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文:米田智彦

6月21日、東京・神楽坂の神楽音で、NFTアートの展覧会「CAJ EXB」(CAJ=CRYPTO ART JAPAN / EXB=Exhibition)が開催された。今回は日本発世界で活躍するクリプト(暗号)アーティストと日本人アートコレクターが集合。フィジカル(物理的)とデジタルの両面から作品展示が行われ、日本のクリプトアートのメインプレイヤーたちが集まった。

参加アーティストは、自身もコレクターとしても活動するクリプトアーティストのVJyou氏、VRクリエイター/Vtuberとして活躍するミソシタ氏、XRアニメーション作家のTounne氏、クリプトアーティストコミュニティ「NFT & CRYPTO ART JAPAN」を主宰するビジュアルアーティスト/クリプトアーティストのmarimopsphere氏と、日本のNFTアート界で活発な活動を展開している個性的なアーティストたちがそれぞれの世界観を披露した。

アーティストサイドだけでなく、アートコレクターが招聘されたのも今回の展覧会の特徴だ。日本のコレクターを代表するlev氏、Wakiyama-P氏、大冨智弘氏らが参画。彼らがこれまでにコレクションしてきたNFTの名作もフィジカルにリアル空間に展示された。

出展作品リストは以下。

アーティスト / 作品タイトル : marimosphere “Industrial Revolution” VJyou “Portal Journey” Tounne “Last Train” MISOSHITA “Shoben Noise Gold Geisha”

コレクター/ 所有作品作者名 / 作品タイトル: lev : JOSIE BELLINI ”Everything's Fine” WakiyamaP : せきぐちあいみ “Alternate dimension 幻想絢爛” ootomitomohiro : せきぐちあいみ “Ever Changing Phoenix” ootomitomohiro : Rhizomatiks 007 "Rhizome - 05"

日本初のフィジカル&デジタルのNFT展覧会

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アーティストとして参加もしながら、今回のイベントの開催を手がけたmarimopsphere氏は、開催意図として以下のように語る。

「これまでのNFTは、PCを開いてウェブブラウザを立ち上げ、さらにマーケットプレイスにつないで、やっと自分の所有しているNFTアートや、さまざまなアーティストの作品を見ることができるというユーザーエクスペリエンスが通常でした。これは従来のアートを鑑賞する体験とはかなりかけ離れたもので、いわゆる豊かなアート体験とは言い切れないものだと感じていました。そこで本展ではNFTのフィジカル展示に焦点をあて、実空間でクリプトアートをフィジカルに体験することができる機会を提供することを目的としています。この度、緊急事態宣言明けの初日に、メディアデーということで入場者数を限定して開催することとなりました。NFTのフィジカル展示としては日本初の事例となると思います。リアルの空間で、NFTアートという概念的かつ技術的な要素の強いアートの文脈を、いかに熱量の伝わるコミュニケーションの場につなげていくかということを意図しました。

また、コレクター、アーティストで仮想空間にバーチャルギャラリーを持っているメンバーはそちらにも同時に作品を展示しています。メタバース(多人数が参加可能で、参加者がその中で自由に行動できる、通信ネットワーク上に作成された仮想空間)におけるクリプトアートの展示にはかなりの可能性を感じて取り組んでいます」

実際の展示の構成について、例えばデジタルアートをどのくらいの大きさのスクリーンに映したかなどについて訊いたところ、

「出展作品はすべてデジタルアートNFTで、8枚のデジタルアートフレームとLookinGlassというホログラフィックディスプレイで構成しました。会場のサイズに合わせ、32インチ程度のスクリーンをメインフロアの左右に並べ、会場の真ん中にあるステージには、プロジェクターでステージ全体に大映しにして、会場で流していたDJに合わせたVJ映像や、今回の全出展作品を上映しました。すべての出展作品を1枚のスクリーンでループさせるほか、LookinGlassというホログラフィックスクリーンでXRアーティストTounneさんの作品を展示しました」

次ページ:NFTの普及にはコレクターの参画が重要な鍵となる

日本初!フィジカル&バーチャルNFTアート展「CAJ」開催。日本発世界で活躍するクリプトアーティストとコレクターが集結

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今回アーティストだけでなく、コレクターも招聘した意味については、

「NFTマーケットはまだ黎明期にあり、NFTの可能性に気づいたアーティストたちが次々に参入している状態です。ですが、アーティストがたくさんいても、その作品を評価したりコレクションするコレクターがいなければ、需給のバランスは崩れ、NFT業界の発展にとって不利となるでしょう。そこでCrypto Art Japanでは、本展示を通じて、コレクターの視点でコレクションした作品も展示することで、より幅広い視野でNFT、クリプトアートの文脈を示すことを意図しました。また、今後増えてくるであろうNFTの展示やNFTの二次利用などに関しての事例を考えていくためにもこういった実験的な試みや機会は必要かつ重要だと考えています」