独占取材!NFT市場の「民主化」を目指す楽天、NFTマーケットプレイス参入のビジョンに迫る

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FINDERSでも度々取り上げてきたNFT(Non-fungible token=非代替性トークン)。今年になって毎日ネット上ではNFTに関するニュースが飛び込んでくるようになりました。これはもはやNFTバブルではなく、次の価値の流通手段として確実に我々の生活に馴染むことになるでしょう。

この度、FINDERSは来春のNFT参入を発表した楽天の担当者に、単独インタビューを行いました。楽天のNFTマーケットプレイスおよび販売プラットフォームの「Rakuten NFT」を超えて、NFTを取り巻く世界の全体の未来が見える内容となっていますので、ぜひ最後までお読み下さい。

文・聞き手:米田智彦

―― 来年、楽天がNFTのマーケットプレイスに参入するというニュースは大きな反響で受け入れられました。現在、国内外でNFTのマーケットプレイスは乱立状態にあり、バブルとも言える状況にありますが、楽天のマーケットプレイスの他社との差別化、独自性、強みなどを現時点で結構ですのでお教え下さい。

現在のNFT市場は、投機筋やブロックチェーン技術に非常にリテラシーが高い層が中心になっています。投機家や、テッキーと呼ばれるブロックチェーンに詳しいコミュニティーなどを中心に、NFTデジタルアート等への投資が行われており、それらの価値が上がることを期待し、NFTを購入・保持することがトレンドです。また、海外ではNFT事業者もそれらのトレンドを推奨しており、投機的色彩が強く警戒感を呼び起こすものが多い印象になってしまっています。さらに、ブロックチェーンの複雑な技術や専門用語、乱高下を繰り返す暗号資産市場など、一般ユーザーにとってはかなりハードルが高いものとなっています。

楽天はこのようなNFT市場の「民主化」を目指し、楽天IDと法定通貨を利用した簡便な取引の仕組みを導入します。これが一つの差別化ポイントです。これを実現するために、私どもは販売プラットフォームを用意するだけでなく、 楽天のプライベート・ブロックチェーンでサービスを構築いたします。これにより、権利者やファンの要望を反映しやすく、 さらに安全で信頼でき安価に利用できるようになります。

―― 今や国民のインフラになったと言っても過言ではない楽天の各種サービスですが、その圧倒的な楽天エコシステムを利用するユーザーに対して、楽天のNFTはどんなサービスを普及させたいとお考えですか?

現在1億以上の楽天会員を対象として、「楽天エコシステム」の70以上のサービスの中からさまざまなサービスと連動した施策を運用予定です。「楽天チケット」、「楽天コレクション」、「Rakuten TV」などの利用特典としてNFTを配布することや、スポーツ試合の観戦記念として NFTを配布するなど、オンライン・トゥー・オフラインのマーケティング施策などを実施する予定です。「Rakuten NFT」によってリアル体験とバーチャル体験を結び合わせ、楽天サービスでしか体験できないファンにとっての重要な価値を創出したいと考えています。もちろん、「楽天ポイント」の利用もその重要な要素です。

「Rakuten NFT」は課題解決や地域振興、スポーツ振興など、アート以外の展開も

―― NFT というと、どうしてもデジタルアートと考えがちですが、アスリートのファントークンなど、クラウドファンディングの次の時代の寄付や支援になる可能性があると考えます。楽天はデジタルアートの売買だけではなく社会の課題解決や地域振興など、NFTの派生系のプロジェクトはお考えですか?

はい。弊社としてもファントークンなど。デジタルアートやコレクションアイテムに留まらないサービスの展開を構想しております。特に、弊社の開設予定のサービスは「ホワイトレーベル型」の販売サービス機能を備えており、楽天の所定の販売サービスサイトだけでなく、IPホルダーが固有のデザインや商品設計でNFT販売サイトを構築することができます。この機能を活用することで、社会の課題解決や地域振興、アマチュアスポーツ振興、もちろん各コンテンツ権利者の課題や海外でのコンテンツ販売など、さまざまな課題に対して「Rakuten NFT」による支援を行ってまいります。

「Rakuten NFT」がすべての人にとって身近な存在となるよう、楽天グループ全体と連携して、サービスを展開してまいります。

―― 今後は多くのファンをすでに抱えているIPやコンテンツを持つ企業がNFTにどんどん参入してくるのは明らかですが、楽天マーケットプレイスは、どの分野のコンテンツをNFT市場に参加させたいと考えていますか?

ファンコミュニティーが醸成されやすいスポーツ、アニメ、アイドル、ゲームなどの分野のコンテンツの展開を進めております。

楽天IDと法定通貨を利用した取引を導入。楽天ポイントを使用した決済も可能に

―― マーケットプレイスはトークンを国内の暗号通貨の取引所で買い、それをメタマスクなどのウォレットに送金し、そこから作品を購入し、今度はウォレットに入ったトークンを現金化するという、暗号通貨にかなり親しんでいるユーザーでないとなかなか参加できないことがネックになっていると考えています。多くのユーザーに門戸を開き、広く売買のしやすくするという点で楽天さんはどんな仕掛けを考えていますか? ドル決済できるマーケットプレイスも出てきていますが。

ご指摘の通り、現在のNFT市場は暗号資産に親しみのない一般ユーザーにとってはかなりハードルが高いものとなっています。そこで楽天はこのようなNFT市場の「民主化」を目指し、楽天IDと法定通貨を利用した簡便な取引の仕組みを導入します。さらに「楽天ポイント」を使用した決済も可能になります。これを実現するために、私どもは 販売プラットフォームを用意するだけでなく、楽天のプライベート・ブロックチェーンでサービスを構築いたします。これにより、権利者やファンの要望を反映しやすく、さらに安全で信頼性が高いマーケットプレイスを安価で利用できるようになります。