★★★麻疹
麻疹(はしか) 概念 麻疹 measles はしかともよばれ、麻疹ウイルス Measles morbillivirus の飛沫・空気感染による発疹である。潜伏期間は8〜12日間である。感染力は発疹出現5日前(発疹2日前)から発疹出現後4日間まであり、カタル期の後半に最も強いと考えられている。 2015年3月に、WHOより日本国内での麻疹根絶が宣言されたが、麻疹の
予防接種率の低さに起因する輸入症例による国内感染の拡大事例があとを絶たない。麻疹の発症を防ぐためには、麻疹含有ワクチンを確実に2回接種することが必要である。 麻疹の臨床経過は、主のある症状から、カタル期・発疹期・回復期の3つのステージに分けられる。 症状 【1】カタル期 カタル期は、発熱・鼻汁・咳嗽・結膜炎が特徴的な所見である。カタル期は通常2〜3日持続し、麻疹特有の強い全身症状が発症に先行して出現することがある。口腔の頬粘膜に発疹出現の1〜2日前に麻疹特有所見として、白色の粘膜疹(コプリック斑)が出現する。コプリック斑とはば1〜3mm程度の白色小斑点で周囲が紅暈を伴い、口腔内の頬粘膜にみられる。カタル期の後半に出現し、12〜24時間程度で消失する。 【2】発疹期 カタル期の発熱が2〜3日持続したあと、12〜24時間程度で一時解熱するが、再び高熱となり、耳の後ろから始まる発疹が出現する。発疹はやがて顔面、頸部、体幹へと広がるが、通常、手掌や足底には出現しない。発疹は紅斑性で、融合傾向を伴うこともある。コプリック斑は、発疹出現後には消失する。発疹は3〜4日で消退し、色素沈着を残して消退する。
する。 【3】回復期 発疹期に入って3〜4日すると解熱傾向がみられ、カタル症状も軽快する。咳嗽が数日続くことがある。発疹消退後も免疫が低下しており、二度感染を起こしやすい状態にある。 合併症 麻疹の合併症には、中耳炎やクループ、気管支肺炎、下痢などがある。しばしば神経の後遺症を残す脳炎は、1,000例に1例程度の頻度で発症する。肺炎や脳炎による死亡は、1,000例に1〜3例程度である。白血病やHIV感染症、重症栄養失調の小児では、死亡率が増加する。亜急性硬化性全脳炎 subacute sclerosing panencephalitis(SSPE)は行動や知的退行、痙攣を特徴とするまれな中枢神経変性疾患であり、麻疹罹患後〜10年経過して発症する。 治療 麻疹に特異的な治療法はない。対症療法が中心である。 麻疹後予防 麻疹含有ワクチンを接種できる場合には、免疫不全などの禁忌がない限り、生ワクチンの禁忌はあっても、麻疹患者と接触後72時間以内または6日以内であれば、ヒト免疫グロブリン投与による受動免疫投与によって、麻疹の予防および軽症化が期待できる。 以上です。