第1条(適用範囲)  この要領は、国土交通省の公共用地の取得に伴う損失補償基準の運用方針(平成15年8月5日付け国総国調第57号国土交通事務次官通知。以下「運用方針」という。)第16第1項及び第3項に規定する建物の移転料に係る調査算定に適用するものとする。

第2条(建物の区分)  調査算定に当たり、建物は次表のとおり区分する。

建物区分 判断基準
木造建物〔Ⅰ〕 以下のいずれかに該当する建物
・土台、柱、梁、小屋組等の主要な構造部に木材を使用し、軸組工法により建築されている専用住宅、共同住宅、店舗、事務所、工場、倉庫等の建物で主要な構造部の形状・材種、間取り等が一般的と判断される平家建又は2階建の建物
・主要な構造部に木材を使用し、ツーバイフォー工法又は木質系プレハブ工法により建築されている専用住宅で平家建又は2階建の建物
木造建物〔Ⅱ〕 土台、柱、梁、小屋組等の主要な構造部に木材を使用し、軸組工法により建築されている劇場、映画館、公衆浴場、体育館等で、主要な構造部の形状・材種、間取り等が一般的でなく、木造建物〔Ⅰ〕に含まれないと判断されるもの又は3階建の建物
木造建物〔Ⅲ〕 木造建物〔Ⅰ〕及び木造建物〔Ⅱ〕以外の建物
木造特殊建物 土台、柱、梁、小屋組等の主要な構造部に木材を使用し、軸組工法により建築されている神社、仏閣、教会堂、茶室、土蔵造等の建物で建築に特殊な技能を必要とするもの又は歴史的価値を有する建物
非木造建物〔Ⅰ〕 柱、梁等の主要な構造部が木材以外の材料により建築されている鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造若しくはコンクリートブロック造の建物又は鉄鋼系プレハブ工法(軽量鉄骨造)により建築されている専用住宅若しくは共同住宅の建物
非木造建物〔Ⅱ〕 非木造建物〔Ⅰ〕以外の建物(石造、レンガ造等の建物又は鉄鋼系プレハブ工法(重量鉄骨造)、コンクリート系プレハブ工法等により建築されている建物)

注)建築設備及び建物附随工作物(テラス、ベランダ等建物と一体として施工され、建物の効用に寄与しているもの)は、建物の調査に含めて行うものとし、この場合の「建築設備」とは、建物と一体となって、建物の効用を全うするために設けられている、又は、建物の構造と密接不可分な関係にあるおおむね次に掲げるものをいう。ただし、借家人等の建物所有者と異なる者の所有であり、かつ、容易に取り外しが行えるような場合は、この限りでない。 (1) 電気設備(電灯設備、動力設備、受・変電設備(キュービクル式受変電設備を除く。)、太陽光発電設備(建材型)等) (2) 通信・情報設備(電話設備、電気時計・放送設備、インターホン設備、警備設備、表示設備、テレビジョン共同受信施設等) (3) ガス設備 (4) 給・排水設備、衛生設備 (5) 空調(冷暖房・換気)設備 (6) 消火設備(火災報知器、スプリンクラー等) (7) 排煙設備 (8) 汚物処理設備 (9) 煙突 (10) 運搬設備(昇降機、エスカレーター等。ただし工場、倉庫等の搬送設備を除く。) (11) 避雷針

第3条(木造建物の調査及び積算)  木造建物の調査及び推定再建築費の積算は、軸組工法により建築されている木造建物にあっては別添一の一木造建物調査積算要領〔軸組工法〕(以下「木造建物要領〔軸組工法〕」という。)、ツーバイフォー工法又は木質系プレハブ工法により建築されている木造建物にあっては別添一の二木造建物調査積算要領〔ツーバイフォー工法又は木質系プレハブ工法〕(以下「木造建物要領〔ツーバイフォー工法又は木質系プレハブ工法〕」という。)により行うものとする。 2 前項に定める工法以外の工法により建築されている木造建物の調査及び推定再建築費の積算は、建物の主要な構造部の形状・材種、間取り等から判断して、木造建物要領〔軸組工法〕又は木造建物要領〔ツーバイフォー工法又は木質系プレハブ工法〕のいずれかにより行うものとする。

第4条(非木造建物の調査及び積算)  非木造建物の調査及び推定再建築費の積算は、別添二非木造建物調査積算要領(以下「非木造建物要領」という。)により行うものとする。

第5条(移転料の構成)  運用方針第16第1項(6)各号の移転工法ごとの移転料の構成は次のとおりとする。

<再築工法の構成>

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<曳家工法の構成>

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<改造工法の構成>

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<復元工法の構成>

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<除却工法の構成>

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第6条(移転料の算定)  運用方針第16第1項(6)第1号及び第3号から第5号の建物の移転料は移転工法ごとに建物移転料算定表(様式第1号から4号)を用いて算定した額とし、運用方針第16第1項(6)第2号の建物の移転料は別記曳家移転料算定要領により算定した額とする。なお、運用方針第16第1項(6)第1号ただし書きの算定については、次の各号によるものとする。 一 照応建物の推定建築費が従前建物の推定再建築費を上回る場合は次に掲げる式により算定した額とする。  従前建物の現在価額 + 運用益損失額 + (照応建物の推定建築費-従前建物の推定再建築費) + 取りこわし工事費 - 発生材価額 二 照応建物の推定建築費が従前建物の推定再建築費を下回り、かつ照応建物の推定建築費が従前建物の現在価額を上回る場合は次に掲げる式により算定した額とする。  従前建物の現在価額 + (照応建物の推定建築費-従前建物の現在価額) × 運用益損失額率 + 取りこわし工事費 - 発生材価額 三 照応建物の推定建築費が従前建物の推定再建築費を下回り、かつ現在価額を下回る場合は次に掲げる式により算定した額とする。  従前建物の現在価額 + 取りこわし工事費 - 発生材価額 2 運用方針第16第1項(6)第5号ロの算定において、当該建物が本来の用途に供することができないと判断した場合は、その現在価額がないものとみなして算定することができるものとする。 3 取りこわし工事費、解体工事費、切取工事費及び切取面補修工事費(以下「取りこわし工事費等」という。)は、次に掲げる式により算定した額とする。 取りこわし工事費等 = 解体純工事費 + 廃材運搬費 + 諸経費 + 廃材処分費一 解体純工事費 解体純工事費は、次に掲げる式により算出した額とする。 解体純工事費 = 解体直接工事費 + 共通仮設費 (一) 解体直接工事費 解体直接工事費は解体撤去に要する費用(廃材運搬費及び廃材処分費を除く。)とし、木造建物にあっては様式第5号を用いて、非木造建物にあっては非木造建物要領別添3工事内訳明細書式を用いて算出する。 (二) 共通仮設費 ア 共通仮設費の内容は、軸組工法により建築されている木造建物にあっては木造建物要領〔軸組工法〕第22条第2項第1号、ツーバイフォー工法又は木質系プレハブ工法により建築されている木造建物にあっては木造建物要領〔ツーバイフォー工法又は木質系プレハブ工法〕第22条第2項第1号のとおりとし、非木造建物にあっては非木造建物要領別添3の6①のとおりとする。 イ 共通仮設費は、軸組工法により建築されている木造建物にあっては木造建物要領〔軸組工法〕別添2木造建物数量積算基準第14、ツーバイフォー工法又は木質系プレハブ工法により建築されている木造建物にあっては木造建物要領〔ツーバイフォー工法又は木質系プレハブ工法〕別添2木造建物数量積算基準第14に定める共通仮設費率、非木造建物にあっては非木造建物要領別添3別記に定めるⅠ共通仮設費率表に基づき、次の式により算定するものとする。ただし、第2条の建物区分のうち、木造建物〔Ⅱ〕、木造建物〔Ⅲ〕及び木造特殊建物並びに非木造建物〔Ⅱ〕については、これを適用しないものとする。 共通仮設費 = 解体直接工事費 × 共通仮設費率 共通仮設費率は解体直接工事費の合計額に対応した率を適用するものとする。ただし、移転先を残地と認定した建物については、建築工事の共通仮設を解体工事でも共用できるため、共通仮設費は計上しないものとする。 二 廃材運搬費 廃棄物処分場までの廃材の運搬費を計上する。 三 諸経費 (一) 諸経費の内容は、軸組工法により建築されている木造建物にあっては木造建物要領〔軸組工法〕第22条第2項第2号及び第3号、ツーバイフォー工法又は木質系プレハブ工法により建築されている木造建物にあっては木造建物要領〔ツーバイフォー工法又は木質系プレハブ工法〕第22条第2項第2号及び第3号のとおりとし、非木造建物にあっては非木造建物要領別添3の6②のとおりとする。 (二) 諸経費は、軸組工法により建築されている木造建物にあっては木造建物要領〔軸組工法〕別添2木造建物数量積算基準第15、ツーバイフォー工法又は木質系プレハブ工法により建築されている木造建物にあっては木造建物要領〔ツーバイフォー工法又は木質系プレハブ工法〕別添2木造建物数量積算基準第15に定める諸経費率表、非木造建物にあっては非木造建物要領別添3別記に定めるⅡ諸経費率表に基づき、次の式により算定するものとする。ただし、第2条の建物区分のうち、木造建物〔Ⅱ〕、木造建物〔Ⅲ〕及び木造特殊建物並びに非木造建物〔Ⅱ〕については、これを適用しないものとする。 諸経費 =(解体純工事費+廃材運搬費)× 諸経費率 諸経費率は、一発注(建築及び解体)を単位として算定された純工事費と廃材運搬費の合計額に対応した率を適用するものとする。なお、原則として建物と附帯工作物については別発注、木造建物と非木造建物については一発注として算定するものとする。 四 廃材処分費 解体撤去で発生した廃材の処分費用を計上する。 4 前項各号に掲げる費用の算定に当たっては、石綿含有建材が存する場合には、当該各号によるほか、石綿調査算定要領(平成24年3月30日国土用第50号)により算定を行うものとする。 5 発生材価額は、解体撤去により発生する市場価値のある発生材について、種別、等級等に区分し、必要に応じ計上するものとする。

第7条(移転料の端数処理)  建物の移転料の算定を行う場合の端数処理は、原則として、次の各号に掲げる場合を除き、1円未満切り捨てとする。 一 補償単価及び資材単価等は、次による。  イ 100 円未満のとき 1 円未満切り捨て  ロ 100 円以上10,000 円未満のとき 10 円未満切り捨て  ハ 10,000 円以上のとき 100 円未満切り捨て  二 共通仮設費及び諸経費にあっては、100 円未満を切り捨てた金額を計上する。この場合において、その額が100 円未満のときは、1円未満切り捨てとする。