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起業家の世界では、繰り返し語られてきた成功法則がある。 「成功したければ、成功しているネットワークに入れ」※

もちろん、スキルや実力は重要だ。だが現実には、儲かるネットワークに身を置くだけで、機会の流れは大きく変わる。多少の未熟さがあっても、契約は紹介で回ってくる。足りない部分は優秀な人材を紹介してもらい、補完する。個の能力というより、「どこに属しているか」が結果を左右する場面は少なくない。

起業家、とりわけスタートアップの構造は、ある種の“村社会”と言われる。 信頼と紹介によって関係が編まれ、その内部では意思決定が驚くほど速い。誰とつながっているか、どの文脈にいるか。それ自体が信用の代替となり、投資や機会の判断基準にもなる。

ただし、この仕組みは同時に、排他性も内包している。 ネットワークは効率を生む一方で、同質性を強める。似た価値観や経歴を持つ人々が集まりやすくなり、そこから外れる存在は違和感として扱われやすい。 業界のキーパーソンと折り合いが悪い人、恋愛トラブル、ハラスメントの被害に遭った人、あるいは単に“空気に合わない”と見なされた人——一度「NO」を突きつけられると、その後の接点そのものが5年、10年と断たれることもある。

会社員であれば、少なくとも形式上、履歴書を送れば面接の機会は与えられる。入口は完全ではないにせよ、可視化されている。 仮にこれが一般企業で、「コネがなければ応募できません」「業界にコネがなければ採用しません」という状態であれば、違和感はより明確に問題視されるはずだ。芸能界だって同じだろう。

ネットワークそのものは否定されるべきではない。むしろ、信頼を基盤とする以上、不可欠な装置でもある。 しかしそれが、機会を限定する仕組みとして機能しはじめたとき、本来取り込むべき多様な視点や才能を排除してしまう危うさを持つ。

新規性や変革を掲げる業界でありながら、その内部構造は意外なほど閉じていて、古い価値観だ。 これは「文化」なのか、それとも合理性の名を借りた「慣習」なのか。そこに「変革」はないのか。

※参考文献

100話で心折れるスタートアップ/著者:えい/出版:日本能率協会マネジメントセンター

「ネットワーク成功仮説」日本政策金融公庫 村上義昭

Whom You Know Matters KelloggInsight

The importance of the first relationship: The ongoing influence of initial network on future status Hana Milanov, Dean A. Shepherd

NBER(National Bureau of Economic Research)

Global Entrepreneurship Monitor関連研究(制度文脈と透明性)

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起業家ネットワーク(2)