Q1-1 【非木造建物とは】  非木造建物とは、どのような建物をいうのか。 A1-1  通常「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」「鉄骨鉄筋コンクリート造」「石造」「コンクリートブロック造」の木造以外の建物を総称して、非木造建物と呼んでいる。

Q1-2 【非木造建物の構造】  建物などの本によく「RC 造」「S 造」「SRC 造」「LGS 造」「CB 造」と書いてあるが、その意味を教えてほしい。 A1-2 ・RC 造とは 、主体構造を鉄筋コンクリートで構築する構造の略語である (reinforced concrete construction)。特徴は、耐震・耐火・耐久的であり、自由な形状の設計ができるが、自重が大きく工期が長くなるのが欠点である。一般的には 1 階~6 階程度の建物に多くみられる。通常「鉄筋コンクリート造」と呼んでいる。 ・S 造とは、主要構造部に、普通の鋼材を用いて組み立てた構造の略語である(steel structure)。鋼構造とも言い、構造上主要な部材に形鋼・鋼板・鋼管などの鋼材をリベット・ボルト・高力ボルト・溶接などで接合し、組み立てた構造物のことである。強さが大きく、ねばりが強いので、高層建築や大スパン建築に適している。また、RC 造と比べ安価なため小規模な工場などにもよくみられ、通常「鉄骨造」と呼んでいる。 ・SRC 造とは、鉄骨骨組のまわりに鉄筋を配置し、コンクリートで一体化した構造の略語である(steel framed reinforced concrete structure)。比較的小さな断面でじょうぶな骨組をつくることができ、ねばり強さがあるため高層建築に多く利用されている。一般的には 7 階以上の建物に多くみられる。通常「鉄骨鉄筋コンクリート造」と呼んでいる。 ・LGS 造とは、軽量鉄骨構造の略語で(light gauge steel structure)軽量形鋼を使用した鉄骨構造で、主に住宅・工場など小規模な建物に用いられる。「軽量鋼構造」とも呼んでいる。 ・CB 造とは、コンクリートのブロック(単体)を積み上げて構造く体としたものの略語である(concrete block construction)。鉄筋で補強し、基礎などと一体として建築される。比較的安価なため車庫や公舎などによくみられる。

Q1-3 【非木造建物の移転工法】  非木造建物の移転工法は、どのように決めるのか。 A1-3  非木造建物の移転工法は、木造建物の際に行う工法検討と何ら変わるところはない。「残地の有無」「残地が合理的な移転先となりうるか」をまず判断し「有形的検討」「機能的検討」「経済的検討」「法制的検討」を行い、より合理的な工法を決定する。  工法は、“運用方針第16”により次のように定められている。 再築工法 残地外の他の土地又は残地内に従前の建物と同種同等の建物を建築することが合理的であると認められるとき。 曳家工法 建物を残地に曳家することができると認められるとき。 改造工法 建物の一部(残地内にあっても取得(使用)地上の部分と構造又は機能上切り離せない部分があるときは、この部分を含む。)を切り取り、残地内で残存部分の一部を改造し、又は増築することにより、従前の機能が維持できると認められるとき。 除却工法 取得する土地の上にある建物の一部が、当該建物に比較してわずかであり、かつ重要な部分でなく従前の機能にほとんど影響を与えないと認められるとき、又は建物を再現する必要がないと認められるとき。 復元工法 文化財保護法等により指定された建築物で、建物を原形で復元することが妥当と認められるとき。

Q1-4 【非木造建物の曳家の可否の判断】  非木造建物を曳家することは可能か。 A1-4  一般的には、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造については、物理的に曳家が可能である。鉄骨造の場合は、基礎のアンカーボルトを外し、柱等にゆがみがこないよう鉄骨等で補強を行い曳家を行う。また、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造については、柱部分と基礎が一体となっていることにより、基礎の下まで掘削し、基礎ごと曳家を行う方法が多く見受けられる。  曳家工事により建物に与える歪みなどの影響は、鉄骨造の方が多く生じるため工事は、より慎重に行われる。なお、石造、コンクリートブロック造の建物は、構造上ゆれに弱いため、曳家を行うことは難しいものとされている。移転工法の決定にあたっては、各々の建物により構造が異なるので専門家等の意見を聞き決定されたい。

Q1-5 【不可視部分とは】  不可視部分とはどのような部分のことをいうのか。また、どのように調査するのか。 A1-5  不可視部分とは、「建物の調査を行う場合に剥離及び破壊等を行わなければ容易に調査できない部分をいう」と定義され、例えばコンクリート内の鉄筋や地中の基礎、見えない天井裏などが該当する。  これら不可視部分については、既存図による調査や所有者、設計者又は施工者からの聞き込み等にて調査することとなる。なお、これらの調査によっても分からない部分については、専門家の意見により、建物の品等などを考慮し、通常施されている仕様をもって認定することとなる。

Q1-6 【建築工法とは】  「建築工法」については、具体的にどのように記載したらよいか。 A1-6  建築工法については、鉄鋼系プレハブ工法(軽量鉄骨造)等により建築された建物を、従来の工法により建築された建物と区分するために記載する必要がある。様々な名称が存在するかと思われるが、以下の記載例を参考にされたい。 記載例 ・軽量鉄骨造 → 在来工法 ・鉄骨系プレハブ工法(軽量鉄骨造) ※ユニット系も含む → プレハブ工法 ・重量鉄骨造 → 在来工法 ・鉄骨系プレハブ工法(重量鉄骨造) → プレハブ工法 ・鉄筋コンクリート造(※ラーメン式、壁式) → 在来工法 ・コンクリート系プレハブ工法 → プレハブ工法

Q1-7 【建築確認申請書類が紛失している場合の確認方法】  建物を建ててから年数がたち、建築確認申請書に添付した建物図面を紛失してしまった場合、確認申請の窓口である市役所等に行って閲覧することはできるか。 A1-7  建築確認申請書の閲覧は、認められていない。ただし、建築計画概要書の閲覧は可能である。建築計画概要書は建築確認の際に提出された書類で、主に建築主(設計者・施工者等)の名前や所在地等のほか、建築物の主要用途、建築面積、延べ面積、工事着手・完了予定年月日などの諸情報が記載されている。  調査対象建物の所有者が建物図面を紛失している場合や、建物所有者の変遷等により建築当時の諸情報が不明な場合などにおいては、建築計画概要書を閲覧することにより、建築確認当時の諸情報を得ることも有効と考えられるため、状況に応じて活用されたい。なお、建築計画概要書の閲覧方法や閲覧できる建築物は各自治体によって異なるため、予め担当窓口、HPなどにて確認されたい。

Q1-8 【構造計算とは】  非木造建物の調査、積算を行う際によく「構造計算」という言葉がでてくるが、どのような計算をいうのか。 A1-8  建築基準法(構造耐力)第 20 条に「・・・その構造方法は、地震力によって建築物の地上部分の各階に生ずる水平方向の変形を把握することその他の政令で定める基準に従った構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによって確かめられる安全性を有すること。」とされ、計算の方法は、同法施行令第 81 条から 99 条までに規定されている。簡単に説明すると、構造計画で決めた骨組みが、それに加わる固定荷重・積載荷重・積雪荷重・風圧力・地震力・土圧・水圧などの外力に対して、安全かどうかを確かめるために行う数値計算のことをいう。  なお、高度な構造計算を要する一定規模以上の建築物(同法第 20 条第 2 号に規定されている建築物など)については、都道府県知事又は指定構造計算適合性判定機関による構造計算適合性判定が義務付けられている。

Q1-9 【改造工法における構造計算の計算基準時点】  改造工法の積算を行う際の構造計算は、対象となる建物の建築時に遡って計算をするのか。 A1-9  現時点で補償を行うことより、構造計算は現時点の基準に従って計算することになる。ただし、補償を行うにあたっては、他の工法との経済的比較など十分に考慮して行われたい。

Q1-10 【改造工法における構造計算の精度】  改造工法等の積算に伴う構造計算は、どの程度の精度を求められるのか。 A1-10  建築確認申請時における精度と同等の精度を求める。