
数が「解くべき問題」ではなく「立ち現れてくる現象」として意識されるようになった契機として ある夜の体験がある。
数年前の就寝前,暗い部屋で蛇口から滴る水の音だけが際立って聞こえていた。
等間隔に落ちる水滴のリズムに注意が集中した瞬間,蛇口の形がふいに「5」という数字の輪郭と重なって見えた。
その途端,「5」の下に「6」が“掛かる”ように連なり,7–8–9…と数列が加速していく感覚が生まれた。
終端では「10」の「0」が水滴と同期して消えていくように感じられ,数の流れと滴下のリズムが同期している という印象だけが身体に残った。
このとき,数は抽象的な記号ではなく
として知覚の前景に現れていた。
