第1条(適用範囲)  この要領は、国土交通省の公共用地の取得に伴う損失補償基準の運用方針(平成15年8月5日付け国総国調第 57 号国土交通事務次官通知)第16第2項に規定する工作物の移転料のうち、機械設備の移転料に係る調査算定に適用するものとする。 2 前項の機械設備は、次表に区分する工作物のうち、機械設備の項に掲げるものをいう。

工作物区分 判断基準
機械設備 原動機等により製品等の製造又は加工等を行うもの、又は製造等に直接係わらない機械を主体とした排水処理施設等をいい、キュービクル式受変電設備、建築設備以外の動力設備、ガス設備、給・排水設備等の配管、配線及び機器類を含む。
生産設備 当該設備が製品等の製造に直接・間接的に係わっているもの又は営業を行う上で必要となる設備で次に例示するもの等をいう。ただし、建物として取扱うことが相当と認められるものを除く。
A 製品等の製造、育生、養殖等に直接係わるもの
園芸用フレーム、わさび畑、養殖池(場)(ポンプ配水設備を含む。)、牛、豚、鶏その他の家畜の飼育又は調教施設等
B 営業を目的に設置されているもの又は営業上必要なもの
テニスコート、ゴルフ練習場等の施設(上家、ボール搬送機又はボール洗い機等を含む。)、自動車練習場のコース、遊園地(公共的な公園及び当該施設に附帯する駐車場を含む。)、釣り堀、貯木場等
C 製品等の製造、育生、養殖又は営業には直接的に係わらないが、間接的に必要となるもの
工場等の貯水池、浄水池(調整池、沈澱池を含む。)、駐車場、運動場等の厚生施設等
D 上記AからCまでに例示するもの以外で次に例示するもの
コンクリート等の煙突、給水塔、規模の大きな貯水槽又は浄水槽、鉄塔、送電設備、飼料用サイロ、用水堰、橋、火の見櫓、規模の大きなむろ、炭焼釜等

第2条(用語の定義)  この要領において「機器等」とは、原動機等により製品等の製造又は加工等を行う機械装置、キュービクル式受変電設備、これらに付属する2次側の配線・配管・装置等をいい、1次側の配線・配管、受配電盤等の設備を含まないものとする。 2 この要領において「機械基礎」とは、通常コンクリート構造物等で施工された機器等を固定する土台部分をいう。 3 この要領において「復元」とは、既存の機器等を再利用可能なように解体撤去し、残地又は残地以外の土地に運搬し、据え付けることをいう。 4 この要領において「再築」とは、残地又は残地以外の土地に、原則として、従前の機器等と同種同等又は市販されている機器のうち、その機能が従前の機器等に最も近似の機器等を購入し、据え付けることをいう。 5 この要領において「復元費」とは、機器等の復元に要する費用をいう。 6 この要領において「再築費」とは、機器等の再築に要する費用をいう。

第3条(調査)  機械設備の調査は、現地における調査を基本とし、必要に応じて聴き取り調査、資料調査、市場調査等の補足調査(以下「現地調査等」という。)を行うものとする。 2 不可視部分(調査困難な場所に機器等が設置されている場合など)の調査は、既存の機器等に関する資料の写しなどを入手し、これを利用することができるものとする。また、資料の入手が困難な場合には、所有者又は機器等を設置したメーカー等から調査表等の作成に必要となる事項を聴取するなどの方法により調査を行うものとする。 3 復元することが困難と認められる機器等については、機器等を設置したメーカー等から復元が困難である理由等について聴取するものとする。 4 現地調査等を行うに当たっては、事前に監督職員と協議し、調査の実施について必要な指示を受けるものとする。 5 機械設備の調査は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に掲げる事項について行うものとする。 一 機械配置 建物平面及び敷地の範囲を基準とした機器等の設置位置 二 機器等 機械装置の名称、仕様(型式、能力、原動機の出力等)、製作所名、形状・寸法、質量、所有区分、取得年月等 三 機械基礎 構造、仕様、形状・寸法、機器等の設置状況等 四 電気設備 受・配電系統、使用器材の用途、種別、規格寸法、経路、長さ、敷設方法等 五 配管設備 配管の用途、種別、規格寸法、経路、長さ、敷設方法、流向、終・始端、被覆、塗装等 六 プロセスコンピューター設備 種別、規格寸法、フロー、LAN配線、長さ、敷設方法、取得年月等 七 稼動状況 各機器等の役割、各機器等間の関連性、稼動状況等 八 復元の可否 復元の困難性、移設工期等 九 その他  イ 写真撮影 第6条の規定に基づき写真を撮影する。  ロ 製造(加工)工程 現地調査、聴取調査等により製造(加工)工程を調査する。  ハ 固定資産台帳 取得価格、取得年月等について調査する。  ニ 申請手数料等 移転に伴い必要となる各種法令上の許認可申請費用、手数料及び検査費用等について調査する。  ホ 法令適合性等 各種法令に係る適合状況等を調査する。  ヘ その他 その他必要な事項について調査する。 6 前項第6号のプロセスコンピューター設備とは、製品等の製造に直接携わっている工業用の自動制御コンピューター設備をいう。 7 第5項第9号ハの固定資産台帳とは、直近1年の事業年度の固定資産台帳をいう。 8 前項までの調査に当たっては、石綿含有建材の使用の有無について、石綿調査算定要領(平成24年3月30日国土用第50号)により調査を行うものとする。

第4条(調査表)  機械設備の調査表は、前条の調査の結果に基づき、様式第1の機械設備調査表に、次の各号に掲げる項目につき、それぞれ当該各号に定める事項を記載することにより作成するものとする。 一 所在地 機械設備の所在地 二 調査年月日 調査を実施した年月日 三 調査者 調査を実施した担当者の氏名 四 所有者氏名 機械設備の所有者の氏名又は名称 五 所有者住所 機械設備の所有者の住所又は主たる事務所の所在地 六 業種区分 当該事業所の事業種別(日本標準産業分類による。) 七 製製造(加工)工程 造等の系統又は製品ごとの製造・加工工程等 八 稼働状況等稼動状況、操業時間等 九  法令の適合性等 関係する法令等の概要と適合状況等 十 機械番号機器等ごとに一連の番号を付し、整理する。 十一 機械名称機器等の名称は、一般的な名称を記載する。    配管設備の名称は、流体別、系統別等に区分しそれぞれの名称を記入する。電気設備の名称は、高圧受変電設備、幹線設備、動力配線設備等に区分し、それぞれの名称を記入する。 十二 数量機器等の設置台数 十三 取得年月機器等の取得年月(中古取得した機器等の場合は、中古取得以前の使用年数等を含む。) 十四 仕様機器等の型式、能力、原動機の出力等 十五 製造所名等機器等の製作所名 十六 形状・寸法機器等の形状及び寸法(m) 十七 質量 機器等一台当たりの質量(t)(2次側の配線、配管等を除く。) 十八 基礎寸法・設置状況 機械基礎の形状・寸法、設置状況(ボルト固定、コロ付等)等 十九 その他復元の可否、リース物件等、その他必要な事項

第5条(機械設備図)  機械設備の図面は、原則として、所有者ごとに別添1機械設備図面作成基準により作成するものとする。

第6条(写真撮影等)  機械設備の写真の撮影は、次によるものとし、原則として、所有者ごとに写真台帳を作成するものとする。ただし、写真撮影が困難なものについては姿図とすることができるものとする。 一機器等及び電気設備等の写真は、原則として、第4条に定める機械設備調査表の機械番号ごとに撮影する。 二写真台帳は、機械番号順に整理し、撮影年月日、機械名称等を記載する。 三電気設備、配管設備等の写真は、写真番号を付し整理し、撮影の位置、方向及び写真番号を記載した写真撮影方向図を添付する。

第7条(補償額の構成)  機械設備の復元費及び再築費の構成は、次のとおりとする。

<復元費の構成>

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<再築費の構成>

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2 共通仮設費の内容は、次のとおりとする。 一 運搬費 建設機械、機材等(足場材等)及び機器・材料の現場内小運搬等に関する費用 二 準備費 基準点測量、完成時の清掃及び後片付け等に関する費用 三 事業損失防止施設費 事業損失を未然に防止するために必要な調査等に関する費用 四 安全費 安全管理上の監視、安全施設類(標示板、保安灯、防護柵、バリケード等)等に関する費用 五 役務費 動力、用水等の基本料等 六 技術管理費 施工管理・品質管理・行程管理のための試験又は資料作成等に関する費用 七 営繕費 現場事務所、労働者宿舎、倉庫、材料保管場、監督員詰所等に関する費用 3 据付間接費及び諸経費の内容は、次のとおりとする。 一 据付間接費据付工事部門等に係る労務管理費、事務用品費、通信交通費、会議費、交際費、法定福利費、福利厚生費、動力用水光熱費、印刷製本費、教育訓練費、地代家賃、保険料、租税公課及び雑費 二 諸経費  イ 現場管理費 現地採用の労働者及び事務員に係る労務管理費、安全訓練等に要する費用、租税公課、保険料、事務員給与手当等、退職金、法定福利費、福利厚生費、事務用品費、通信交通費、補償費、交際費、据付外注経費、工事登録費及び雑費  ロ 一般管理費等 一般管理費(役員報酬、従業員給与手当等、退職金、法定福利費、福利厚生費、修繕維持費、事務用品費、通信交通費、動力・用水光熱費、調査研究費、広告宣伝費、交際費、寄付金、地代家賃、減価償却費、験研究費償却、開発費償却、租税公課、保険料、契約保証費及び雑費)及び付加利益(法人税、株主配当金、役員賞与金、内部留保金等)

第8条(補償額の算定)機械設備の復元費及び再築費は、次に掲げる式により算定した額とする。 一 復元費= 復元工事費+解体処分費-売却価格 二 再築費= 機械設備の現在価額(再調達価格×現価率)+運用益損失額+解体処分費-売却価格 2 機械設備の現在価額(再調達価格に現価率を乗じて算定する。)と運用益損失額との合計額は、再調達価格に次式による再築補償率(小数点以下第四位を四捨五入した数値とする。)を乗じて算定するものとする。

再築補償率=(1-0.8×n÷N)+(0.8×n÷N)×(1-1÷(1+r)N-n) n 機器等、電気設備及び配管設備等の経過年数 N 機器等、電気設備及び配管設備等の標準耐用年数(又は実態的耐用年数) r 年利率 一 経過年数  既存の機器等、電気設備及び配管設備等の購入(新品としての購入とする。)から補償額算定の時期までの経過年数をいい、固定資産台帳等の取得年月等から認定するものとする。 二 標準耐用年数  機器等、電気設備及び配管設備等の標準耐用年数は、別表-1の機械設備標準耐用年数表を適用して求めるものとする。ただし、機械設備標準耐用年数表によることが適当でないと認められる場合は、専門メーカー等からの意見聴取等、その他適切な方法により、その機器等、電気設備及び配管設備等のもつ実態的耐用年数を定めることができるものとする。

第9条(工事費の算定)  復元工事費、再築工事費、解体処分費及び売却価格を算定するに当たっての数量計算及び各工事費の算定は、別添2機械設備工事費算定基準によるものとする。

第10条(製造工程図)  工場等の敷地の一部が取得等の対象となる場合の移転工法案の検討に当たって必要となる製造工程図(製品等の製造、加工又は販売等の工程を図式化したもの)については、次により作成するものとする。 一 製造工程図は、原則として、製造等の系統又は製造、加工等行う製品ごとに作成する。 二 製品等の製造工程等に沿って略図を作成し、工程順に番号を記載する。 三 製造、加工工程ごとに設置されている主要な機器等の名称及び製造又は加工工程の内容について記載する。 四 その他可能な限り、製品名、製品の規格等、原材料、副資材及び一の工程の単位時間を記載する。

第11条(動線配置図)  工場等の敷地の一部が取得等の対象となる場合の移転工法案の検討に当たって必要となる動線配置図(製品等の製造、加工又は販売等の工程と建物等の配置との関係を図式化したもの)については、次により作成するものとする。 一 動線配置図は、原則として、製造等の系統又は製造、加工等行う製品ごとに作成する。 二 建物等の配置図等を基に、原材料及び製品等の移動(作業)動線を製造工程等に沿って作成し、製造工程図に付した工程順の番号を記載する。

第12条(移転工程表)  復元及び再築に係る建物、機械設備等の移転工程表については、次により作成するものとする。 一 機器等の移転工期は、専門メーカー等から聴取した移転工期、見積書に記載された移転工期又は据え付け・撤去の工数に基づき作業人数・班体制から算出した日数により認定する。 二 建物、工作物及び動産の移転と機器等の移転との関係を表示する。 三 機器等の移転に伴い営業休止等が生じる期間を表示する。 四 その他必要に応じて、移転を要する機器等の製造等の系統を表示する。

別添1 機械設備図面作成基準