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本日はdouble jump.tokyo株式会社(ダブルジャンプトーキョー、以下DJT)CEOの上野広伸さんと、LINE のグループ会社としてLINE Blockchainを提供するLVC株式会社(エルブイシー、以下LVC)CEOの林 仁奎(イム インギュ)さんの対談記事をお送りします。

DJTは世界第1位の取引量・ETH売上を記録した「My Crypto Heroes」に代表されるブロックチェーンゲームの開発・運営やNFT事業支援サービス「NFT PLUS」を提供しています。9月3日にZ Venture CapitalからDJTへの出資と、LINEとのブロックチェーン領域での協業の発表を行いました。

今回は、DJTのCEO上野氏と、LINEとの協業を推進していくLVCの代表である林氏に、「NFTは次のキャズムをどう乗り越えるのか?」をテーマに対談いただきました。

double jump.tokyo株式会社 代表取締役社長CEO 上野 広伸経歴:大手SIerにて金融基盤、ゲーム会社にてゲームプラットフォームの立ち上げに携わり、2018年4月にdouble jump.tokyo株式会社を創業。 ブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」でEthereumにおいて取引高・取引量・DAUで世界一を記録。ブロックチェーンゲーム支援サービス「MCH+」にて「BRAVE FRONTIER HEROES」や「MyCryptoSaga」など多数のブロックチェーンゲームをサポート。NFT運用ノウハウを活かし、ビジネス向けNFT管理SaaS「N Suite」も発表。

LVC株式会社 代表取締役社長CEO 林 仁奎(イム インギュ)2008年4月 CJ Internet株式会社(現ネットマーブル株式会社)に入社、ゲームプラットフォーム事業戦略を担当。2010年7月 NC Japan株式会社に入社、ゲーム事業における経営戦略や新規事業を担当。2014年4月 NHN Japan株式会社に入社、日本・グローバルマンガアプリ事業の執行役員に就任。2018年2月 株式会社カカオジャパンに入社、動画配信事業の事業部長に就任。2019年3月 LVC株式会社に入社、暗号資産事業の事業戦略業務に従事。2020年6月 暗号資産事業部の事業部長に就任。7月、代表取締役社長CEOに就任。

目次

次のキャズムを迎えるNFT市場

ーーまずは、お二人にNFT市場について伺えればと思います。 2021年に入ってから、NFT市場は急速に盛り上がっていると思いますが、お二人はどのように見ていますか?

上野 2021年に入ってからまず話題になったのは、 Flowというブロックチェーンを活用したNBA Top Shotで、売上が単月で200億円以上になったこと、またデジタルアーティストBeepleさんのデジタルアート作品がクリスティーズで75億円で落札されたことですね。

2021年は市場感でいうとアーリーアダプター層まで NFT市場が広がったという風に思います。それまでは新しいもの好きのイノベーター層と、リスクがあっても投資するインベスター層に広がっていたのが、2021年に入ってからは先程の事例をもとに注目が集まり、今はアーリーアダプター層まで広がっていると思います。ただ、マス層まで広がるにはまだまだキャズムがあると思っています。

林 そうですね。個人的に、NFT市場はグローバルと日本で分けて考えたほうがいいと思っています。グローバルではかなり盛り上がっていて、マーケットプレイスも2-3ヶ月ほどで急速に立ち上がったものもありますし、大手のOpenSeaでも7月は急に15億ドルぐらいの取引高が出て驚きました。 OpenSeaのように、何十億ドルの価値を認められている大きな会社もあるというのがグローバル市場なのですが、日本国内は、まだ発展途上の部分も多く、海外と日本で分けて市場感は考えたほうがいいと思っております。

そして、上野さんおっしゃる通りNFTの普及には次のキャズムがあると思っています。NFTが話題になったのは今年の1月ぐらいからで、3月ぐらいまで盛り上がって、実はその後結構低迷した時期もありました。それから再度7月、8月ぐらいに入ってから盛り上がっている、というのが今のグローバルマーケットです。

市場の黎明期のため短期的な予想は難しいですが、NFTが中長期的により広がっていくのは確実だと思っています。ただし、日本国内ではまだまだ課題も多いですし、国内でNFT持っている方も多くないのが現状です。

海外は大衆化に向けて機能開発のステータスとも言えるのですが、日本国内ではユーザーがまだ少なく、次のステップに進めていない状況だと思っています。その点、DJTは海外での実績もあり、グローバル含めて展開していくブロックチェーン企業なので、国内でも大きな強みを持っていると思います。海外での経験を日本国内でも活かして国内の市場を牽引していく会社だと思っていまして、ものすごくリスペクトしています。

NFTの用途は細分化されて住み分けが進む

➖➖林さんが注目しているユースケースはどんなものですか?

林 最初のツイートがNFTになる、というのが一時期話題になりましたよね。今までは資産価値を持っているデジタルコンテンツではなかったものがいきなり NFT とくっついて資産価値を持つデジタル資産になった、というのが話題性になっていました。 ですが、実際のユースケースとして我々として考えているのは、持っていて記念になったりするだけではなくて、日常生活で使えるとか、自分が遊んでいるサービスで使える、というものです。 「NFTが高値で売られました」というのはニュース価値や話題性があるのですが、「ゲームのアイテムが買えて、追加されてユーザー同士で売買しながら新しいゲームの体験ができるようになりました」というのは、説明も難しいし、そこまで新しい話でもないのでメディアに取り上げられづらいです。話題性のあるものと、実際のビジネスの規模感や価値である程度乖離があると感じています。 ですが、大衆化という側面では両方大事なので、両方バランス良く進めながら、収集型コレクタブルのNFTも、実際にNFT使えるゲームや、NFTとコンサートやライブなどの特典や権利や価値が付いていて、使うこともできるユーティリティとしてのNFTもそれぞれの価値と役目を持って成長していくのではないかな、と思っています。

上野 そうですね。NFTが一般層に広がっていく過程でアートやコレクタブルというよりもユーティリティに注目が集まっていくと思います。その中でも一番最初にユースケースになっていくのはゲームだという風に思っています。注目しているものは最近出たAxie Infinityで、取引量を見て分かる通りものすごい市場規模になっています。面白いのは金銭的に余裕のある人がNFTを買い、そのNFTを借りてプレイしてゲームの中で資産価値を高めていく、という流れができています。NFTのアイテムを貸し出すスカラーシップ制度のような、新しいゲームのやり方が起きてるのは非常に面白いと思います。

コレクタブルに関しては、まずはファングッズ系やデジタルファッション系が広がっていくと思っています。コロナ禍で、デジタル上でコミュニケーションする機会が増えてきていますし、デジタル上のコレクタブル、いわゆるデジタルアイテムの価値が徐々に認められてきていると思います。 保管や管理面でデジタルにはデジタルの良さがあって、写真のようなリアルなアイテムにもそれぞれ良さがありますよね。電子書籍と紙の書籍のどちらが良いか、という議論に近くて、紙の書籍は本の内容だけでなく、手触りなど読書体験そのものにも価値があります。一方、電子書籍はかさばらなくていいし、検索性高いっていう面もありますよね。 どっちの方がどうっていうわけじゃなくてお互いにメリデメがあって、それぞれ使い分けていくという感覚はNFTを通じておそらく徐々に理解されていくと思っています。