すべての作業をつなげる、デザインチームのためのプロジェクト管理システム
デザインプロジェクトは、ロゴの微調整からデザインシステム全体の大幅な改編まで、多種多様です。Notionのこのシステムは、すべてのツールとチームをまとめてくれるので、デザイナーはプロジェクト管理に煩わされることなく、目の前の仕事に集中できます。
- ここで学べる情報
- デザインチームには専用のプロジェクト管理システムが必要
- デザインチームのプロジェクト管理システムの構築
- 1. ひとつのデータベースですべての取り組みを管理
- 2. データベースのカスタマイズ方法
- 3. プロジェクトに関する情報を集約
- 4. プロセスに応じたテンプレートを作成
- 5. デザイナー向けのベストプラクティス
便利で使いやすいプロジェクト管理システムがあれば、タスクの進捗確認や、期限、ToDo整理などの管理業務に時間を浪費するのではなく、デザイナーは大事な仕事に集中することができます。
ここでは、Notionでデザイナーに特化したプロジェクト管理システムを構築する方法を紹介します。 この仕組みを活用することで、フィードバックを反映しつつ、部署を跨いだプロジェクトをうまく推進することができ、ひいてはユーザーにとってより良いプロダクトを生み出すことができるようになります。
データベースが改善されました!
このガイドで紹介しているコンセプトは変わらず有効ですが、ツール内の特定の操作に関しては少し情報が古い可能性があります。データベースは2022年3月にリニューアルしたため、ビデオ内の画像や説明は実際とやや異なる場合があります。データベースの新機能や変更点についてはこちらのガイドをご参照ください。
ここで学べる情報
- 1
効率的で透明性のあるプロジェクト管理とロードマップのデータベースを構築する方法
- 2
データベースをタグとビューで整理し、必要な情報を簡単に見つける方法
- 3
Notionのデザインチームによる、プロジェクト管理のためのベストプラクティス
以下のようなデザイン全般のプロジェクト管理システムを、すぐに作成できるようになります。
デザインチームには専用のプロジェクト管理システムが必要
プロジェクトマネジメントの観点から見ると、デザインの仕事には特有の課題があります。
利用するツールが多すぎる: デザイナーがファイルを見失ったり、作業をやり直したり、必要なものを見つけるために時間を使う事が多くあります。
プロセスに一貫性がない: 問題点の確認からアイデア出し、複数のドラフト作成に至るまでのプロセスが定義されていないと、デザインの価値が下がってしまいます。これは、チームが成長するにつれて特に顕著です。
フィードバックの整理が大変: デザインチームは部門を超えて仕事をすることが多いため、フィードバックを収集する場所が散在していると対応漏れが生じやすく、他のチームが自分たちの意見が考慮されていないと感じてしまいます。
Notionでは、チームのニーズに合わせてプロジェクト管理システムを完全にカスタムすることができます。
全てのツール、作業内容、フィードバックを一か所に集結: Notionのページには、FigmaやFramerなどのプロトタイプ、Invisionのデザイン、画像、動画などを埋め込むことができます。それに加え、ページ内でコメントやディスカッションもすることが可能です。プロジェクトのステータスを追跡するだけでなく、プロジェクトに関連する情報が集約されているので、すぐに情報にたどりつくことができます。
プロセスを定義して、プロジェクトのステップを記録: シンプルなロゴの開発からデザインシステム全体の修正まで、チームに合ったプロセスを作成し、すべてのプロジェクトを完全に可視化した状態で進めることができます。
関連する情報のみを表示: デザインのプロジェクトを管理する上では、多くのステップやニュアンスの異なるプロセスがあるため、情報にあふれかえってしまいます。しかし、Notionでは担当者別のプロジェクトや、今週の実施予定など、同じデータベースを自分の好きなように切り出して見ることができます。
では、Notionを使うことによるメリットとは何でしょうか。
Notionは、一貫したプロセスを設定することで仕事の質を維持しながら、透明性の高い文化を醸成することで、デザインチームの成長を加速させます。
デザインチームのプロジェクト管理システムの構築
プロジェクト規模に関係なく、関連するすべてのチームを1つのシステムで管理することができます。以下では、デザイナーに特化したおすすめのポイントを踏まえた、プロジェクト管理システムの作り方を説明します。
1. ひとつのデータベースですべての取り組みを管理
Notionでは、テーブルやカレンダー、リスト、ボードなど、さまざまなデータベースを作成することができます。ここでは、ボードを中心に説明します。ボードは、プロセスのステップを表現することのできる、複数のプロジェクトの集合体です。
/
を入力するとすべてのメニューが表示されます。これは「スラッシュコマンド」と呼ばれ、Notionのすべての起点となります。/board
と入力してボード:フルページ
を選択し、新しいボードだけが入ったページを作成します。作成されたボードの上部には列が表示されています。この列はデザインプロセスの各フェーズを表します。たとえば、「未実施」「実施計画中」「実施中」「完了」など、お好きなようにカスタマイズいただけます。
1つ1つのカードが、各デザインプロジェクトを表しています。表示されたカードをクリックすると上部にプロパティが表示されます。プロパティを追加するには
+プロパティを追加
をクリックし、プロパティの種類を選択します。プロジェクトに応じて、リードデザイナー、モバイル / デスクトップなどの区別、リリース日などを追加します。これらのプロパティに基づいてボードを整理することができます。カードをドラッグアンドドロップして隣の列に移動させれば、進捗が手に取るように実感いただけます。
ボードの各部分は、デザインプロジェクト管理システムの中でそれぞれ目的に応じて使用されます。 列は作業工程の各フェーズを表します。カードは、たとえばロゴの再デザインのような、デザインプロジェクトになります。カードの中には、それぞれのプロジェクトに必要な情報がすべて入っています。
すべてが一か所にまとまっているので、デザイナーはアプリケーションを行き来することなく、目の前の仕事に集中することができます。
2. データベースのカスタマイズ方法
Notionを使えば、チームのワークフローに合わせたデータベースを作ることができます。ここでは、デザイナー向けプロジェクト管理システムを構築する際のヒントを紹介します。
カードにプロパティを追加: ボードのカードの中には、プロパティが表示されています。これは、プロジェクトや担当デザイナーなど、各カードに割り当てることができる属性情報です。プロパティをクリックすると、
プロパティの種類
を選択するメニューが表示されます。ユーザー
プロパティでデザイナーやプロジェクトオーナーを、セレクト
プロパティで広告、Web、モバイルなどのカテゴリを指定できます。期限を明確にするときには日付
プロパティを使いましょう。プロパティの追加・削除は自由に行うことができます。必要に応じてプロパティを調整してカスタマイズしましょう。カードにプロパティを表示: チームが取り組んでいるプロジェクトの種類、担当者、ステータスなどをカードに表示するには、カードに表示するプロパティを選択します。これにより、特定のカードを毎度クリックすることなく、ボードビュー上で見たい情報を確認することができます。テーブルの右上にある
•••
をクリックしてプロパティ
を選択します。それにより、ボードビューに表示させるプロパティを設定することができます。また⋮⋮
アイコンでドラッグアンドドロップすれば、プロパティがカード内に表示される順番を変更することもできます。ボードのグループ化を変更: プロジェクトをステータスで表示するのではなく、優先度で表示したり、各デザイナーが何件のプロジェクトを持っているかを確認することができます。ボードの右上の
グループ化
ボタンをクリックすると、ボードの列のグループ化基準をセレクト
、マルチセレクト
、ユーザー
のいずれかの種別のプロパティに変更できます。様々なビューを作成: Notionでは、同じデータセットを様々な方法で表示することができます。たとえば、ランディングページに関連するプロジェクトだけを表示したい場合や、リリース日のカレンダーを表示したい場合などです。ビューを追加するには、テーブルのタイトルの横にある
+ビューの追加
をクリックして、データベースの種類を選択し、名前を付けてから作成
をクリックします。作成したビューは、さまざまなフィルタやソートを適用してカスタマイズすることができます。たとえば、デザイナーが作業しているモバイルプロジェクトの一覧が欲しい場合は、リストビューを作成し、フィルター
メニューで+フィルターを追加する
をクリック。デザイン作業の種類を表すプロパティで「モバイル」を選択すると、モバイル関連のプロジェクトだけがリストに表示されます。また、並べ替え
メニューで+並べ替えを追加
し、優先度や期限などでカードを整理することも可能です。
高度なデータベースフィルタの使用方法について詳しくは、こちらの4分間のビデオをご覧ください。
このプロジェクト管理システムを使えば、デザインチームのニーズに合わせてカスタマイズできるマルチツールを作ることができます。ランディングページのデザインをすべて整理したリストから、リリース日が記載されているカレンダーまで、さまざまな目的に使用できるデータベースです。
デザイナーにおすすめのギャラリービュー
3. プロジェクトに関する情報を集約
プロジェクトを管理するための骨組みができたので、各ページでどのようにプロジェクトに関連するすべての作業を収集・整理するのかを見ていきましょう。
デザイナーは仕事をこなすために多くのツールを組み合わせて使用します。Notion はそれらを一か所に集約します。1つの作業をこなすために、デザインツールとプロジェクト管理ソフトウェアを行き来する必要はありません。
プロジェクトごとにカスタマイズされたページ: チーム内のすべてのデザイナーが同じような働き方をするとは限りませんが、心配は無用です。Notionの各ページの本文は、プロジェクト管理システムの構造の中にありながらも、好きなように使うことができます。
/heading
と入力することで、情報をきれいに整理し、見やすく、理解しやすいように見出しを作成することができます。⋮⋮
アイコンを使えば、画像やテキスト、動画など、何でもドラッグアンドドロップで整理できます。ブロックを右端までドラッグして列を作ると、よりすっきりとしたページ構成になります。デザイナー向けの埋め込み: Notion では、動画、画像、PDF など、さまざまな種類のファイルをプロジェクトページに直接埋め込むことができます。また、Figma や Invision のプロジェクトを埋め込んで、Web サイトのモックアップをすぐに見ることもできます。Framer のプロトタイプを埋め込んで、アプリの再設計を UX チームと共同で行うことができたり、ロゴ変更の最終レビューでは、Whimsical や Miro のボードにデザイナーの思考プロセスを示すフローチャートを埋め込むことができます。
/
に続けて/figma
や/miro
のようにツール名を入力するだけで、これらにアクセスできます。各チームからのフィードバックを一元管理: デザインの仕事は部門横断型のタスクが多く、エンジニアと協力したり、マーケティング部門のトップからの承認が必要なこともあります。同僚に確認を依頼する場合は
@
マークでメンションし、フィードバックを促します。これは、ページの上部にあるタイトルにカーソルを合わせてコメントを追加
をクリックするか、特定のブロックで⋮⋮
メニューからコメント
をクリックすると表示されるコメント欄で使用できます。さまざまなツールに散在するフィードバックを一元管理することは難しく、抜け漏れを起こしかねません。Notionであれば、チーム間のすべての情報を一か所に整理することができます。
コメントやディスカッションについては、以下の4分間のビデオをご覧ください。
決定に至るまでの文脈を記録: プロジェクトのドラフトやコメントが一か所に整理されているので、決定事項に至るまでのすべての経緯を把握できます。モバイルのドロップダウンメニューを再構築したい場合や、ブランドカラーを紫から青に変更した理由を把握したい場合など、すべてのプロジェクトの初まりから終わりまでを確認することができます。
このプロジェクト管理システムは、すべてのプロジェクトに関連する作業の整理と集中管理の2つの役割を持っています。この仕組みにより、プロジェクトの情報を探すのに費やしていた時間を、自分の仕事を進めることに使えるようになるわけです。
4. プロセスに応じたテンプレートを作成
テンプレートとは、プロジェクト管理システム内で簡単に作成できるページのフォーマットです。このテンプレート機能を用いることで、デザイナーの作業を簡略化することができます。
プロジェクトのキックオフや振り返りでテンプレートを使用することで、デザイナーは同じ視座で問題にアプローチすることができます。テンプレートを使うことで、参画したてのデザイナーがチームの働き方を理解するのにも役立ちまます。
ボードの右側で、青い 新規
ボタンの横にある下向き矢印をクリックして、 +新規テンプレート
を選択します。空白のページが表示されます。ここで一度作成したテンプレートは以後繰り返し使用でき、デザインプロセスの変化に応じていつでも更新できます。
デザイナー向けにおすすめのテンプレート案を紹介します。
プロジェクトのキックオフ:
見出し2
で作成した「概要」の下には、見出し3
で「目標」と「作業計画」を配置します。次に、見出し2
の「スコープ」の下に、見出し3
で「要件」、「タイムライン」、「将来の作業」を作成。これらの見出しの下には、異なる色で説明文を含めるのがおすすめです。たとえば「作業計画」の見出しの下に、「本プロジェクトの作業概要とその実行により解決される問題を記載する。」といった説明文を書いておきます。文字の色を変更するには、ブロックの⋮⋮
アイコンをクリックしてカラー
を選択します。
デザイン仕様: テンプレートを使用することで、モックアップをデザインチームと共有する際、詳細なケースを考慮し、適切なフィードバックを得ることができます。テンプレートでは、
セレクト
プロパティを使用して作業の種類を指定することができます。また、ローンチ日を示す日付
プロパティや、レビュアーをタグ付けるためのユーザー
プロパティなどを含めても良いでしょう。テンプレートの本文では、見出し3
を使って、チームがデザインを埋め込んだり、フィードバックを残したり、次のステップの概要を説明したりするためのスペースを作成しておきます。
クライアントへのプレゼンテーション: Notionページをクライアントと共有することも可能です。 これにより、デザイナーがメールやFigmaのコメントを参照する代わりに、フィードバックを一か所に集約することができます。
見出し2
でデザインの作業内容や必要なコンテキストを整理し、クライアントにフィードバックのための環境を提供しましょう。また、テキスト
プロパティに「概要」といったタイトルを付けて、プロジェクトの状態を一文でまとめたものをクライアントに提供することもできます。共有するにはページの右上から共有
メニューを開き、Webで公開
オプションを有効化します。ドロップダウンメニューからコメントを許可
オプションを有効化すると、クライアントが直接そのNotionページにコメントを残すことができるようになります。リンクをコピー
してクライアントに送信することで共有できます。
5. デザイナー向けのベストプラクティス
最近Notionのデザインチームに加わり、すぐに活躍し始めたサム・ボールドウィンはこう語ります。「Notionのプロジェクト管理システムのおかげで、すべてのプロジェクト、優先順位、そして全員が何に取り組んでいるのかを素早く把握することができました。共有タスクボードはオープンで仕事をスムーズにしてくれます。誰でも現在のプロジェクトにコメントをしたり、フィードバックをしたりすることができ、より良い成果につながります。」
ここでは、私たちが自社のデザインプロジェクト管理システムから学んだヒントをいくつか紹介します。
チーム間のプロジェクト管理システムの連携: エンジニアリングチーム がプロジェクトの整理にNotionを使用している場合、2つのシステムを連携させることで、情報連携を密にすることができます。
ボード内のテンプレートやページに
リレーション
プロパティを追加します。次に、エンジニアリングチームのプロジェクト管理データベースを検索します。例えば、Webサイトのホームページを再設計している場合、コードレビューやUXアップデートなど、そのプロジェクトに関連するすべてのエンジニアリングタスクをリンクすることができます。リレーション
プロパティを使って議事録を連携するともできます。他のタスクや議事録がNotionのどこにあっても、プロジェクトのすべてを一か所に集約し、チームがより効率的に作業できるようにします。
デザイナー個人のタスクだけを閲覧するページ: 多くのデザイナーは、自分の仕事を管理するために個別のページを使用しています。これらのページの中で、チーム全体で利用するプロジェクト管理ボードの特定のビューをリンクすることができます。デザイナーが個人ビューでタスクを更新すると、チーム全体のプロジェクト管理ボードに反映されます。逆もまた然りです。
/link
と入力し、リンクドデータベース
を作成します。目的のプロジェクト管理システムを検索、選択すると、そのデザイナーの個人ページに表示されます。そして
+ビューを追加
をクリックし、フィルター
を使って自分のタスクだけを表示します。これにより、全体的な目標に向かって作業を進めながらも、自分のタスクに集中することができます。また、 デザインWiki であれば、同様の方法で今週対応するプロジェクトのみを表示するビューを作成したりすることも可能です。
フィードバックを募るプロジェクトのタグやビュー: Notionでは、チーム間の透明性やコラボレーションを促進するため、同僚に意見を求めるためのタグを使っています。
プロジェクト管理ボードで、「フィードバック」という
セレクト
プロパティを作成し、タグの1つを「RFC」(Request for Comment)にします。プロジェクトの立ち上げ時や仕様書を作成した時に、RFCのタグを付けて、Slackでチーム全体に回覧することができます。そうすれば、クラウドソースでフィードバックを得て、デザインをより良いものにすることができます。
ご不明な点はありますか?