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機関投資家がDeFi(分散型金融)に注目し始めている経緯

提示されたデータと分析結果を見れば、金融システム全体が、より高い安全性、透明性、プロトコル間の互換性を念頭に、第一原理の部分から再構築されている最中だと言っても過言ではありません。

金融の世界の抜本的なイノベーションと成長は、すばらしい投資リターンと機会をもたらし、この分野に流入する機関投資家の資金も右肩上がりとなります。 Codefi Compare というツールを使って、従来の金融機関と利回りを比較してみてください。レンディングプロトコル「Aave」でUSDCの流動性を供給した場合、年換算利回りは6.27%、サービス開始以来の平均利回りは7.22%となっています。AaveでsUSDの流動性を供給することで得られる利回りは32.5%に達するなど、各プロトコルが流動性を追求する中で、魅力的な利回りがますます標準的になりつつあります。

これらのレンディングプロトコルの多くは、登場からまだ数年しか経っていません。世界各国の法体系の中で、既存の規制構造を新しいロジックにいかに適切に対応させるかについては未だ検討中ですが、各種の新サービスが、これらのプロトコルへの機関投資家の資金流入を促す上で重要な役割を果たし始めています。一般的に、金融機関の規模が大きくなれば、コンプライアンスや規制に関する監視、報告、監督の要件も厳しくなります。DeFiが中小規模の暗号資産ファンド(運用資産残高10億ドル未満)で早期に採用された背景には、このような理由があります。

抜群の投資リターンを得るチャンスに突き動かされ、また規制やコンプライアンスの観点からも可能であることから、より規制の厳しい機関投資家がこの分野に参入してきています。PWC(PricewaterhouseCoopers)のレポート によると、伝統的なヘッジファンドマネジャーの47%(運用資産残高1,800億ドル相当)が、暗号資産への投資を検討しています。 Intertrustの調査 では、ヘッジファンドは5年後には資産の7%、3,120億ドルに相当する仮想通貨を保有すると予想されています。投資会社は間違いなくDeFiの導入において先行するでしょう。しかし、これらの企業やその他の大規模で規制の厳しい機関が深い谷間を超えるためには、そのために必要なDeFIインフラの構築が必要です。楽しみなことに、市場ではまさにそうした動きが進んでいるのです。

構築が進んでいるのはDeFi周辺のツールやインフラだけに留まらず、機関投資家にアクセスを提供するためにDeFi自体の革新も進んでいます。例えば Aaveの許可制プール のように、認証された参加者(KYC法準拠)のみがオンチェーンの資産管理にアクセスできるようにしたプライベートレンディングプールがあります。CompoundFinanceでは最近、機関投資家が年4%の固定利息を得られる新商品 Compound Treasury の発売を開始しています。 Currentなどの大手フィンテック企業では、すでに自社製品へのCompound Treasuryの統合を開始しています。MEV(マイナー抽出可能価値)の問題点の解決、最良執行のプロトコル作成、分散型アイデンティティの仕様の検討など、機関投資家に焦点を当てたプロジェクトがますます存在感を増しています。

ConsenSysは今期、MAU(月間アクティブユーザー数)800万人を超える業界で最も実績あるウォレット「MetaMask」を支える技術を活用し、機関投資家向けのウォレットMetaMask Institutional, を発表しています。MetaMask Institutionalを使用することで機関投資家はDeFiにアクセスできるだけでなく、社内ファンドマネージャーによる資金の流用などを防ぐセーフガードの構築を可能にしています。MetaMaskInstitutionalでは資産の移動に必要な内部関係者の数を設定できるため、ファンドマネージャーによる不正行為や全資産の盗難を防止することができます。

さらに、MetaMask Institutionalには Codefi Compliance という堅牢なアドレス追跡システムも搭載されており、カストディアンは、プール内での不正行為が疑われるアドレスを効率的に特定できます。多くのファンドがDeFiへの参入を希望しているものの、自身の資産と提供元未検証の資産を混在させることに法的な問題があると感じており、参入が叶わないという課題があります。このような問題は通常KYCで解決されますが、DeFiのプロトコルはオープンかつ分散化されているためKYCを採用しておらず、プロトコルを代表としてKYCを実行する中央機関が存在しません。