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VISAによるNFT(ノン・ファンジブル・トークン)購入を受けて、NFT熱は最高潮に達し、2017年のICO(新規コイン公開)ブームと比べる人たちも出てきたほどだ。

NFT熱とICOブーム

もちろん、2つには大きな違いがある。ICOは、プロジェクトにおける(非常に大まかに言って)株式のようなものを購入するチャンスと宣伝されていたのだ。

つまり、多くの人たちが当時嬉々として指摘していた通り、未登録の証券発行であり、米証券取引委員会(SEC)をはじめとする規制当局による一連の取り締まりが行われた。その多くは、判決や和解までに3〜4年の月日を費やし、明白な詐欺の申し立てがない場合でさえも、時には数百万ドルの和解金による示談という結末を迎えた。

あなたがNFTを作る側の人間だったら、頭の片隅に、拭いきれない疑念の声を聞いているかもしれない。これから3年後、SECが家のドアを叩きに来て目を覚ますのだろうか?と。

まず、1つ但し書きを。私は弁護士ではない。弁護士ならば、NFTの規制についての質問に正式な回答を与えるのに、有償でたっぷりと時間を取るだろう。しかし私は、金融規制についての報道にはしばらく携わっており、ウェブ上で無料で見込めるものとしては、間違いなく法的ではない最高のアドバイスを与えられるはずだ。

1つ朗報がある。現在流通しているNFTの大半は、ほぼ間違いなく証券ではない。証券は通常、他人の仕事からの将来的な収益に対する権利として定義される。

一方のNFTは通常、すでに取り組まれている仕事の成果である。最も近くて分かりやすい比較対象は絵画だ。その価値が高まるという理由で買ったとしても、絵画そのものを買ったのであり、二次的な権利を手にしたのではない。SECが大きな関心を寄せる可能性は低い。

だからこそ、かなりの数のNFTシリーズや関連プロジェクトが、素敵な非証券コレクション品をわざわざ、SECが間違いなく関心を持つものへと転換しているのが奇妙なのだ。

NFTの分割

NFTをSECの監視対象にする最もシンプルな方法は、分割である。NFTの分割とは、単独の個人や組織が全体を保有する代わりに、複数の投資家が部分ごとに購入するということだ。

クリプトパンクス(CryptoPunks)が数百万ドルの評価額に達していることもあり、投資として一部分だけを保有することの魅力は明らかだ。(私からすると、それはNFTという試みの精神に反するものだが、それについては後ほど) 少なくとも1つのマーケットプレース「Fractional.art」は、分割というアイディアを追求している。

私たちはすでに、そのような取り組みはSECの管轄範囲内であることを知っている。マスターワークス(Masterworks)を筆頭に大手企業が、投資家向けに現実の芸術作品を分割化しているからだ。

マスターワークスは、会社自体はブローカーとして登録されてはいないが、その商品やサービスはSECに登録されている。実際には、ウェブサイト上で芸術作品のための公開OTC(相対取引)ボードを運営しているように見えるが、名目的には、同社が主に発行者であるからなのだが。ということは、それで問題ないということなのか?私には奇妙に感じられる。

証券NFT

しかし、現在の保有者に収益分配をもたらすことによって、証券の領域にはるかに明確に向かっているNFTも存在する。その例がBuzzed BearsとLazy Lionsだ。どちらも、保有に特定のガバナンス権を付随させている。これには、将来的な販売からの収益を、現在の所有者に再分配する権利も含まれる。

Buzzed Bearsに至っては、収益を高めるためにクマを「冬眠」させるステーキングシステムも備わっており、運営者は、保有者がコントロールするDAOを満たすために商品を販売する約束までしている。それはおそらく、証券だろう。

ここで指摘しておくべきなのは、これらは価値ある実験であり、NFTが奇妙で奇抜なものになる可能性の一部なのだ。NFTには多くの機能を組み込むことができ、それらの多くは興味深いものだ。NFTを保有することで、アーティストやバンドに対して特別なアクセスを手にできるというアイディアには、多くの可能性が秘められているのは明らかだ。

しかし、「優れた二次的機能を持つNFT」と「間違いなく証券であるNFT」の境界を定めるのは、複雑で厄介なプロセスとなるだろう。「厄介」というのはつまり、「SECが提訴するかもしれない」ということだ。