理系の学科を選び、将来は企業か大学かで物理に関する研究をしようと考えていました。

しかし、大学で授業が始まってすぐに「あらゆる物理法則さえわかれば、世の中のあらゆる課題を解決できる」という壮大な仮説はあっというまに崩れ去ります。厳密には僕は未だにその仮説自体は正しいと思っていますが、「あらゆる物理法則がわかる」という部分に自分が生きている間にたどり着くことはどう考えても不可能だという超当たり前なことに気づいたのでした。

国際NPO法人 AIESECでの活動とfacebook

「物理で全てを解決しよう!」と思っていた一方で、実際の社会問題にもっと直接触れてみたいと思っていた自分は、大学1年目の夏休みを利用して国際ボランティアに参加したり、そのボランティアや海外インターンシップの仲介を行う国際NPO法人 AIESEC での活動にも精を出していました。

その活動自体も非常に有意義でやりがいのある楽しいものでしたが、結局その後のキャリアにもモロに響くくらい衝撃的だったのが2010-11年当時急速に日本でも広まりつつ合ったfacebookの存在でした。

AIESEC では、世界中に支部がありそこに所属する世界中の仲間と協力しながら活動を進めます。そのため必然的にfacebookでも海外の友達が増えていきます。

その国際的な活動と「グローバルな実名制SNS」というfacebookの性質が非常に良くマッチしていましたこともあり、facebookは国際NPO団体の活動の効率を大幅に高め、とても大きく成果(≒世の中の課題解決)に貢献しているように思えました。

そんなfacebookを見て、「これから世の中の課題を解決していくのはfacebookのようなITベンチャー企業なんだ!」と、当時純粋な感動を覚え、また自分も(詳しくは何もわかっていなかったですが)facebookみたいなことがやりたい!と思うようになっていきました。

先輩起業家との出会いと、映画「ソーシャル・ネットワーク」

また、当時所属していた国際NPO法人の活動の一環で、IT起業している経営者の方に会う機会が何度かありました。

当初は「”社長”といえば何だかものすごい人」と勝手にイメージしていましたが、実際に話した経営者の人たちは、想像していたよりずっと”普通”(っぽい見た目)で、キャリアの選択肢の一つとしての「起業」が何となくですが生まれていきました。

更に、2011年頃にfacebookを題材にした映画「ソーシャル・ネットワーク」が公開されます。あれは映画として話が色々脚色されているのだと思いますが、facebookを学生が立ち上げていく様を見て、僕の中での「facebookみたいなことをやりたりたい」「そのために起業したい」「自分も出来るかもしれない」という想いはとても強くなっていきました。

オレもfacebookを作りたい