PayPal Blocks Multiple Alternative Media Figures Critical Of US Empire Narratives|CAITLINJOHNSTONE.COM|Caitlin Johnstone

2022年4月29日

translated by Kei Wakabayashi

ウクライナでの戦争が始まって以来、シリコンバレーが行ってきた反体制派の封じ込めのさらなる拡張として、今度はPayPalは“米帝国”の公式ナラティブに批判的な複数のオルタナティブメディアのアカウントを封鎖したようだ。そのなかには、ジャーナリストで講演者でもあるカレブ・モーピン、MintPress Newsのムナー・アドレーとアラン・マクラウドが含まれる。

つい先日、MintPressは「言論の飛行禁止区域」と題されたマクロードの素晴らしい記事を掲載し、この戦争における米国政府の公式見解への懐疑が、シリコンバレーのメガコーポレーションによっていかに抑圧されてきたかを明かしているが、そこにはウクライナに関する政府方針を受け入れない者に対する、YouTubeの金銭的検閲も含まれている。

そして今日、MintPressとマクラウドの両者は、多くのオンラインコンテンツ制作者がクラウドファンディングをする上で頼みにしてきた決済サービスから締め出された

MintPress Newsは、過去にPayPalそのものについて批判的な記事に発表しており、例えば2018年にホイットニー・ウェブが寄稿した記事では、PayPalと関わりの深い億万長者のピーター・ティールピエール・オミディアが米国政府の利益のために用いた、ナラティブ・コントロールの手法を明かし、2016年の記事では同社がパレスチナ人の口座開設をブロックする一方で違法イスラエル入植者に対して同様の措置を取っていないことを明かしている。

MintPress Newsのエグゼクティブディレクターであるムナー・アドリーに、PayPalのこうした動きについてコメントを求めたところ、以下のような回答が返ってきた。

PayPalがわたし自身とMintPressを追放したことは、反対意見をもったジャーナリストや報道機関へのあからさまな検閲です。過去10年間、MintPressはイラク、アフガニスタン、リビア、ソマリア、スーダンでの戦争から、アパルトヘイト・イスラエルによるパレスチナ占領、サウジアラビアによるイエメンでの大量虐殺戦争、シリア、ウクライナ、ベネズエラでの政権転覆作戦まで、永久戦争国家としての米国の利権を監視するウォッチドッグ・ジャーナリズムの一翼を担ってきました。

衰退に向かっている帝国において、検閲は、永久戦争の真実を消し去り、批判的思考を死滅させるための、不人気な政権による最後のあがきなのです。ウクライナ戦争が激化する戦時下のなか、PayPalを含むビッグテック大手は、新たな冷戦の設計に手を貸し、それに服従しないジャーナリストたちに経済制裁を加えている。Google、Twitter、Facebook、Paypalといったハイテク大手の声明は、まるで悪徳政商のギャラリーのようで、そこで明かされている意図も明らかだ。曰く、ペンタゴンや国務省の公式ナラティブに疑義を呈する者たちの情報の自由な伝達を抑制し、銀行口座を標的にすることです。

ウクライナにおける危機をはじめ、この新たな冷戦から直接利益を得る人びとが運営するテック巨人たちにジャーナリストたちの資金調達を制限する権限があるなどということは言語道断の出来事です。これがロシア、中国、イランで起きたことであったなら、メインストリーム・メディアは、きっと言論の自由や憲法修正第一条について騒ぎ立てるはずです。しかし、自分たちがそれを実行するにあたっては「ロシアのプロパガンダと戦う」という名目で許されるのです。

異議を唱えるジャーナリズムに対するオンライン検閲が、新しい規範となったのです。わたしたちは「言論の飛行禁止区域」にいまや暮らすこととなりました。ロシア、ベネズエラ、ジンバブエ、キューバ、イランなどにおいて、世界人口の25%以上を飢えさせようとしている米国の経済制裁体制は、いまや最大限の圧力をもって自国民をターゲットにしており、オルタナティブメディアのジャーナリストたちは、もはや政府の言いなりにならざるを得なくなっています。

この戦いがどのようなものになったとしても、レイセオンやロッキード・マーティンといった兵器メーカーと深い繋がりをもち、世界中の何百万人もの人びとの血を利益に変えてきたNATOと手を組むテック巨人たちに、コーナーへと追い詰められ痛ぶられることに、わたしたちは抗います。前に進むための唯一の希望は、人びとが非政党主義という広い戦線において団結し、わたしたちのメディアを支援してくださることです。わたしたちは、彼らよりも人数では勝っているはずです。

PayPalはまた、米国人スピーカーでありジャーナリストでもあるカレブ・モーピンのアカウントを差し止めており、彼の個人Twitterアカウントはすでに米国の国家関連プラットフォームによって「ロシア国家関連メディア」の烙印を押されている。

「現金取引のような基礎的なサービスが、なぜ政治的検閲の対象になるのだろうか」と、モーピンはコメントを求めた際に問い返してきた。「独立国家に向けられた経済戦争は、言論の自由をめぐる戦争に変わりつつある。作家やジャーナリストは食べていくことが困難になりつつある」

言うまでもなく、非公認のメディアの声を黙らせる最も効果的な方法は、自分たちの声を届けることで生計を立てることを困難にすることだ。自分についていえば、寛大な読者の支援のおかげで時間と精神的エネルギーのすべてをこの仕事に注ぐ自由を得ることができているが、代わりにどこかのオフィスで9時〜5時の仕事をすることを強制されたなら、これまでと同じだけの量のコンテンツを発信することは不可能になる。資金源を断つことは、記事を直接検閲するのと変わらない。仕事を続けることができなくなるからだ。

わたしたちはいま歴史における重大かつ危険な分岐点に立っている。ウクライナを舞台にした米国によるロシアとの代理戦争は日に日にエスカレートし、ソロモン諸島や台湾をめぐって中国との戦争の足音も近づきつつある。検閲は悪いことだと思っているかもしれないが、これはほんの始まりにすぎない。世界的な覇権争いが本格化したら、きっとこれでは済まない。