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枚目 服薬遵守率を向上させて、治療を短期間で確実に終了させることが目標である。DOTSの導入により、世界の結核治療成績は向上している。 日本でも近年は保健所の支援により、人の資源の問題から毎日はむずかしいが、定期的な服薬確認が行われている。世界で標準とされるような毎日の観察が制度として成立していくことが望まれている。 2枚目 ③肺結核 概念 抗結核療法の進歩により、肺結核pulmonary tuberculosisは過去の病気と考えられていたが、近年の患者数は横ばいまたは微増している。高齢者の増加や、HIV感染者や胃腸皮質ステロイド薬療法患者などによる免疫不全患者の増加、外国籍群の増加や結核に対する認識の低下が増加の原因と考えられている。発症時には感染源となるため、診断の遅れが集団感染の原因となることがある。医療機関や学校、学習塾などで集団感染が発生しやすい。近年では、日本に留学してきた海外出身者による語学学校での集団感染が問題となっている。 肺外結核に比べて、数ヶ月間に咳や、発熱、体重減少、寝汗、全身倦怠感など、どのような症状でも発症しうる。高齢者では症状が乏しい場合もあり、診断のカギをにぎっている。 結核菌Mycobacterium tuberculosisは通常の細菌培養では検出されず、特殊な染色(チール・ネールゼン染色)と特殊な培養法を用いる(▶266ページ)。 からの検出が基本だが、発症後咳や痰が少なく、胃液などを利用する場合もある。ツベルクリン反応に加え、近年は日本人の陽性反応はBCGの影響で多いので、インターフェロンγ遊離試験(IGRA検査)が有用である(▶266ページ)。 Plus)。T-スポット(TBT-SPOT)を利用して診断する場合もある。 治療 多剤併用療法と直接監視下による内服が重要となる(▶281ページ)。 結核菌は薬剤耐性を獲得しやすい。このため、初期の2か月はイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール塩酸塩、ピラジナミドの4剤を用いて強力に治療を行い、その後4か月はイソニアジド、ピラジナミドの2剤に減らして治療を継続する。治療歴がある場合や耐性をもっている場合は、さらに治療薬を追加したり、期間を延長したりする。 また、服用する薬剤数が多く、患者の負担が大きいこと、比較的長期間に負担や症状が改善することから、患者が内服を自己中断してしまい、通院を中止することがある。治療途中での中止により、既存する結核菌が薬剤耐性を獲得することになる。これを防ぐため、患者には医療従事者の前で直接内服することが効果的である。WHOが中心となって打ち出されたこの方法を、直接監視下短期化学療法direct-observed therapy, short course(DOTS)という。