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仮想通貨税制改正の要望書

日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は11日、 2022年度税制改正にあたり、税制検討部会を中心として、一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)と共同要望書を取りまとめたことを発表した。

仮想通貨税制の課題や、アンケート調査から分析を行った増収効果と申告分離課税導入の有効性などについて説明した。

要望の骨子と提出の背景

JCBAは、7月30日に要望書を提出したことを明かし、仮想通貨税制改正の要望の骨子を明かしている。

暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができることを要望する。暗号資産デリバティブ取引についても同様とする。

要望書提出の背景については、以下の3点を挙げた。

  1. 税務申告促進の必要制
  2. 制度内の整合性
  3. 海外の仮想通貨税制との比較

「税務申告促進の必要制」の必要性について、「仮想通貨課税においては適正な税務申告が不可欠」と説明。

一方で、現行の法律では仮想通貨が総合課税とされており、利益に対する税率は一律でなく、最大税率55%と非常に高いこと、損失繰り越しができないことを課題として挙げた。また、こうした現状が、投資家が利益確定を避ける傾向を作り出しており、国の税収増に十分寄与していないと指摘した。

次に、「制度内の整合性」について、2020年の金融商品取引法や資金決済法の改正により、仮想通貨が「金融商品」と位置付けられたといえるにもかかわらず、税制は依然として総合課税のままであり、他の金融商品が分離課税であることを考慮すると整合性が取れていないと指摘。

また、利用者拡大を背景としてFX取引による収入が分離課税と定められた2012年当時のFXの口座数は390万であるが、現在の仮想通貨取引口座数は利用者が拡大し432万に上ることを考慮すると、「仮想通貨に分離課税を適用すべき」であると述べた。

「海外の暗号資産税制との比較」について、世界の多くの国が仮想通貨の税制を最大20%の分離課税としていることから、海外諸国と比較して日本の仮想通貨税率が高く、海外との競争力確保の観点から現状に警鐘を鳴らす記述も見られた。

我が国は、2017年4月に施行された「改正資金決済法」により、一時は暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン領域で世界をリードする立場にあった。

しかしながら、暗号資産(仮想通貨)に関連する現行の国内税制や、規制の適用を回避するために活動拠点を海外に移転する事業者が散見されるなど、諸外国と比較して、ブロックチェーン技術を活用した新たな事業が国内において増加していないという状況がある。

今後、ますます進展することが想定される暗号資産を利用した資金決済分野の革新や、暗号資産を決済手段として用いるブロックチェーン技術の応用による経済社会の高度化に際し、我が国の優位性を損ない、また次世代技術を用いた産業の戦略的な取り込みが危ぶまれる状況となっているものと思料する。

要望にあたり実施した取り組みについて、1万人を超える仮想通貨の個人投資家に対するアンケートを実施し、その回答データの分析を行ったと説明。さらに、他国の税制と比較しそれらに劣後しない環境整備を提言したという。