TanéのIkumaです。

Tanéでは、Cryptoの中でもインフラストラクチャー領域のプロジェクトを中心に投資しています。

この記事では「Modular Blockchain(以下、モジュラーブロックチェーン)」というブロックチェーンの設計の新しいコンセプトを紹介します。

レイヤー2のOptimism、Arbitrum、データアベイラビリティレイヤーのCelestia、EigenLayer、シーケンシングのEspresso、Astria、Radiusなどのプロジェクトが多額の資金調達を行っており、投資の観点でも注目されている領域です。

モジュラーブロックチェーンの生まれた経緯

ブロックチェーンの設計は、最初は単一のブロックチェーンが実行、決済、合意形成、データの可用性の全てを行うモノリシック(一枚岩のようなという意味 注1)な設計でした。

例 モノリシック・ブロックチェーン:Ethereum、Avalanche、Solana等

しかし、Ethereumなどのモノリシック・ブロックチェーンが成長するにつれて、多くのユーザーや莫大な取引数に対応するにはスケーラビリティの点で限界があることがわかってきました。

Ethereumでは、2020年のDeFi(分散型金融)サマー、2021年のNFTサマーなどで多くのユーザーに使用されたり、大量の取引数が発生した際に、ガス代の高騰や取引の遅延が頻繁に発生していました。

これに対して、Ethereumは、レイヤー2ブロックチェーンとEIP-4844の導入から始まるDanksharding対応により、スケーラビリティを拡張させようとしています。

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レイヤー2のロールアップ 出典: "The Modular World" by Maven11

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EIP-4844 Proto-Danksharding 出典: "The Modular World" by Maven11

この対応をきっかけに、単一のブロックチェーンですべてを行う必要がなく、ブロックチェーンを別々の機能に分割するというコンセプトが生まれました。

このコンセプトの発展したものが「モジュラー・ブロックチェーン」です。

このコンセプトは、レイヤー1のブロックチェーンの主な機能を分解することで、個々のレイヤーを100倍改善することができ、その結果、よりスケーラブルで、組み合わせ可能で、分散化されたシステムが実現するというものです。

(注記 モノリシック vs モジュラーという議論は、システム開発の歴史において、長年繰り返し議論されてきたトピックです。Web2の開発では、マイクロサービス化の流れもありました。)

モノリシックとモジュラー

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