第1 基準第8条(土地の補償額算定の基本原則)は、次により処理する。 本条第1項に規定する土地の附加物とは、土留施設、階段、溝、雑草木等土地と一体として効用を有するもので、土地と独立に取引価格のないものをいう。
第2 基準第9条(土地の正常な取引価格)は、次により処理する。 本条第1項各号に掲げる土地の正常な取引価格は、別記1土地評価事務処理要領により算定するものとする。
第2-2 基準第10条(所有権以外の権利の目的となっている土地に対する補償)は、次により処理する。 控除すべき権利の価格の算定に当たっては、第2-3第1項ただし書きの適用はないものとする。
第2-3 基準第12条(地上権、永小作権及び賃借権の正常な取引価格)は、次により処理する。 1 本条に係る権利の正常な取引価格は、別記1土地評価事務処理要領第1条に定める画地を単位として算定するものとする。ただし、同一の利用目的に供するため、同一の権利者が隣接する2以上の土地に権利の設定を受けており、かつ、それらの権利の取引が一体的に行われることが通例であると認められるときは、それらの土地からなる一の画地に権利が設定されているものとみなして算定するものとする。 2 同一の利用目的に供するため土地所有者が所有地に隣接する土地に権利の設定を受けている場合の第2-2及び前項の適用については、当該所有地に前項の権利を設定しているものとみなすものとする。
第3 基準第13条(使用貸借による権利に対する補償)は、次により処理する。 賃借権に乗ずべき適正に定めた割合は、通常の場合においては、3分の1程度を標準とするものとする。
第4 基準第16条(建物その他の工作物の取得に係る補償)は、次により処理する。 1 建物の取得補償額は、次式により算定した額に、経過年数に比し腐朽破損の著しいもの又は修繕等により改装したもの、維持保存の程度が良好なもの等、それぞれの建物の状況に応じて相当と認める額を増減して得た額によるものとする。 延べ面積1平方メートル当たり推定再建築費×現価率×建物の延べ面積 現価率 別表第1(木造建物現価率表)及び第2(非木造建物現価率表)による。 2 工作物の取得補償額は、建物の場合に準じて算定するものとする。
第5 基準第17条(立木の取得に係る補償)は、次により処理する。 1 本条第1項第1号に掲げる額は、次の林木期望価方式により算定した額とする。 Au+{Dn(1+r)un+・・・・・・}-(B+V){(1+r)u-m-1}/(1+r)u-m Au 伐期収入 当該地方の慣行伐期時における立木材積に現在山元立木単価を乗じて算定する。 Dn m年度以後n…年度に得べき間伐収入間伐収穫材積に現在山元立木単価を乗じて算定する。 B 地価 通常の山林経営を行う場合の標準的な地価を基準とし、近傍類地の取引価格を勘案して算定する。 V 管理費資本 当該山林経営上投下される森林組合費、森林火災保険料、森林見回り費等の年間経費の合計額を年利率で除して得た額 森林見回り費算出の基礎となる1人1日当たり見回り可能面積、年間見回り回数、1人1日当たり賃金は、営林署、都道府県林務主管課、森林組合等で調査して定める。 u 慣行伐期齢 営林署及び都道府県林務主管課等で、当該地方の慣行を調査して定める。 m 当該林齢 n 間伐年度 r 年利率 2 本条第1項第2号については第23第3項の、本条第1項第3号については前項の、本条第1項第4号については第24第2項で準用する第23第3項の、本条第1項第5号については第24第3項の、本条第1項第6号については第25のそれぞれの処理方法に準じて当該額を算定する。 3 本条第1項第7号に掲げる額は、次式により算定した額とする。 R/r r 年利率 R 平均年間純収益 評価時前3か年間についての平均年間粗収入から平均年間経営費を控除して得た額 経営費は、地代、労賃(自家労働の評価額を含む。)、肥料代、農具及び役畜費、公租公課並びに雑費とする。なお、地代は、通常の竹林経営を行う場合の標準的な地価を基準とし、近傍類地の取引価格を勘案して算定する。 4 本条第2項第3号に規定する必要とされる管理が適正に行われていないと認められる場合とは、間伐等が適切な時期に実施されていないため、適正な立木密度が確保されていないと認められる場合をいう。 5 本条第3項に掲げる額は、第1項又は第2項により算定した額に、次式を乗じた額とする。 (B+V){(1+r)n-1}+C1(1+r)n+C2(1+r)n-1+・・・+Cn(1+r)/(B+V){(1+r)m-1}+C1(1+r)m+C2(1+r)m-1+・・・+Cm(1+r) B 地価(第5第1項参照) V 管理費資本(同上) C1、C2・・・・・・Cm 初年度、2年度・・・・・・m年度に要した造林費 当該森林の造林に要する新植費、補植費、下刈、蔓切り、雪起、伐採等の手入れ費等の投下経費 n 直近の管理時点における林齢 m 当該林齢 r 年利率
第6 基準第19条(土石砂れきの取得に係る補償)は、次により処理する。 1 土石砂れきの価格は、当該土石砂れきを採取する土地の価格を上まわらないものとする。 2 起業者の当該事業施行に伴う需要は、当該土石砂れきの価格形成上の要素としないものとする。
第7 基準第20条(漁業権等の消滅に係る補償)は、次により処理する。 1 漁業権等の消滅とは、事業の施行により当該権利等に係る漁場の全部又は一部が失われ、漁業権等の行使ができなくなることをいう。 2 漁業権、入漁権、その他漁業に関する権利は、次のとおりとする。 (一) 漁業権とは、漁業法(昭和24年法律第267号)第60条第1項に規定する権利をいう。 (二) 入漁権とは、漁業法第60条第7項に規定する権利をいう。 (三) その他漁業に関する権利とは、許可漁業及び自由漁業(免許・許可以外の漁業)を当該漁場において反復継続して営んでいること等当該漁業の利益が社会通念上権利と認められる程度にまで成熟しているものをいう。 3 漁業権等の消滅に係る補償を受ける者は、次のとおりとする。 (一) 漁業権においては、当該権利の設定につき免許を受けている者(漁業協同組合若しくは漁業協同組合連合会又はその他の者で定置漁業、及び区画漁業について免許を受けている者) (二) 入漁権においては、当該権利を取得している者(漁業協同組合又は漁業協同組合連合会) (三) 許可漁業においては、当該漁業の権利を有する者(四)自由漁業においては、当該漁場の周辺において免許を有する漁業協同組合の組合員と同程度の年間操業実績を有している者 4 本条に規定する補償額は、次式により算定した額を基準として算定する。 R/r R 平年の純収益 評価時前3か年ないし5か年間の平均(豊凶の著しい年を除く。)魚種別漁獲数量(漁業法第170条に規定する遊漁規則に基づく漁獲分を除く。)に魚価を乗じて得た平均年間総漁獲額から平均年間経営費を控除して得た額 平均魚種別漁獲数量は、当該地域における実情を調査し、統計及び税務申告書等の資料を参酌して定めるものとし、自家消費にあてられたものを含むものとする。 魚価は、時価を基準とし、地域別、時期別及び漁法別の格差を勘案した魚種別の価格とし、販売手数料を控除したものとする。 経営費は、漁船、漁網、漁具、建物、工作物等の減価償却費及び修理費、燃料費、雇用労働費、自家労働費、公租公課及びその他の経費(自己資本利子相当額を除く。)とする。 自家労働費は、漁業別、漁法別及び漁業規模別(陸上、水上の別)に年間労働時間を算定し、これらの年間総労働時間を1人1時間当たりの自家労賃に乗じて得た額とし、自家労賃は、当該地域の漁業雇用労賃、農業労賃等を勘案して定める。 ただし、上記の方法により難いときは、その地域における漁家を抽出し、経営調査を行って得た純収益率等を用いて計算するものとする。 なお、補償を受ける者に第5種共同漁業権に基づく遊漁料収入がある場合には、当該収入を平均年間総漁獲額に、遊漁料徴収に対応する増殖費用等を平均年間経営費にそれぞれ加えるものとする。 r 還元利率8パーセント 5 水産資源の将来性等を考慮する場合とは、例示的に示せば次に掲げる場合等が考えられる。 (一) 増殖の施策を講じ、又は講じつつあることにより、漁獲が増大し、又は増大することが明らかな場合 (二) 漁場の開発が行われ、又は開発が行われつつあるところであって、漁獲が増大し、又は増大することが明らかな場合 6 前項の場合の補償額は、第4項の規定により算定した補償額に、将来の増減見込み純収益を継続見込み期間及び実現見込み時期等を勘案して適正に補正した額を加減して算定するものとする。 7 漁業権等に係る漁場の一部が消失する場合の補償額は、次により算定する。 (一) 第4項の規定により漁場の全部が消失するものとして算定した補償額に当該漁場の一部が消失することによる損失割合を乗じて算定した額を標準とする。 (二) 残存する漁場において魚族を増殖等することにより、従来の漁獲を維持することが可能であり、かつ、適当であってその増殖等に要する費用が(一)の規定により算定した補償額と基準第50条及び第52条の規定により算定した補償額との合計額に照らして相当と認められるときには、(一)の規定により算定した補償額に代えて、増殖等に要する費用相当額を補償することができる。
第8 基準第21条(鉱業権、租鉱権又は採石権の消滅に係る補償)は、次により処理する。 1 鉱業権の消滅とは、事業の施行により鉱区の全部又は一部について当該権利の行使が不可能となる場合をいう。 2 鉱業権、租鉱権及び採石権は、次のとおりとする。 (一) 鉱業権とは、鉱業法(昭和25年法律第289号)第11条に規定する試掘権及び採掘権をいう。 (二) 租鉱権とは、鉱業法第6条に規定する権利をいう。 (三) 採石権とは、採石法(昭和25年法律第291号)第4条に規定する権利をいう。 3 鉱業権出願中のものは、補償の対象としないものとする。 4 鉱業権に係る本条第2項の補償額は、次により算定した額とする。 (一) 操業している鉱山の鉱業権の場合 a×1/s+r/(1+r)n-1-E a 鉱山が毎年実現しうる純収益 年間可採鉱量に鉱石の平均単価を乗じて得た額から採掘に要する費用(起業費の減価償却費を含まない。)を控除して得た額。この場合において、年間可採鉱量は毎年一定とし、年間採掘実績、操業計画及び鉱山監督官庁、学識経験者等の意見等を参酌して決定するものとする。 s 報酬利率9パーセントから15パーセントまでの間において適正に定めた率 r 蓄積利率6パーセント n 可採年数 確定鉱量、推定鉱量及び予想鉱量の合計額(鉱量計算については日本産業規格(産業標準化法(昭和24年法律第185号)第20条第1項に規定する産業標準をいう。)による。)を基準として算定した今後の可採鉱量を年間可採鉱量で除して得た年数 E 今後投下されるべき起業費の現在価額 (二) 未着手のまま据置期間のある場合の鉱山の鉱業権の場合 1/(1+r)m×a×1/s+r/(1+r)n-1-E m 据置期間 a、s、r、n及びE (一)に定めるとおりとする。 (三) 開坑後予定収益を生ずるまでに期間のある場合における鉱業権の場合 a×(1+r)n-1/r+s{(1+r)n+m-1}-E m 補償時から予定収益を生ずるまでの期間 a、s、r、n及びE(一)に定めるとおりとする。 (四) 探鉱中の鉱山又は未着手の鉱山であって、鉱量が不明であり、かつ、将来の収益が不確定のものにおける鉱業権の場合 Cn(1+r)n+Cn-1(1+r)n-1+・・・・+C1(1+r)+C0 Cn n年前に投下した費用 鉱業権設定申請のための調査測量費用、申請書の印刷代、印紙税、鉱業権設定登録税、鉱区税、探鉱中のものにあっては探鉱に要した費用等で有効かつ適正な費用をいう。 r 蓄積利率 6パーセント (五) (一)から(三)までにおいて起業費とは鉱業用固定資産(鉱業権、主要坑道、鉱業用地、建物、構築物(軌道、索道、沈澱池、道路、水路、貯炭場等土地に定着する設備をいう。)、機械及び装置、船舶、車両運搬具、工具、器具、備品等並びに水利権、特許権等の諸権利をいう。)の取得又は建設に要した費用並びに調査開発及び試験研究に要した費用(操業開始後の経費と認められるものを除く。)とし、起業費の現在価は、次式により算定した額とするものとする。 E=E1/(1+r)+E2/(1+r)2+・・・・・・+En/(1+r)n E1、E2・・・・En 今後の投下されるべき各年の起業費 r 蓄積利率 6パーセント (六) 租鉱権が設定されている鉱業権に対する補償額は、当該租鉱権がないものとして算定した当該鉱業権の補償額から当該租鉱権に対する補償額を控除して得た額とする。 5 租鉱権に係る本条第2項の補償額は、前項に準じて算定した額とする。ただし、設定行為に基づき租鉱権者が支払う租鉱料相当額を年収益(a)から控除するものとする。 6 採石権に係る本条第2項の補償額は、採石権の設定契約の内容に基づき、第4項に準じて適正に算定した額とする。
第9 基準第22条(温泉利用権の消滅に係る補償)は、次により処理する。 1 温泉利用権の消滅とは、事業の施行により温泉の利用が全面的に不可能となる場合をいう。 2 温泉利用権、分湯された権利及び未利用の温泉利用権は、次のとおりとする。 (一) 温泉利用権とは、温泉法(昭和23年法律第125号)に規制された温度又は物質を有している地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)を利用する権利をいう。 (二) 分湯された権利とは、いわゆる湯口権等で通常鉱泉地の所有権ないし使用権と独立して処分される権利をいう。 (三) 未利用の温泉利用権とは、自然湧出、人工湧出のいずれをとわず放任され、あるいは、利用の段階にいたらないものをいう。 3 人工湧出の場合は、揚湯施設等については別途補償しない。
第10 基準第23条(水を利用する権利等の消滅に係る補償)は、次により処理する。 1 水を利用する権利の消滅とは、事業の施行により全面的に、又は部分的に水を利用する権利の行使が不可能となる場合をいう。 2 水を利用する権利(以下「水利権」という。)とは、行政官庁の特許又は慣行によって生じ、公水を継続的、排他的に利用する権利で灌漑、飲料、鉱工業、発電等の目的のために使用する権利をいう。 3 水の一般使用(遊泳、洗濯、吸水等)及び、許可使用であっても社会通念上権利と認められる程度にまで成熟していないものは、補償の対象としない。 4 消滅させる水利権に関する補償額は、次により算定した額とする。 (一) 灌漑用水利権については、当該権利が行使されている土地の平均年間純収益額の水利権の消滅による減少額を年利率(8パーセント)で除して得た額、その他それぞれの実情に応じて適正に算定して得た額 (二) 飲料用水利権については、その障害を除去し、又は予防する施設の設置が可能かつ適当である場合は、その施設の設置又は改造を行って提供し、若しくはその施設の設置又は改造に要する費用相当額 (三) 鉱工業用水利権については、当該水利権をその用に供している事業の平均年間純収益額の水利権の消滅による減少額を年利率(8パーセント)で除して得た額、その他それぞれの事情に応じて適正に算定して得た額 (四) 特許を受けた後、その全部又は一部については未開発のまま放置されている水利権であって、将来の収益が不確定なものについては、その水利権に関して投下された適正な費用を現価に換算して得た額。この場合において、投下費用については、他の同種事業における資本投下の状態と比較する等適宜その適否を検討し、適正でないことが明らかに認められる費用は、補償の対象から除外する。
第11 基準第24条(土地の使用に係る補償)は、次により処理する。 1 近傍類地に賃借りの事例があるときは、本条第1項の正常な地代又は借賃を算定するに当たっては、使用する土地の正常な取引価格に次に掲げる率を乗じて得た額を1年間の地代又は借賃の参考とするものとする。 (一) 宅地、宅地見込地及び農地6パーセント(地代又は借賃相当額+公租公課等相当額) (二) 林地及びその他の土地5パーセント(同上) 2 近傍類地に賃借りの事例がないときは、本条第1項の正常な地代又は借賃を算定するに当たっては、前項に掲げる額を標準とするものとする。
第12 基準第25条(空間又は地下の使用に係る補償)は、次により処理する。 1 本条に規定する空間又は地下の使用に係る補償額は、別記2土地利用制限率算定要領の定めるところにより算定するものとする。 2 土地の最有効使用の方法、周辺地域を含めた公的規制の状況、将来の利用構想及びその可能性、地盤・地質等の状況、地域における慣行等の事情を総合的に勘案して、土地の利用が妨げられないと認められる場合等前項の算定要領により難い場合は、その適用はないものとする。
第13 基準第26条(建物等の使用に係る補償)は、次により処理する。 使用する建物等に関する補償額の算定に当たっては、近傍又は類似の地域における使用対象建物等に照応する建物等の新規賃貸事例において標準的と認められる月額賃貸料を参考とするものとする。
第14 基準第27条(権利の制限に係る補償)は、次により処理する。 1 漁業権等の制限に係る補償 (一) 漁業権等の制限とは、当該権利に係る漁場の全部又は一部において、仮設工作物等の設置又は工事占有水域の設定等により当該事業の施行中及び施行後原状に回復するまでの期間、当該漁業等の行使ができなくなること、又は行使に支障を生ずること並びに河川等に工作物等を設置することにより当該工作物等の周辺において、当該漁業権等の行使ができなくなること、又は行使に支障を生ずることをいう。 (二) 漁業権等の制限に係る補償を受ける者は、第7第3項に規定する者とする。 (三) 漁業権等の制限に係る補償額は、次の各号に掲げる額とする。 一 仮設工作物等の設置又は工事占有水域の設定等により当該事業の施行中及び施行後原状に回復するまでの期間、当該漁業権等の行使ができなくなる場合、又は行使に支障を生ずる場合は、基準第20条の規定により算定した額に次の割合を乗じて得た額。ただし、基準第20条の規定により算定した補償額を超えないものとする。 Q=α×(1+r)n-1/(1+r)n Q 基準第20条の規定により算定した額に乗ずる割合 α 被害率漁業権の行使が制限されることにより生ずる純収益の平均減少率 r 還元利率8パーセント n 制限期間年数 二 河川等に工作物等を設置することにより当該工作物等の周辺において、当該漁業権等の行使ができなくなる場合、又は行使に支障を生ずる場合は、前号の規定により算定した額とし、この場合のnは当該工作物等の存続期間、漁法又は魚種の転換の可能性等を考慮して定めるものとする。ただし、恒久的に立入制限水域を設定する場合、狭小な閉鎖水域等で漁獲の回復が困難と認められる場合には、基準第20条の規定により算定した補償額に被害率を乗じて得た額。 (四) 当該事業の施行に起因する水質の汚濁、騒音又は振動の発生及び海底又は河床の地形変化並びに工作物等の設置又は供用に起因する水質、水温、水量又は流速の変化及び遡河性魚類の遡上阻害等の水産資源の生息条件の悪化により漁業権等に社会生活上受忍すべき範囲を超える損害等が生ずる場合の補償は、次の各号に掲げるところによる。 一 実態調査の結果又は研究機関等による調査結果等の知見から判断して、損害等の発生が当該事業の施行又は工作物等の設置に起因するものであることが明確である場合、または確実に予見される場合に限り補償することができるものとする。 二 これらの損害等に対する補償額は、(三)第一号に準じて算定するものとし、この場合のnは工事の継続期間、水産資源の回復等に要する期間及び漁法又は魚種の転換の可能性等を考慮し、30年を限度として定めるものとする。(五) (三)第二号又は(四)の場合において、従来の漁獲を維持しうる程度に魚族を復元(魚種の転換を含む。)することが可能であり、かつ、適当であってその復元に要する費用が、(三)第二号又は(四)第二号の規定により算定した補償額と基準第51条及び第52条の規定により算定した補償額との合計に照らし相当と認められるときは、(三)第二号又は(四)第二号の規定により算定した補償額に代えて、復元に要する費用相当額を補償することができるものとする。 2 鉱業権等の制限に係る補償 (一) 鉱業権(租鉱権及び採石権を含む。以下同じ。)、温泉利用権及び水利権の制限とは、次のとおりとする。 一 鉱業権の制限とは、鉱区の立体的特定部分について採掘が不可能となる場合及び一定期間、鉱業権の行使が不可能となる場合をいう。 二 温泉利用権の制限とは、湧出量の減少等湧出状態の悪化した場合及び一定期間その利用が不可能となる場合をいう。 三 水利権の制限とは、利用水量の減少又は一定期間、水の利用が不可能となる場合等、水利権の行使に支障を生ずる場合をいう。 (二) 鉱業権等の制限に係る補償額の算定に当たっては、当該権利の制限の内容を考慮して適正に算定した額をもって補償する。
第15 基準第28条(建物等の移転料)は、土地等を取得する場合においては、次により処理する。 1 建物の移転料については、次により算定する。 (一) 建物を移転させるときは、通常妥当と認められる移転先を残地又は残地以外の土地のいずれとするかについて認定を行った上で、当該認定に係る移転先に建物を移転するのに通常妥当と認められる移転工法の認定を行い、当該移転先に当該移転工法により移転するのに要する費用を補償するものとする。この場合において「移転」とは、従前の価値及び機能を失わないよう、土地等の取得に係る土地に存する建物を当該土地の外に運び去るすべての方法をいうものとする。 (二) 土地等の取得に係る土地に存する建物の一部が当該建物に比較してわずかであるとともに重要な部分でないため除却しても従前の機能にほとんど影響を与えないと認められる場合又は建物を再現する必要がないと認められる場合には、(一)の規定にかかわらず、通常妥当と認められる移転先の認定を要しないものとし、通常妥当な移転方法として除却工法を認定するものとする。 (三) 建物の移転に伴い、当該建物と一体の利用に供されていた他の建物等が残地に存することとなり、当該他の建物等を移転しなければ当該建物を従来利用していた目的に供することが著しく困難となる場合においては、建物所有者の請求により、当該他の建物等を移転するのに要する費用を補償するものとする。 (四) 通常妥当と認められる移転先の認定は、次の各号に定めるところによるものとする。 一 従前の建物と同種同等の建物を、植栽、自動車の保管場所その他の利用環境の面を考慮した上で残地に再現することができると認められるときは、残地を通常妥当と認められる移転先と認定するものとする。 二 従前の建物の機能を確保するために必要と認められる最低限の建物階数の増加又は建物の形状の変更並びにこれらに伴う床面積の増加、構造の変更又は設備の設置を行うことにより、従前の建物と同等の規模であり、かつ、植栽、自動車の保管場所その他の利用環境の面において従前の建物に照応する建物(本条及び次条において「従前の建物に照応する建物」という。)を残地に再現し、従前の生活又は営業を継続することができると認められるときは、残地を通常妥当と認められる移転先と認定できるものとする。 三 前二号に定める場合において、従前の建物が複数の用途に供されているときは、従前の建物と同種同等の建物又は従前の建物に照応する建物を残地に再現することができるか否かの判断を当該用途の一ごとに行うことができるものとする。 四 前三号の規定に基づき残地を移転先と認定した場合に必要となる補償額(建物の移転に伴い通常生ずる損失に対する補償額を含む。)に当該残地(借地権等の場合は残権利)に関する損失及び工事費に係る補償額(残地に関する損失及び工事費に係る補償額が残地の価額を超える場合は当該残地の価額とする。)を加えた額が、残地以外の土地に従前の建物と同種同等の建物を建築することにより必要となる補償額(建物の移転に伴い通常生ずる損失に対する補償額を含む。)に当該残地(借地権等の場合は残権利)の価額を加えた額を超えることとなる場合は、前三号の規定にかかわらず、残地を移転先と認定しないものとする。 (五) (一)に掲げる通常妥当と認められる移転工法は、次のとおりとする。 一 再築工法 残地以外の土地に従前の建物と同種同等の建物を建築することが合理的と認められる場合に採用する工法(以下「構外再築工法」という。)及び残地に従前の建物と同種同等の建物又は従前の建物に照応する建物を建築することが合理的と認められる場合に採用する工法(以下「構内再築工法」という。) 二 曳家工法 曳家後の敷地と建物等の関係、建物の構造及び用途、建物の部材の稀少性の程度等を勘案して、建物を曳家することが合理的と認められる場合に採用する工法 三 改造工法 建物の一部(土地等の取得に係る土地に存する部分と構造上又は機能上切り離すことができない残地に存する部分を含む。)を切り取り、残地内で残存部分を一部改築し、又は増築して従前の機能を維持することが合理的と認められる場合に採用する工法 四 復元工法 文化財保護法(昭和25年法律第214号)等により指定されている場合(文化財保護法第57条の文化財登録原簿に登録されている場合を含む。)その他原形で復元することが合理的と認められる場合に採用する工法 (六) 建物の移転料は、移転工法ごとに次の各号に掲げる式により算定した額とする。この場合において、取りこわし工事費、切取工事費及び解体工事費には整地費及び廃材処分費を、曳家工事費には整地費を、補修工事費、切取面補修工事費、残存部の一部改増築工事費及び復元工事費には補足材費をそれぞれ含むものとする。 一 再築工法 建物の現在価額+運用益損失額+取りこわし工事費-発生材価額 ただし、(四)第2号に基づき残地を通常妥当と認められる移転先と認定したときは、階数の増加又は建物の形状の変化に伴う構造材、設備又は建物面積の変化等を考慮に入れて算定する従前の建物に照応する建物の推定建築費から従前の建物の推定再建築費を控除した額を上式に加えるものとする。 運用益損失額 従前の建物の推定再建築費と従前の建物の現在価額との差額に係る従前の建物の耐用年数満了時までの運用益に相当する額。建物の現在価額と運用益損失額との合計額は、従前の建物の推定再建築費に次式による再築補償率を乗じて算定するものとする。 再築補償率=(1-0.8n/N)+(0.8n/N){1-1/(1+r)N-n} n 従前の建物の経過年数 N 従前の建物の標準耐用年数 別表第3(等級別標準耐用年数表)に掲げる耐用年数を参考にする(以下「標準耐用年数」という。)ものとする。 ただし、同表に掲げる標準耐用年数によることが適当でないと認められるときは、一級建築士等の意見を聴取し、又はその他適切な方法により、当該建物の実態的耐用年数を定め、本号の各式を参考に求めることができるものとする。 r 年利率 耐用年数近似期建物の場合 従前の建物が耐用年数近似期建物(経過年数が標準耐用年数の5割以上を経過し、かつ、標準耐用年数満了時までの建物)の場合で、柱の寸法及び屋根、内壁、外壁、柱、土台等に補修を施している建物の再築補償率は、次式によるものとする。 ただし、従前の建物の経過年数が標準耐用年数の5割未満であっても特に価値補正を考慮する必要があると認められるときは、一級建築士等の意見を聴取し、又はその他適切な方法により定めることができるものとする。 再築補償率=(1-0.8n/N+α)+(0.8n/N-α){1-1/(1+r)N-n+Nα} n 従前の建物の経過年数 N 従前の建物の標準耐用年数 α 価値補正率 木造建物については別表第11(各項目別補正率表)に掲げる補正率の範囲内で定めた各補正項目ごとの補正率を合計して算定することとし、30パーセントを超えることができないものとする。ただし、算定した値が実態に適合しないと認められるときは、一級建築士等の意見を聴取し、又はその他適切な方法により定めるものとする。なお、非木造建物については補修の実態を踏まえ、一級建築士等の意見を聴取し、又はその他適切な方法により価値補正率を定めることができるものとする。 r 年利率 耐用年数満了建物の場合 従前の建物の経過年数が標準耐用年数を超えている建物の再築補償率は、一級建築士等の意見を聴取し、又はその他適切な方法によりその建物のもつ実態的耐用年数を定め、前式を参考に求めることができるものとする。 二 曳家工法 曳家工事費+補修工事費 三 改造工法 切取工事費+切取面補修工事費+残存部の一部改増築工事費-発生材価額 四 復元工法 解体工事費+運搬費+復元工事費-発生材価額 五 除却工法 イ 建物の一部を切り取る場合 切取部分の現在価額+切取工事費+切取面補修工事費-発生材価額 ロ 建物を再現する必要がないと認められる場合 建物の現在価額+取りこわし工事費-発生材価額 (七) 借家人が附加した造作又は増築部分であって建物の本体及び構成部分として建物に附合するものに係る移転料は、建物所有者に補償するものとする。 2 工作物の移転料については、次によるほか建物の移転料の算定方法に準じて算定する。 (一) 移転しても従前の機能を確保することが可能な工作物については、原則として、建物の復元工法に準じて算定するものとする。 (二) 建物に附随する工作物(大規模な工作物を除く。)については、原則として、建物の移転料として算定するものとする。 (三) 総合的美的景観が形成されている特殊な庭園については、庭園の構成物件の移転料のほか、現在の美的景観を形成するために要する造園費を加算できるものとする。 3 前項に定める工作物のうち、機械設備の移転料については、同第1項で定める建物の移転工法における復元工法及び再築工法の算定式に準じ、それぞれ復元費及び再築費として、次により算定するものとする。 (一) 復元費=復元工事費(運搬費を含む)+解体処分費-売却価格 (二) 再築費=機械設備の現在価額(再調達価格×現価率)+運用益損失額+解体処分費-売却価格 4 機械設備の現在価額(再調達価格に現価率を乗じて算定する。)と運用益損失額との合計額は、再調達価格に次式による再築補償率(小数点以下第四位を四捨五入した数値とする。)を乗じて算定するものとする。 再築補償率=(1-0.8n/N)+(0.8n/N){1-1/(1+r)N-n} n 機械設備の経過年数 N 機械設備の標準耐用年数(又は実態的耐用年数) r 年利率 (一) 機械設備の経過年数 機械設備の経過年数は、既存の機械設備の購入(新品としての購入とする。)から補償額算定の時期までの年数をいい、固定資産台帳等の取得年月から認定する。 (二) 機械設備の標準耐用年数 機械設備の標準耐用年数は、別表第12(機械設備標準耐用年数表)を適用して求めるものとする。 なお、標準耐用年数によることが適当でないと認められる場合は、専門メーカー等からの意見を聴取するなど、その他適切な方法により、その機械設備のもつ実態的耐用年数を定めることができるものとする。 5 第2項に定める工作物のうち、附帯工作物の移転料については、第1項で定める建物の移転工法における復元工法及び再築工法の算定式に準じ、それぞれ復元費及び再築費として、次により算定するものとする。 (一) 復元費=復元工事費(運搬費を含む。)+解体処分費-発生材価額 (二) 再築費=附帯工作物の現在価額(再調達価格×現価率)+運用益損失額+解体処分費-発生材価額 6 附帯工作物の現在価額(再調達価格に現価率を乗じて算定する。)と運用益損失額との合計額は、再調達価格に次式による再築補償率(小数点以下第4位を四捨五入した数値とする。)を乗じて算定するものとする。 再築補償率=(1-0.8n/N)+(0.8n/N){1-1/(1+r)N-n} n 附帯工作物の経過年数 N 附帯工作物の標準耐用年数(又は実態的耐用年数) r 年利率 (一) 附帯工作物の経過年数附帯工作物の経過年数は、既存の附帯工作物の設置(新設)から補償額算定の時期までの年数をいうものとする。 (二) 附帯工作物の標準耐用年数附帯工作物の標準耐用年数は、別表13(附帯工作物標準耐用年数表)を適用して求めるものとする。なお、標準耐用年数によることが適当でないと認められる場合は、専門家等からの意見を聴取するなど、その他適切な方法により、その附帯工作物のもつ実態的耐用年数を定めることができるものとする。 7 本条第2項ただし書きの補償は、次による。 (一) 法令には、施設の改善について制限を課している条例及び要綱等の行政指導(成文化され、かつ、公表されているものに限る。)を含むものとする。 (二) 法令の規定に基づき改善を必要とする時期とは、法令の規定に基づき改善の時期が明らかである場合を除き、原則として、既設の施設の耐用年数満了時とする。 なお、建物の耐用年数は、別表第3(等級別標準耐用年数表)を参考とするものとする。 (三) 補償額は、次式により算定するものとする。 S×{1-1/(1+r)n} S 既設の施設を法令の規定に適合させるために必要となる最低限の改善費用。既設の施設の構造変更を伴う場合にあっては既設の施設と同等の機能を有する施設の推定建築費から既設の施設の推定再建築費を控除した額を、設備の新増設を伴う場合にあっては設備の推定設置費から既設の設備の推定設置費を控除した額を、施設の面積が増加することとなる場合にあっては当該増加する面積に既設の施設の推定再建築費の単価を乗じて得た額を、それぞれ標準とするものとする。 r 年利率 n 施設の移転の時から法令の規定に基づき改善を必要とする時期までの期間(年) 8 移転料を算定する場合における職種別賃金は、当該地域の慣行によるものとし、具体的な算定に当たっては、公共事業労務費調査等の統計資料及び実態調査等により定めることとする。 第15-1-2 基準第28条の2(配偶者居住権を有する者に対する建物の移転に係る補償)は、次により処理する。 1 同条の配偶者居住権を有する者に対する補償額は、次式を参考として当該権利の存続期間、設定された事情、使用及び収益の状況等を考慮し、当該権利がない場合における当該建物の現在価額から当該権利がある場合における当該建物の現在価額を控除した額とする。 配偶者居住権を有する者に対する補償額=建物の現在価額-配偶者居住権の存続期間満了時の建物価額×存続年数に応じた複利現価率 =S×(1-0.8n/N+α)-S×(1-0.8×n+m/N+β)×1/(1+r)m S 従前の建物の推定再建築費 N 従前の建物の標準耐用年数(第15第1項(六)第1号に規定するNと同じ。) n 従前の建物の経過年数(第15第1項(六)第1号に規定するnと同じ。) m 配偶者居住権の存続年数次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める年数 イ 配偶者居住権の存続期間が当該配偶者居住権を有する者の終身の間とされている場合当該配偶者居住権を有する者の平均余命(厚生労働省の作成に係る完全生命表に掲げる年齢及び性別に応じた平均余命をいう。ロにおいて同じ。) ロ イに掲げる場合以外の場合遺産の分割の協議若しくは審判又は遺言により定められた配偶者居住権の存続期間の残存期間年数(当該年数が当該配偶者居住権を有する者の平均余命を超える場合には、当該平均余命) n+m 配偶者居住権の存続期間満了時の従前建物の経過年数(当該年数がNを超える場合には、N) r 年利率 α n年での価値補正率(第15第1項(六)第1号に規定する価値補正率) β (n+m)年での価値補正率(第15第1項(六)第1号に規定する価値補正率) 第15-2 基準第28条(建物等の移転料)は、土地等を使用する場合においては、次により処理する。 1 建物の移転料は、残地を移転先と認定するとき、使用終了後に使用対象地に復帰することが困難なとき又は除却工法を移転工法として認定するときを除き、当該建物を使用対象地から除去し、使用終了後に当該使用対象地に従前の建物と同種同等の建物又は従前の建物に照応する建物を再現するのに必要な費用とし、第15第1項(五)に規定する再築工法又は復元工法のうちから妥当な工法を認定し、使用開始時において補償するものとする。この場合において使用後の土地の形質等に著しい変化が見込まれるときは、当該変化を考慮するものとする。 2 工作物の移転料については、前項に準ずるものとする。 3 前二項に定めるもののほか、土地等を使用する場合における本条の処理については、第15の例による。 第15-3 基準第29条の2(区分所有建物の取得等)は、別記3区分所有建物敷地取得補償実施要領により処理する。
第16 基準第31条(動産移転料)は、次により処理する。 1 屋内動産の移転料は、次により算定する。 居住用家財、店頭商品、事務用什器、その他の動産で普通引越荷物として取扱うことが適当なものを屋内動産とする。 屋内動産の移転費は、建物の占有面積及びその収容状況を調査し、地域における標準的な一般貨物自動車の運賃により算定する。 2 一般動産の移転料については、次により算定する。 木材、薪炭、石炭、砂利、庭石、鉄鋼、据付けをしていない機械器具又は金庫その他の動産で、容積及び重量で台数積算を行うのが適当なものを一般動産とする。 一般動産の移転費は、品目、形状、寸法、容量、重量、その他台数算出上必要な事項を調査し、前項の例により算定する。 3 前二項の場合において、取扱いの困難な動産については、その実情に応じて梱包、積上げ及び積卸し人夫賃、易損品割増料、その他必要と認める特殊経費を加算することができる。 4 土地等を使用する場合における使用終了後に従前地に移転する動産に対する補償の額は、前三項の規定により算定した額と同額とし、使用開始時において補償するものとする。
第17 基準第32条(仮住居等に要する費用)は、次により処理する。 1 本条第1項の補償額は、仮住居建物の権利金等の一時金相当額と家賃相当額との合計額とする。 2 仮住居建物の権利金等の一時金相当額は、当該地域における借家等の際に要する権利金等の一時金の額を考慮して、第18の例により定めるものとする。ただし、当該地域において権利金等の一時金を支払う慣行のない場合は、補償しないものとする。 3 家賃相当額は、次式により算定した額とする。 (一) 土地を取得する場合 一 自用地又は借地で自家自用のとき。標準家賃(月額)×仮住居補償期間(月) 二 借家で借家人補償の対象とならないとき。(標準家賃(月額)-現在家賃(月額))×仮住居補償期間(月) 三 配偶者居住権を有する者であるとき。標準家賃(月額)×仮住居補償期間(月) (二) 土地を使用する場合 一 自用地で自家自用のとき。 標準家賃(月額)×仮住居補償期間(月)-使用対象地の地代補償額(月額)×使用期間(月) 二 借地で自家自用のとき。 標準家賃(月額)×仮住居補償期間(月)-使用対象地の借地権者(建物所有者)に対する地代補償額(月額)×使用期間(月) 三 借家で借家人補償の対象とならないとき。 (標準家賃(月額)-現在家賃(月額))×仮住居補償期間(月) 四 配偶者居住権を有する者であるとき。 (一) 第3号に準ずる。 (三) (一)及び(二)における標準家賃は、当該地域における同種の賃貸事例の家賃から比準して算定した額を基準とし、仮住居の使用の実情に応じて適正に補正した額とする。この場合において、事例の敷地面積が小さい等の事情により、標準家賃に含まれる地代相当額(月額)が、使用対象地の地代補償額(月額)より少ないと認められるときは、(二)第1号及び第2号に掲げる式においては、使用対象地の地代補償額(月額)に代えて標準家賃に含まれる地代相当額(月額)を控除するものとする。 (四) (一)における仮住居補償期間は、別表第4(建物移転工法別補償期間表)に定める期間に前後の準備期間を加えた期間とし、(二)における仮住居補償期間は、これに土地の使用期間を加えた期間とするものとする。 4 土地の使用に係る場合において、仮住居期間が長期にわたるときの仮住居の補償は、当該仮住居に係る契約の更新に伴い必要となると認められる一時金相当額を補償するものとする。 5 当該地域において、仮住居を賃借りすることが著しく困難であると認められる場合においては、前4項の規定にかかわらず、既設の建物を改造し、仮住居の用に供する仮設建物を新設し、又は仮設組立建物等の資材をリースするのに要する費用を補償することができるものとし、既設の建物を改造する場合の補償額は当該建物の改造に要する費用相当額(電気、水道等の附帯施設に要する費用相当額を含む。)とし、仮住居を新設する場合又は仮設組立建物等の資材をリースする場合の補償額は次式により算定する。ただし、この場合における仮住居の規模、構造及び設備等は従前の生活機能を維持するために必要なものとする。 (一) 土地を取得する場合 一 自用地又は借地で自家自用のとき。 仮設建物の建設費又は資材のリース料(電気、水道等の附帯施設に要する費用及び敷地の借入れに要する費用を含む。以下「仮設建物の建設費等」という。)+撤去費-発生材価格 二 借家で借家人補償の対象とならないとき。 仮設建物の建設費等+撤去費-(発生材価格+現在家賃(月額)×仮住居補償期間(月)) 三 配偶者居住権を有する者であるとき。 仮設建物の建設費等+撤去費-発生材価格 (二) 土地を使用する場合 一 自用地で自家自用のとき。 仮設建物の建設費等+撤去費-(発生材価格+使用対象地の地代補償額(月額)×使用期間(月)) 二 借地で自家自用のとき。 仮設建物の建設費等+撤去費-(発生材価格+使用対象地の借地権者(建物所有者)に対する地代補償額(月額)×使用期間(月)) 三 借家で借家人補償の対象とならないとき。 仮設建物の建設費等+撤去費-(発生材価格+現在家賃(月額)×仮住居補償期間(月)) 四 配偶者居住権を有する者であるとき。 (一)第3号に準ずる。 (三) 仮住居の敷地の借入れに要する費用が使用対象地の地代補償額よりも少ないと認められるときは、(二)第1号及び第2号の式においては、使用対象地の地代補償額に代えて仮住居の敷地の借入れに要する費用を控除するものとする。 第17-2 基準第33条(家賃減収補償)は、次により処理する。 本条の補償額は、次式により算定するものとする。 1 土地を取得する場合 従前の建物の家賃(月額)×(1-α)×補償期間(月) α 管理費及び修繕費相当額を考慮し、0.1の範囲内で適正に定めた率 2 土地を使用する場合(土地の使用期間中移転建物を建築せず、使用期間満了後従前地に再建するときに限る。) (一) 自用地上の建物であるとき。 従前の建物の家賃(月額)×(1-α)×補償期間(月)+得られることが見込まれる更新料相当額-使用対象地の地代補償額(月額)×使用期間(月) α 前項に定める率 ただし、建物の自用部分と賃貸部分とが併存する場合において控除すべき使用対象地の地代補償額は、賃貸部分に係る部分のみとするものとする。 (二) 借地上の建物であるとき。 従前の建物の家賃(月額)×(1-α)×補償期間(月)+得られることが見込まれる更新料相当額-使用対象地の借地権者(建物所有者)に対する地代補償額(月額)×使用期間(月) α 第1項に定める率 ただし、建物の自用部分と賃貸部分とが併存する場合において控除すべき使用対象地の地代補償額は、賃貸部分に係る部分のみとするものとする。 3 前二項の従前の建物の家賃(月額)は、補償契約締結前の一年間における当該建物に係る家賃収入額(次項により相当と認められる期間を加える場合にあっては、当該借家人が移転してから補償契約締結までの期間の家賃収入の相当額を加えた額)を十二で除した額とする。 4 第1項及び第2項の補償期間は、貸家用の建物の移転料の算定に当たり採用した移転工法に応じた家賃を得ることができないと認められる期間として別表第4(建物移転工法別補償期間表)に定める期間とする。ただし、基準第34条の借家人に対する補償を行う場合(建物の移転が構外再築工法によるときを含む。)は借家人の入退去の準備に要する期間(原則として各1か月)を加えることができるものとし、土地を使用する場合は使用対象地の使用期間も家賃を得ることができないと認められる期間とするものとする。 なお、やむを得ない事由により、建物の移転に関する補償契約の締結以前に借家人が移転することにより、建物の全部又は一部を賃貸している者が家賃を得ることができない場合は、相当と認められる期間を加えることができるものとする。
第18 基準第34条(借家人に対する補償)は、次により処理する。 1 本条第1項の賃借りを継続することが困難となると認められるときとは、次に掲げるときとするものとする。 (一) 建物の移転先を残地以外の土地と認定したとき又は建物の移転工法として構内再築工法を認定したとき。ただし、移転後の建物で賃貸借を継続することが確実であると認められるときは、この限りでない。 (二) 建物の移転先を残地と認定し、かつ、建物の移転工法として構内再築工法以外の工法を認定した場合において、新たな一時金の支出が伴う等従前の契約条件の著しい変更が確実であると認められるとき。 2 本条第1項の補償額は、次の(一)及び(二)に掲げる借家の際に要する一時金の区分に応じて、(一)及び(二)に掲げる式により算定した額を標準として定めるものとする。ただし、当該地域において一時金を支払う慣行のない場合は、補償しないものとする。 (一) 賃貸借契約において借家人に返還されないことと約定されている一時金 標準家賃(月額)×補償月数 標準家賃 従前の賃借建物に照応する建物(従前の建物が狭小なため当該地域に照応する建物がないと認められる場合は当該地域に存在する借家事例を勘案の上、20パーセントの範囲内で借家面積を補正した建物とすることができるものとする。この場合において、借家人が高齢である等の事情があるため生活圏が限定され当該生活圏外への転居が著しく困難と認められるときは、当該生活圏において従前の居住を継続するのに社会通念上相当と認められる規模の建物(借家面積を40パーセント増加補正した建物を限度とする。)とすることができるものとする。以下同じ。)の当該地域における新規賃貸事例において標準的と認められる月額賃貸料とする。 補償月数 従前の賃借建物に照応する建物の当該地域における新規賃貸事例において標準的と認められる一時金の月数とする。 (二) 賃貸借契約において借家人に返還されることと約定されている一時金 (標準家賃(月額)×補償月数-従前貸主からの返還見込額)×(1+r)n-1/(1+r)n 標準家賃及び補償月数 (一)に定めるとおりとする。 従前貸主からの返還見込額 現賃借時に支払われた一時金の額のうち、建物の移転による契約終了に伴い貸主から借家人に契約上返還されることとなる金額をいう。ただし、現賃貸借契約終了時において修繕費等原状回復に要する費用又は借家人の債務の不履行が存在する場合において、それらについて貸主が借家人に返還しないこととなる金額は、返還見込額に含めるものとする。 r 年利率 n 賃借期間従前の賃借建物において賃借りを継続したであろうと認められる期間であって、10年を標準とする。 3 本条第2項の補償額は、次式により算定する。 (標準家賃(月額)-現在家賃(月額))×12×補償年数 標準家賃 従前の賃借建物に照応する建物の当該地域における新規賃借事例において標準的と認められる月額賃借料とする。 補償年数 別表第5(家賃差補償年数表)の区分による範囲内で定めるものとする。ただし、建物の全部又は一部を現に賃借りしている者が居住又は使用している期間が、この表の区分による年数を下回る場合は、当該期間(当該期間が1年未満の場合は1年)を年数とみなす。 なお、特段の事情があると認められるときは、各区分の補償年数を1年の範囲内で補正することができるものとする。