このプロジェクトは、都市の余剰空間であるバス停の近辺や自宅の使われていない駐車場、その他様々な場所にガーデニングのためのユニットを設置し菜園を作ることを行うものです。 主宰である、私、奥田宥聡は京都精華大学という大学で3年間プロダクトデザインについて学び、その4年次の卒業制作としてSAIEN PROJECTを企画しました。
都市で生活する一市民として、日本における公共空間のあり方にかねてから疑問を持っていた私はそのような人と人の混在を疎外する都市空間の設計が市民間における不寛容さや、争いになっているのではないかと考えました。特に2020年の初めに発生したCOVID-19によって、感染症への危機意識の違いや、価値観の差による争いは顕在化され「自粛警察」や「マスク未着用運動」など自分たちの信じる事実と異なる生活様式の発生を否定するような動きが発生する事態が起きました。もちろんこう言った自己と異なるものへの疎外も人間の性質の一面ではありますが、一方でお互いに歩み寄り心情の違いを共有することで協力関係を形成して行くことも、人間の性質として存在するはずです。本来協力しあうべき、同じ地域に住む人たちであっても知らない人同士だからこそ「不安」や「怒り」の感情が発生してしまいます。 私は地域の中に、人が混在できる「場所」と、協力する「目的」を発生させる装置としてこのプランターとコンポストのユニットをデザインしました。
このデザインの設計図は全てオープンソース化されており、Fabのような工房と、簡単なネジの組み立てができる人であれば誰もが自由に利用して自分の住む場所の近くに菜園を制作することができます。もしあなたが住む場所で争いや不安が発生していたり、またもっとも避けるべき「誰もが地域に無関心な状況」が発生しているとすればこの装置を使って少しずつ状況を好転させて行くことができるはずです。そのように小さな動きを多く発生させることで望ましい未来と寛容な都市を市民の手から作っていけることがこのプロジェクトの大きな目標です。