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旭川医大

【質問】「勉強会で使用しているテキストを教えていただきたいです」

【回答】問題集に関しましては現状では一般向けの漢方・薬膳検定のテキストや医療人向けの漢方医認定試験のテキストを利用し問題演習をしております。今後はこの間を埋めるようなレベルの問題を作れたら…と考えて活動しています。単語帳の方に関しましては添付した画像のようなものを作成して勉強に役立ててもらっています。

三重大

【質問①】「大変わかりやすい発表をありがとうございました。 スライド中で狭心症が血虚に相当すると紹介されていたと思います。正直、起因から考慮すると狭心症など血管閉塞症には瘀血の印象が強かったのですが、たしかに結果的には血虚の症状も現れると思いました。 血管閉塞症について、瘀血の要素と血虚の要素をどのように考慮すれば良いか、もし検討したことがあればご教示いただけると幸いです」

【回答①】ご指摘ありがとうございます。不安定狭心症や心筋梗塞などの血管閉塞の疾患は、継続する血虚が陰虚に転じ、最終的に三焦(末梢)に気が届けられず、瘀血が起こると解釈することもできるかと思います。今回は貧血による狭心症ということで、血栓やプラーク(瘀血と捉えることができると思います)によって血管が閉塞されるという機序よりも、血液成分の減少・血液の運搬能力の低下によって心筋細胞に酸素や栄養分を届けられないという部分に焦点を当てて解説させていただきました。狭心症によって起こる痛みは、時間の経過によって改善するという点で、瘀血があることによる痛みというより、気滞による痛みの性質の方が強いのではないかと思います。私もまだ実臨床はどうかという部分にはお答えできないのですが、血管閉塞症の治療は西洋医学によるものが奏功するという点で東洋医学的な検討はあくまで治療の参考という程度にとどまるかと思います。

【質問②】「十全大補湯の生薬に書かれていた桂皮と肉桂は同じものでしょうか」

【回答②】ご質問ありがとうございます。生薬の基原植物や使用する部位というのは、時代や地域によって異なるそうですが、桂皮と肉桂は、厚さによって区別されるそうです。根本幸夫先生監修の『漢方294処方生薬解説』(じほう)によれば、肉桂は桂皮よりも肉厚であるそうです。それだけでなく、辛温解表薬である桂皮と比べて、肉桂の方は腎の補陽による強壮作用に重きを置いて使用されるので、利用上これら2つは区別されることがあるようです。修治法などについては調べることができなかったので、「肉厚だと温裏作用が強く出るらしい」という程度でご容赦ください。

【質問③】「三重大学の発表で紹介されていた漢方薬は全てツムラなどから市販薬として販売されているものでしょうか?」

【回答③】はい、今回発表させていただいた方剤は、全て医療用エキス製剤として販売されているものです。本邦において、利便性・医療経済的な点から、漢方薬による治療は医療用エキス製剤が中心になるため、敢えて生薬を調合しなければいけないような処方は取り上げませんでした。中医学の原則に基づいて処方を行おうとすると、処方したい方剤が医療用エキス製剤には存在しないことがあるそうです。その場合、既存のエキス製剤単剤では治療が難しいこともあり、場合によっては2剤を組み合わせることで処方したい方剤に近い効能が出るようにすることもあるそうです。

金沢大

【質問①】「撚鍼法と管鍼法の違いについて、管鍼法のメリットをご紹介いただきましたが、撚鍼法のメリットは何かあるのでしょうか?」

【回答①】ご質問ありがとうございます。捻鍼法のメリットとしては①刺激から快感を得られること、②効率良く治療を行えることが挙げられます。捻鍼は深部筋層で鍼を捻ります。それによって周囲の組織は伸展し、捻鍼の刺激が気持ちよく感じる場合があります(メリット①)。この圧覚は一般の打鍼法とは区別ができます。ただし、鍼治療を行う人によって異なるため、その経験によって良し悪しに違いが出てしまいます。また、撚鍼法では管を通す手間が省けるため、経験のある人であれば効率よく治療を行うことが出来ます(メリット②)。

【質問②】「無痕灸は有痕灸の禁忌部位に用いるということでしたが、有痕灸の禁忌部位とは数多くあるでしょうか。」

【回答②】ご質問ありがとうございます。有痕灸の禁忌部位はいくつかあります。『鍼灸安全対策ガイドライン2020年度版』(guidelines-r2-11-28.pdf (jsam.jp))によると「顔面部、外生殖器、乳頭、臍部、化膿部、悪性腫瘍部、急性炎症の患部、皮膚病の患部に対して、直接灸(有痕灸)をしてはならない。」とのことです。また、有痕灸は皮膚を焼くことで非細菌性の化膿を引き起こす治療法です。そのため、化膿性皮膚炎や循環障害のある部位、化膿が治りにくくなるような関節付近への施灸も避けた方が良いです。