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USDTのクジラ

海外仮想通貨メディアProtosは10日、テザー社が発行する米ドルのステーブルコインUSDTの送金先を調査し分類したレポートを発表した。

Protosは最も普及しているステーブルコイン市場の実態を明らかにするため、2014年の創設から2021年10月末までの7年間にわたり、誰がUSDTを購入しているのかについて、数ヶ月をかけて大規模な調査を行なったという。

Protosは、テザー社から直接送金されたUSDTの送付先のブロックチェーンアドレスを分析し、特定の事業体にリンクさせるという手法をとった。その結果、テザー社は1,085億ドル(約12兆3,590億円)相当のUSDTを発行し、327億ドル(約3兆7,250億円)相当のUSDTを受け取ったが、その大半はマーケットメーカーおよび流動性プロバイダーに直接送金していたことがわかった。

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出典:Protos

マーケットメーカーはUSDT全発行量の89.2%、ファンド・企業は8.5%、そして個人トレーダーは2.3%を取得していた。

なお、レポートでは1億ドル(114億円)以上のロットでUSDTを取得した事業体をマーケットメーカー、1,000万ドルから1億ドル(11.4億円〜114億円)の取引を行う企業をファンド・企業と定義している。それ以下は個人トレーダーと分類した。

大口顧客:マーケットメーカー

USDT市場を席巻している「クジラ」は、Alameda ResearchとCumberland Globalの2社で、両社が取得したUSDTの合計は全体の約55%に相当する603億ドル(約6.87兆円)だった。その71%に当たる492億ドル(約5.6兆円)はこの1年間に取得されたもので、この間に発行されたUSDTの約60%に相当するという。

仮想通貨取引所FTXの親会社であるAlameda ResearchはUSDT全発行量の37%に当たる367億ドル(約4.2兆円)を取得した。Cumberland Globalは金融取引企業DRWの仮想通貨部門の子会社で、全発行量の22%を受け取った。ProtosはCumberlandが大手仮想通貨取引所バイナンスの主要な流動性プロバイダーの一つだと指摘している。

他の主だったマーケットメーカーと取得額は以下の通り。

FTXに関しては、USDTと米ドルや他のステーブルコインの相互交換機能やOTC取引を提供しているため、大量なUSDT在庫を必要としている。Alameda Researchはトレーディングとマーケットメイキングを行う企業で、FTXに流動性を提供しているのは以前から明らかになっている。

ファンド・企業

ヘッジファンドやトレード企業が中心で仮想通貨投資や取引で利益を出している事業体の中で、USDT取得で主なものは、Three Arrows Capital(シンガポール大手ヘッジファンド)が6億7,400万ドル(約768億円)相当、Delchain(テザー社の提携銀行所有のDeltec Bank and Trust運営)が9億8,000万ドル(約1,116億円)相当のUSDTをテザー社から取得していた。