<aside> 💡 このページではNFTの価値の源泉について解説しています。
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前節までの内容で、NFT事例とNFTの仕組みについて見ていきました。本節ではNFTがどういった用途で使われているのかを見ていきましょう。
NFTは「Flexな気分にさせてくれるモノ」として広く普及し始めた背景があります。
**「Flex(フレックス)」**は「見せびらかす、格好つける、自慢する」という意味を持つスラングです。元は「筋肉を見せびらかす」といった意味でしたが、「今日は高い服でFlex(=キメてきた)だから、見てくれよ」という時に、使ったりします。
これまで、個人「所有」することでFlexできたものとしては高級時計やかっこいいスニーカー、イケてるファッションブランド、などでしたが、このコロナ禍によって急速にリアル空間のコミュニケーションが減少した結果、「Flexする機会」が失われつつあります。
Flexなモノは「そのモノがFlexであると感じる人間の数」が価値です。つまり、コミュニティが価値の源泉とも言えます。1万円の札束を持っていて「すごい」と思われるのは、「1万円札」に価値があると感じている「日本人」というコミュニティが存在しているからです。
もし、そのコミュニティが縮小し「そのモノ」に価値があると信じる人間の数が減少したとすると価値は減衰していき、朽ちた神社や地方の廃墟などへ変貌していきます。
NFTはこれまでリアリでのコミュニケーションでしか感じることができなかった「Flexな気持ち」をデジタル上でも体験させてくれるものとして爆発的に広がりました。
人間はとても社会的な生き物です。人間はムダなものにお金を払うことで社会的地位を満たそうとする性質を持ちます。
例えば、アイドルオタクと呼ばれる熱狂的なファン達は、推しの缶バッジを自分のバッグや服にたくさんつけた自作の応援グッズを作っていることがあります。これは「好き」という気持ち以外に「金銭的に余裕がある」ことを周りに見せつけることで、他のファンとの**「差分」**を出そうとする行為です。
http://jin115.com/archives/52080436.html
http://galaxyange.livedoor.blog/archives/14606745.html
人間は自らの承認欲求を満たすために一見無駄に見える不合理な行動を取ることがあります。高額なNFTが売れ続ける理由はここにあります。人間は本能的に他人との差分を他者にアピールしたいものなので、その「差分」をデジタル上で証明できるNFTはFlexの概念にドンピシャでハマるのです。
NFTはこの「差分」を誰にも明らかな状態で証明することができるため、熱狂的なファンはその「差分」を表現するためのお金に出し惜しみません。この時にほしいと思うファンが二人以上いれば価格は青天井です。価格が高ければ良いという話ではありませんが、NFTは他者との差分を表現する用途に向いており、人間が他人との【差分】表現したいポイントにNFTを配置するとFlexな価値の高いNFTができるということです。
NFTの企画や設計を行う際に、NFT販売を単純なデジタルデータ販売と捉えるのではなく、購入者が得られるFlexな体験までを設計し価値付けをしっかり考えていく必要があるのです。
差分を表現するFlexなNFTには3つの条件があります。