はじめまして、ビビドット (@vividot) | Twitterと申します。
本記事では、Uniswap v3のLPを自動管理するためのサービスについて紹介します。 呼び方はAutomated Liquidity ManagerとかVaultとか色々ありますが、本記事ではVaultで統一したいと思います。
Uniswap v3 Vaultは、v3のLPにおけるリバランス及び複利運用をLP Feeの一部を報酬として代わりに実行してくれます。 リバランスに関しては後述しますが、手間もガス代もかかるため、自分みたいなお金のないDeFiユーザにはVaultがおすすめです。
注意点として、本記事の内容は執筆した6月27日-7月3日時点の情報によります。 戦略等は変わる可能性が非常に高いため、すぐ時代遅れな情報になるかもしれませんが、運用の一助となれば幸いです。
Uniswap v3では狭めのレンジで流動性を供給することでv2より多くの手数料を稼ぐことができます。
そのため、手数料を稼ぎたい人は現在の価格に近い価格帯(以降、レンジ)で流動性の供給を行います。 結果、流動性は次の図のように現在の価格周辺で山のような形を描くことが多いです。
引用:https://info.uniswap.org/#/pools/0x8ad599c3a0ff1de082011efddc58f1908eb6e6d8
一方、価格がレンジを外れた場合、流動性供給者は手数料収入を得ることができなくなります。 つまり、ユーザは価格がレンジに戻ってくるのを待つか、一度流動性を抜いて別のレンジで再度流動性を供給する必要があります。
そして、後者のことをリバランスと呼ぶのですが、それをみんなの分まとめてやっちゃおうぜっていうのがv3のvaultの目的です。
また、Vaultに共通するメリットとしてそれぞれのVaultが発行するLPトークンはERC-20の形にすることができるため、担保や流動性マイニングなどに使いやすいことが挙げられます。
Vaultの紹介に入る前に、Uniswap v3のLPはリバランスによってリターンが変わってくるため、最初にリバランスの戦略について整理したいと思います。
後述するCharm Financeの言葉を借りれば、リバランスの方法にはパッシブリバランスとアクティブリバランスの2つがあります。
「アクティブリバランス」とは、リバランスの際に管理するトークンの量をスワップを行うことで整えて新しい1つのレンジで流動性供給を行う方法です。 リバランス毎に少額ではあるもののスワップの手数料がかかるというデメリットがあります。
一方「パッシブリバランス」はリバランスの際にスワップを行わず、管理するトークンで可能な限り流動性を提供した後、残ったトークンを片面流動性として提供します。 片面流動性というとよく分からないですが、要は指値注文と同じで、余ったトークンを余っていないトークンに変えるようなレンジでの流動性供給です。
例えば、以下の図はVaultの管理下に2500USDCと1ETHがあった時に、1ETHと2000USDCで流動性を供給し、余った500USDCで片面流動性を提供したイメージを図示したものです。 この時ETHの価格が2000USDから1750USDにかけて変動すると、片面流動性部分が機能して余ったUSDCを徐々にETHに変えていきます。
リバランスのためにスワップしないので手数料がかからないというメリットがある一方、相場がブル/ベアのどちらかに変動し続ける相場が長く続くと得られる手数料がアクティブリバランスと比べて減少します(片面流動性部分が機能しない&両面部分の流動性も減るため)。