かつて私は、ある修道院の指導者から、次のような話を聞いたことがあります。「修道院の門をくぐってくる人は皆、最初は間違った動機を抱えて訪ねてくるものです。」これと同じことが心理療法を学ぶ人にも言えます。

Anthony Storr 著, 吉田 圭吾, 佐藤 淳一 訳「心理面接の教科書: フロイト、ユングから学ぶ知恵と技」(創元社, 2015) 第十四章「心理療法家のパーソナリティ」p244-245

講義動画

https://youtu.be/YmLbyfqm1wE

今回の流れ

  1. "カウンセラー" ってナニ?
  2. 心理士の主要資格
  3. 心理士の統計
  4. 心理士の主要5領域

1. "カウンセラー"ってナニ?

<aside> 💡 以前の講義「そもそもカウンセリングって何? -概論-」で、「カウンセリング」の定義の多様さについて紹介しました。

"カウンセリング"という言葉の定義が曖昧で多様である以上、「カウンセラー」の定義も多様にならざるを得ません。まずは、カウンセラーと似た単語として、**"心理士""心理療法士"**といった単語を取り上げ、位置付けを整理します。

</aside>

1-1." カウンセリング"の外観図と"カウンセラー"の分類

以前の講義「そもそもカウンセリングって何? -概論-」より再掲

以前の講義「そもそもカウンセリングって何? -概論-」より再掲

1-2. "心理士"と"カウンセラー"の違い

<aside> 📚 最近は、"心理士"のメインの役割は、カウンセリングよりも、むしろ心理アセスメント心理教育などであるとする考え方が主流になりつつあります。東京大学の丹野義彦教授らが2015年に書いた教科書である「臨床心理学」(有斐閣)の「心理士とカウンセラーの違い」という節や、2021年の公認心理師の活動状況等に関する調査から、"心理士"の役割についての記述を見ておきましょう。

</aside>