チームの全アクションを把握できる、エンジニア向けプロジェクト管理システム
Notionを使えば、エンジニアチームが関わっているプロジェクトのありとあらゆる情報を管理できます。つまり、スケジュール調整や更新作業をひとつの管理ツール内でできるため、複数の管理ツールを使う必要がなくなりました。これにより、ツール間を行き来する時間を減らすことができます。
- ここで学べる情報
- エンジニアチームにはプロジェクト管理システムが必要
- 開発チームのプロジェクト管理システム構築
- 1. 1つのデータベースですべてを管理
- 2. プロジェクトを整理し、表示方法をカスタマイズする
- 3. プロジェクトの全タスクを1か所に集約
- 4. プロジェクト管理システムの内部で直接作業
- 5. テンプレートを使ってプロセスを標準化
- 6. Notionのエンジニアリングチームの実例
便利なプロジェクト管理システムは、すべての情報を網羅しています。つまり、誰が何の責任者なのか、どこに何があるか、といったことを教えてくれます。
組織に直接の影響を与える開発プロジェクトには、便利な管理システムが不可欠です。そして、細かく枝分かれした複雑な作業を進めるため、階層化できるシステムは重要な存在となります。また、チームが大きくなると、自分の作業内容、スケジュール、開発段階、そして作業範囲をしっかりと把握しないと、エンジニアは自分の仕事に専念できません。
ここでは、Notionを使い、エンジニアに特化したプロジェクト管理やロードマップを管理するシステムを構築する方法を紹介します(私たちNotion社内でも同じように使っています)。この内容を活用することで、チームの全員が共通認識を持ちながら、プロジェクトを遂行し、プロジェクト全体を管理できるようになるでしょう。
ここで学べる情報
- 1
効率的で透明性のあるプロジェクト管理とロードマップ作成するため、データベースを構築する方法
- 2
データベースをタグとビューで整理して、必要な情報を簡単にピックアップ出来る方法
- 3
Notion開発チームによる、効率的なプロジェクトラッキングに関する成果
以下のように、開発プロジェクトロードマップを作成できるようになります。
エンジニアチームにはプロジェクト管理システムが必要
もし納期が遅れたり、製品にバグが見つかれば、社内外に多大なる影響が発生します。開発プロジェクトは社内だけでなく、ユーザーにも影響を与えるため開発チームは迅速な対応が求められます。
Notionを使うことで、以下のようにチームのプロジェクト管理やロードマップのシステムの実現が可能です。
全プロジェクトの状況を把握
バグやタスク、スプリント、プロジェクトを可視化できるようになります。プロジェクトの情報を1か所に整理
プロジェクトのコードやメモ、画像、検証結果が1か所に保管されているため、チームメンバーは、プロジェクトのすべての情報に簡単にアクセスできます。重要な情報を様々なビューで表示
例えば、どのプロジェクトに自分がアサインされているか、今週中に完了しなければならないバグの修正は何なのかを知りたい場合、見たい情報だけをを抽出し、表示できます。
では、Notionを使うことによるメリットとは何でしょうか。
スピーディーな作業、質の向上、時間の節約
プロジェクトマネジメントにおいてスピード感を持った対応は重要です。作業スピードや高い品質を保つには、プロジェクトマネジメントの作業に時間を費やす時間は少なくする必要があります。チームの可能性を広げる
柔軟なプロセスがあれば、チームは多くのプロジェクトに取り組むことができます。また、ロードマップをカスタマイズできるので、チームのニーズに合わせたワークフローを構築できます。チーム単位、会社単位での見える化
ロードマップが共有されていることで、どのエンジニアがどの業務に取り組んでいるかの把握が簡単になります。また会社視点でも、各エンジニアの仕事の取り組み状況を知ることができます。
開発チームのプロジェクト管理システム構築
大規模なプロジェクトを進めるために、全ての関連タスクや資料を管理する、ロードマップやプロジェクト管理システムの構築は必要不可欠です。以下に、エンジニアに特化したプロジェクト管理の作り方をまとめました。
1. 1つのデータベースですべてを管理
Notionでは、テーブル、リスト、ボード、カレンダーなど、さまざまなタイプのデータベースを作成することができます。ここでは、ボードを使ったデータベースの作成方法を解説します。ボードを使うことで、プロジェクトがどの段階にあるかを可視化できるようになりました。
/
と入力するとNotionのページで使えるすべてのメニューが表示されます。これを "スラッシュコマンド" と呼んでいます。/board
と入力してボード:フルページ
を選択し、新しいボードを作成します。最初からいくつかの列が表示されています。チームのワークフローに合わせて、列をカスタマイズしましょう。まずは、各列のタイトルを変え、右にある
+ グループを追加
するをクリックすると、新しい列を作成することもできます。最初から数枚の空白カードがあります。これらのカードに各プロジェクトの情報を記入しましょう。また各カードをクリックすると、そのプロジェクトに紐づいたプロパティが上部に表示されます。
タスクのステータスに合わせて、カードをドラッグアンドドロップし、移動させましょう。
このボードは、ロードマップとプロジェクト管理システムの両方として機能します。ボードで進行状況も把握でき、また各カードの内部にそのプロジェクトに関連する全情報を記入できます。Notionにすべてを集約すると、複数の管理ツールを行き来する時間を削減でき、仕事に集中できます。
2. プロジェクトを整理し、表示方法をカスタマイズする
プロジェクトの整理をする前に、エンジニアチームにとって便利なシステムについて触れたいと思います。
私たちはプロジェクトを、エピック、タスク、スプリント、バグという単位で管理しています。
⛰️ エピックとは、大規模で包括的な構想のことです。
🔨 タスクは、エピックを構成するアクションです。
🏃 スプリントは、タスクを完成させるために、決められた期間で行う作業のことです。
🐞 バグは不具合を修正するためタスクです。
エピック、タスク、スプリント、バグはエンジニアチームの全業務を繋げるためのタグになります。ページ上には、プロジェクトに関するすべてか1か所に表示されるため、情報を見逃すことがありません。
プロジェクト管理とロードマップシステムを構築する際のヒントを紹介します。
ページにプロパティを追加
ボードのページ内に、プロパティが表示されています。これらは、作成日時やプロジェクトのタイプなど、各ページに割り当てることができる情報です。プロパティをクリックし、プロパティ
を選択すると、使用できるプロパティの種類が表示されます。まずは「エピック」「スプリント」「タスク」「バグ」のタグを作成するために、セレクト
のプロパティを選び、プロパティ名を「タイプ」とします。プロジェクトのエンジニアに紐付けたい時には、ユーザー
のプロパティ、期限を明確にするときには、日付
のプロパティを使いましょう。マルチセレクト
プロパティを使用すれば、これらのタスクに関連するスプリントをタグ付けられます。ボードビューで表示
これにより、すべての情報を一元的に見ることができます。まずはボードの右上にあるプロパティ
を選択すると、カード内のプロパティがすべて表示され、ここでボードビューでの表示・非表示を自由に切り替えられます。また⋮⋮
でドラッグアンドドロップすれば、カードに表示される順番を変更することもできます。ボードのグループ化を変更
ボードの右上にあるグループ化
では、ボードの列をどのプロパティを基準にグループ化するかを設定できます。セレクト
、マルチセレクト
、ユーザー
のプロパティのいずれかが使用できます。これによって、どのエンジニアが何に取り組んでいるかを確認したり、各スプリントでタスクを列に分けて表示したりできます。その他にも、優先度でグループ化すれば次に取り組むべきプロジェクトの判断に使うことも可能です。ビューの追加
Notion 上では、情報をさまざまな方法で表示できます。例えば、エピックのスケジュールをカレンダーで表示したり、対応中のバグをテーブルでまとめることもできます。ビューを作成するには、テーブルのタイトルの横にある+ ビューの追加
をクリックし、データベースの種類を選択して作成
をクリックします。表示された情報は、フィルターで並べ替えたり、ソートでカスタマイズできたりします。優先度の高いバグがあれば、テーブルビューを作成し、フィルター
、+ フィルターを追加する
の順にクリックしてバグだけを抽出。 そして、並び替え
、+ 並び替えを追加する
の順にクリックすると、優先度に沿って並べ替えられます。
Notionでは、プロジェクト全体の表示方法を簡単にカスタマイズすることができます。特定のプロジェクトの情報でも、大規模案件のカレンダーでも、Notionならどんな粒度の情報も意のままに管理できます。
エンジニア向けのプロパティとビュー
フィルターを使ったデータベースについてはこちらの4分間のビデオから学べます👇(英語版のみ)

3. プロジェクトの全タスクを1か所に集約
リレーション
のプロパティを選択すると、カード上にプロジェクトに関わる全タスクを表示できます。例えば、製品にインライン絵文字の機能を追加するとしましょう。まずはプロジェクトのエピックを作成。そして、絵文字のオートコンプリートや絵文字のツールヒントなど、完了すべきタスク一覧をまとめます。するとインライン絵文字のエピックのカード中にすべての関連タスクが表示されるため、チームは効率的に動けます。
ここから具体的な設定方法を説明します。
エピックを作成
これは「インライン絵文字」のような大きな単位のプロジェクトです。エピックへの
リレーション
を作成
そのカード内で、+ プロパティを追加
をクリックし、リレーション
を選択。プロパティの名前は「エピック」とします。すると、全データベースのリストが表示されるので、今見ているプロジェクト管理のデータベースを検索し、選択。新しいプロパティを作成
をクリックすると、プロパティが同期されます。これにより「タスク」を「エピック」に割り当てたり、「エピック」を「タスク」に割り当てることができます。タスクへの
リレーション
を作成
上記と同じ方法で、別のリレーションプロパティを作成し、それを同じデータベースに接続。それを「タスク」と呼びます。「タスク」を「エピック」に紐づける
「タスク」を作成する準備が整ったので、上記の例を使用して「絵文字ツールヒント」のカードを作成し、「エピック」プロパティを使用して「インライン絵文字」エピックを選択します。カードを開いて全タスクを確認
「インライン絵文字」エピックのカードには、割り当てられたすべてのタスクが表示されているはずです。必要なタスクも追加できます。
リレーションプロパティは、すべての作業を結びつけます。そのため、多くのタスクや複数のエンジニアを抱えるプロジェクトの場合、すべて1か所に集めて整理することで、効率よく働くことができます。
4. プロジェクト管理システムの内部で直接作業
プロジェクト管理とロードマップシステムのフレームワークが完成しました。このボードには、各エピック、タスク、そしてバグのすべての要素が格納できます。
エンジニアはこの仕組みを運用することで、たくさんのソフトウェアを行き来する必要がなくなるでしょう。
全ページをカスタマイズ
プロジェクトごとに必要なドキュメントは異なり、それぞれを把握しやすいように配置されているのが理想です。Notionが生み出す構造は、タスクに応じて最適な方法で情報を整理できます。まず、ページに/heading
と入力してヘッダーを作ります。そして、⋮⋮
のアイコンを掴み、ヘッダーを右端までドラッグして列を作ります。さらに、⋮⋮
アイコンを使えばテキストや画像、動画などをヘッダーの下にドラッグアンドドロップすると、すっきりとしたページができあがります。エンジニアのための埋め込み
Notionなら、エンジニアがよく使用するツールをすべて1か所にまとめることができます。例えば、新しい機能の検証の際に、チームにコードをレビューしてもらうには、/コード
と入力してコードスニペットを作成することができます。また、GitHubのgistを共有するには、/gist
と入力します。また、/画像
や/動画
と入力し、画像や動画を挿入することで、新しい機能が動作する様子をページ内で見せることもできます。
コードブロックについてのすべてがわかる3分間のビデオはこちら👇(英語版のみ)

ページの中にページを作成
プロジェクトに関連するすべてのドキュメントを、プロジェクトの中に収納することができます。その方法とは、サブページとして/ページ
を追加するだけ。ページを無限に階層化することで、必要なすべての情報を取り込むことができます。サイドバーにあるトグルを開くだけで、チームは情報を見つけることができます。リアルタイムでフィードバック
@
マークを使ってチームメイトの誰かに対して、プロジェクトのフィードバックを求めることができます。また、他のエンジニアがあなたのコードにメモを追加することもできます。デザイナーから、あなたが埋め込んだ新しいのFigmaファイルにコメントをもらうこともできます。通常、デザイナーとエンジニアはそれぞれ別のツールを使っているため、同じツールでコラボレーションができません。しかし、Notionは異なる部門のコミュニケーションを繋げます。決定までの文脈を記録
ページ内には、プロジェクトの思考プロセスを記録することができます。タスクの優先順位を下げた理由や、モバイル向けのコーディングガイドラインを変更した理由などをメモしておくことができます。また、テスト結果をページ内に記載することで、意思決定に至った過程も書けます。Notionは、何が起こったのか、そして次は何をすべきかを明確にしてくれます。
プロジェクトワークとプロジェクトマネジメントが同じ場所で行われていれば、間違いが生まれにくくなります。
コメントやディスカッションにについてのすべてがわかる4分間のビデオはこちら👇(英語版のみ)

5. テンプレートを使ってプロセスを標準化
プロジェクト管理システムでは、エンジニアが取り組む課題ごとに独自のテンプレートを作成することができます。
テンプレートを使用することで、エンジニアは決まった手順で課題に取り組むことができます。これにより定型的な課題解決の知見が蓄積され、また課題の早期解決にも繋がります。
ボードにテンプレートを追加するには、データベースの右側にある青い新規
の横にある下向きの矢印をクリックし、+ 新規テンプレート
を選択。白紙のページが表示され、そこで作成したテンプレートは、以後何度でも利用できます。
ここではエンジニアチームが使用できるテンプレートのアイデアを紹介します。
6. Notionのエンジニアリングチームの実例
Notionのエンジニアであるサラ・リムは、開発チームのプロジェクト管理とロードマップのシステムについて、「素晴らしいタスク管理システムは、チームのナレッジと過程に合わせて作成できます」と答えました。
続けて、「リレーションを使うことで、異なるもの同士を関連付けることができます」とコメント。「プロジェクトの議事録や設計書といった各ドキュメントの関連付けをすることで、全ドキュメントがプロジェクトにどう紐づけられているかを把握することができるんです」
ここでは、開発プロジェクトの管理システムを構築するためのヒントを紹介します。
サブチームに関わるデータベースを作成
サブチームがいる場合、サブチームのタスクとプロジェクトのみを表示するデータベースを作成することをお勧めします。開発Wikiのページに書かれているように、各チームに個別のページを割り当て、それらの一番上にはそのチームに関連するものだけに絞り込まれたプロジェクト管理とロードマップシステムへのリンクドデータベースを配置します。これにより、エンジニアチーム全体で取り組んでいることの透明性が保たれます。プロジェクト管理システムに議事録をリンク
タスクがエピックにリンクされているように、すべての議事録をエピックにリンクすることもできます。別のリレーション
プロパティを作成し、それを議事録のデータベースにリンク。そうすれば、プロジェクトに関するすべての議事録を、そのタスクと一緒にまとめることができます。このような非同期的なコミュニケーション方法を活かせば、会議を欠席したメンバーにも簡単に情報連携ができます。各エピックとタスクの担当者を明確にする
エピックとタスクにそれぞれ、ユーザー
プロパティを作成します。1つはプロジェクトの担当者、もう1つはプロジェクトの主管チーム用です。担当者を明確にすることで、質問があれば、誰に聞けばいいのかが分かります。これにより、明確で合理的な部門間のコミュニケーションができます。