けもの行

オサポの指示に従い、課題をこなしていることと思う。

この行は、自身のけものとの繋がりをより確かなものとするに役立つものである。

五行は、木火土金水の巡りとその世界をけものを通して体感しつつ、自身の五感を研ぎ澄ます訓練である。五行でけものとの繋がりが確かなものとなったら、ゆかりの行へ進んで欲しい。けものが自律して動けるような手応えが出てきたら、西之島や、その他様々な場所へお使いに出す。

これは、けものと出会いたての未来の巫女だけでなく、すべての巫女に推奨する行である。

■五行

●火の行

触る。

何もない暗闇の中に立つ。

前も後ろもない、暗闇。

うろうろと、周囲を歩き回る『けもの』の気配を感じる。赤く燃える瞳、息遣い、熱感。時おり手足に彼の毛並みが触れる。くすぐったく、笑いが込み上げたら、右手を差し伸べ触る。しばし戯れ、その感覚を記録する。

●水の行

聴く。

夜の川辺。

森の奥深く、秘密の小川のほとり。

さらさらと流れる川の音。

後ろの茂みから『けもの』が現れる。姿はみえず、赤い瞳が輝くばかり。

『けもの』は小川に入り、呻き声をあげながら跳ね回り雫を滴らせる。その水音に耳を澄ませ、記録する。

●木の行