1. 「文系」学部でのプログラミング教育について

心理学専攻の多くは「文系」の学部にありますが,「文系」学部における実験心理学の専門教育にとって,実験プログラミングスキルの教育は大きな壁となっています。今回は,「lab.js」というソフトウェアを用いることで,この問題点を改善できないかについて考えてみたいと思います。

心理学実験に必要なプログラミングの難しさ

心理学の実験では,刺激の描画,時間制御,反応計測等のためにプログラミングを用います。これらのプログラミングを行うために,細川ら(2009,2010)では,以下の3つのスキルが必要だと指摘しています。

心理学実験に特有のソフトウェアやライブラリに関する情報は日本語の情報が少なく,一般的なプログラミングのコードと組み合わせて学習する必要があるので,初学者にとってはハードルが高いです。

「文系」学生へのプログラミング教育環境

「文系」の学部では,卒業研究の開始時までに,プログラミングの教育は十分に行われていません(行われても,初歩的なC言語)。

また,学生の多くは情報系の就職先を希望しているわけではないので,プログラミングスキル習得へのモチベーションもそれほど高くはありません。

このような状況で卒業研究に必要な実験プログラミングスキルを習得させることは,教員にとっても大きな負担となります。

2.心理学実験プログラミングのための考え方

心理学実験のプログラムを作るには?

心理学実験を作成する際に必要な考え方について見ていきたいと思います。

中嶋ら(2016)は,実験プログラムをパーツに分けて考える重要性について指摘しています。その指摘を参考に,実験をパーツに分解し,コードに割り当てるプロセスについて以下に示しました。

パーツの分け方は,実験プログラムの作成環境にも依存しますが,例えば,刺激の描画,画面の呈示,反応計測等のパーツに分けて考えることができるでしょう。そこに論文等に記載のパラメータを割り振ります。