こうした人生相談の類を読むと、相談をもちかける人の事情が具体的にイメージできないということがよくあります。伝達というのは、箇条書きできるたぐいの客観的情報を正確に伝えるだけでは十分ではありません。当該事象を取り巻く雰囲気を相手に嗅ぎとってもらうようなやり方が求められるのです。それを成功させるための出来合いの方法などありません。伝達の経験を重ねること、そして、伝達したい事象を十分に理解すること、これ以外にやり方は
オレンジ色のハイライト | ページ: 12 私たちは時折、重大な選択を迫られます。それらは徐々に行われることもあれば、突然に行われることもありますが、いずれにせよ、常に意図せざる仕方で行われるとフィンガレットは言います。というのも、決断はあれこれと計算した結果としてなされるものではないからです。意図せずに行われていた逡巡と熟考の末に、「ああ、これがなすべきことだった」という仕方で、既に決心ができている自分に気付くのです。フィンガレットは、決断とは受動的なものだとも言っています。安冨歩の巧みな説明を用いて言い換えれば、人間は「こうしよう!」という形で決断するのではなく、「そうなってしまう……」という形で決断するの
オレンジ色のハイライト | ページ: 24 だからシルバーハンマーさんがやりたいと思っていることをやればいいし、これじゃダメかなと思ったら立ち止まって考えればいい。ただ、「こういうことをやっていた人間はこうなれる」などとは思わないこと
オレンジ色のハイライト | ページ: 28 重要なのは、「恋愛」という言葉を構成している「 恋」と「 愛」の違いです。「恋する」とは「相手を求め、自分のものにしたがる」こと、「愛する」とは「相手を認めること」だと二村さんは言っています。「愛する」とはつまり、「相手が存在していることを、心から「いい」と受けとめること」と書かれています(同 30
オレンジ色のハイライト | ページ: 30 モノや概念に熱中することで、「苦手な人間関係から逃げている自分」を認めるのを避けているオタクがたくさんいる。そういう人たちは「キモいオタク」と呼ばれる。なぜ彼らがキモいのかと言うと、自分を「ごまかしている」こと、ナルシシズムが強すぎることが周囲にバレバレだからだ、というのです。 つまり、「キモオタ」と呼ばれる存在は、その容姿とは全く関係がないということ
オレンジ色のハイライト | ページ: 34 回遊魚さん、寂しいのはあなただけではありません。それをプライドでごまかしてはいけません。プライドなどは、はっきりいって何の役にも立たない。人間の自由を邪魔するだけのものです。 しかし一度取り憑いたプライドはなかなか取り外せません。これは誰かと一緒にやるしかありません。誰でもいいのです。すこしずつそのプライドを無視した話ができる相手を探してください。対面が無理なら、SNSとか掲示板とかでもいいの
オレンジ色のハイライト | ページ: 38 「モテる」とは「敷居が低い」ことを意味している──これが私の結論です。何らかの理由で或る人物の中に他人が入りやすくなっているとき、その人物は「モテる」のです。これはよくよく考えれば分かることです。すごいカワイイ子が必ずしもモテるわけじゃない。美男子が必ずしもモテるわけじゃ
オレンジ色のハイライト | ページ: 38 誰しもが「心の穴」を抱えており、そして、少なからぬ人がその「心の穴」を誰かに恋することによって「埋めよう」としているからだと思います(前掲書 52-|55 ページ)。 この人なら分かってくれる……。この人といれば「さみしさ」から解放されるんじゃないか……。この人といれば「なりたい自分」になれる
オレンジ色のハイライト | ページ: 53 彼は人間が作り出したもの(これを「ノモス」と言います)には価値をあたえず、自然の中に現れ出たもの(これを「ピュシス」といいます)を重んじました。彼にとっては国家など人間が作り出したノモスに過ぎないのです。 またそのような思想のためか、彼は貨幣を偽造したと言われており、その罪で一度街を追われています。しかし、貨幣によって貧富の差が生じ、貨幣によって人が誰かの奴隷にもなるのだとすれば、彼が、ノモスの一つに過ぎない貨幣を勝手に作り替えたというこの逸話も十分に理解できるもの
オレンジ色のハイライト | ページ: 70 あと、最後に、ここまで書いて気付いたんですが、ニコニコンちゃんさんが僕の友人で、飲み屋かどこかでこういう相談をされたら、僕はやっぱり、「お前さ、相談にみせかけて、自慢してんじゃねーよ」って言うなぁと思いまし