先日の「DAOの裏側」という記事では、Index Coop DAOの目的や組織構造、報酬体系についてご紹介しました。しかしながら、ご存知の通りブロックチェーン界隈ではここ最近DAOがトレンドとなっているため、日々新たなDAOが誕生しています。
下の画像をご覧ください。
引用:https://coopahtroopa.mirror.xyz/_EDyn4cs9tDoOxNGZLfKL7JjLo5rGkkEfRa_a-6VEWw
これらは現時点で存在するDAOの一例です。Index Coopは右上部、DeFiなどのプロトコルを開発・運営することを目的とした「Protocol DAOs」に分類されています。
他にも資金をコミュニティから募って共同投資を行う「Investment DAOs」や特定の領域の将来有望なプロジェクトへ資金援助を行う「Grants DAO」、文字通りDAO形式でメディアを運営している「Media DAO」などがあります。
そして、こうしたDAOは同じように運営されているとは限りません。メンバーが自律分散的に参加・活動するというDAOの根本的な部分は共通していますが、それ以外の具体的な運営方法はDAOの目的に合わせてカスタマイズされていることが多いのです。
この記事では、特徴的なDAOをいくつか取り上げ、Index Coopと比較していきます。それを通じてDAO全般とIndex Coopの両方についての理解を深めていただければ幸いです。
DAOは能力と熱意があれば誰でも参加できるのが原則です。しかし、この原則に当てはまらないDAOも存在します。
上図でMedia DAOに分類されている「Bankless DAO」や「FWB(Friends With Benefits DAO)」に参加するには、それぞれの独自トークンを一定量保有し、それを認証することが必要です。Bankless DAOの場合は記事執筆時点で約30万円相当の$BANKトークンが、FWBへの参加には約50万円相当の$FWBトークンを保有していなければなりません。
Index Coopも独自トークンとして$INDEXトークンを持っていますが、DAOへの参加には必要ありません。
なぜそうしたDAOはトークンの保有を参加条件としているのでしょうか?
参加者のレベルを高く保つBankless DAOやFWB DAOに参加するために要求されるトークンの日本円建ての金額は、決して安くありません。このような負担を許容し、それでもDAOへ参加してくれる人には、DAOの目的のために熱意を持って活動してくれることが期待できます。また、DAOの独自トークンはバイナンスやビットフライヤーといった中央集権的な取引所ではほとんど取り扱われていません。このハードルを乗り越えて分散型取引所でトークンを購入できるということそれ自体が、参加者がブロックチェーンやDeFiに関する一定の知識を持っていることの証明になります。そうしたリテラシーの高いメンバーで構成されたDAOは、より効率的にプロジェクトを進めていけるでしょう。
参加者にDAOのステークホルダーになってもらう
DAOのトークンを購入するということは、そのDAOへ投資するということです。DAOのステークホルダーにとっては、自分の活動がDAOの価値を高め、保有するトークンの価値も高まるというインセンティブが、より積極的な参加を促すことになります。また、DAOに対する悪意ある行動も抑制することができます。
一方、誰にでもDAOへの参加機会を開くことにも意義があります。DAOという組織形態の強さの1つは、世界中どこにいても、誰であっても、能力と意志があれば参加できるということです。この点に関しては、金銭的なハードルを設けないことでより多くの人々に門戸を開くことができます。トークンを保有していなくても、貢献に対する報酬や、純粋にDAOへの貢献のために協力してくれる有能な人材が現れるかもしれません。
注:なお、トークン保有を条件とするDAOであっても、例外的な措置としてトークン無しでの活動を許可する場合はあります。
この項ではIndex Coopと同じProtocol DAOに着目します。先述の通り、このカテゴリのDAOはDeFiプロトコルやNFTマーケットプレイスなど、何らかのプロトコルを開発・運営・発展させることを目的としています。
このジャンルには、分散型取引所として最大級のシェアを持つUniswapの運営DAOや、NFTマーケットプレイス「Rarible」を運営するRarible DAOなどがあります。