干渉屋たちは実践感覚に欠けていて、歴史から何も学び取らないばかりか、純粋な推論すらまともにできない。ヤツらは、流行語まみれの巧妙であいまいな議論を用いて、純粋な推論を覆い隠してしまうのだ。
オレンジ色のハイライト | 位置: 270 干渉屋の欠陥は3つある。(1) 動ではなく静で物事を考える。(2) 高次元ではなく低次元で物事を考える。(3) 相互作用ではなく行為という観点で物事を考える。こうした愚の骨頂の教養人(もっというと似非教養人) が頭のなかで行う推論の欠陥については、本書全体を通じてより詳しく見ていく。
オレンジ色のハイライト | 位置: 337 官僚制度とは、人間が自分自身の行動の責任を取らなくてもいいようにするご都合主義の構造である。
オレンジ色のハイライト | 位置: 394 身銭を切らないかぎり、進化は起こりえない。 この最後のポイントは、明々白々だ。ところが、進化論は擁護するくせに、身銭を切ったりリスクを分担したりしたがらない学者はごまんといる。彼らは全知全能の創造主による〝設計〟という概念は否定するくせに、自分はまるで全知全能であるかのように何かを〝設計〟しようとする。
オレンジ色のハイライト | 位置: 414 身銭を切るという行為が、人間の傲慢さを抑制する。
オレンジ色のハイライト | 位置: 541 人間は物事のスケールに対して敏感な、局在的で現実的な動物だからだ。小さいと大きいは違う。具体的と抽象的は違う。感情的と論理的は違う。先ほど、マクロよりもミクロのほうがうまくいくと述べた。同じように、駐車場の係員に挨拶するときには、あまりにも抽象的な話題は避けるのが賢明だ。人間は目の前の具体的な環境に集中しなければならない。だから、シンプルで実践的な規則が必要だ。もっと 質 の悪いことに、一般的なものや抽象的なものには、プロローグその1で紹介した干渉屋のような、独りよがりのサイコパスたちがぞろぞろ集まってくる傾向がある。
オレンジ色のハイライト | 位置: 623 私は個人的に、予測の下手な金持ちと、予測の〝得意〟な貧乏人の両方を知っている。人生で重要なのは、結果の予測を〝的中〟させる頻度ではなく、的中させたときにどれだけ儲けるかだ。読みを間違えるのは、大きな犠牲がなければさして重要ではない。ある意味、学術研究における試行錯誤のメカニズムと似ている。
オレンジ色のハイライト | 位置: 684 科学主義とは、科学をプロセスや懐疑的な活動ではなく、何かを複雑化することとしてとらえる軽薄な考え方である。むやみやたらに数学を使うのは、科学ではなく科学主義だ。まともに動いている手を、もっと技術的なもの、たとえば人工義手に置き換えるほうが、より科学的だとは いえない。何兆という高次元のストレス要因にさらされながら、はるか昔から生き抜いてきた〝自然〟なプロセスを、〝査読済み〟の学術誌に発表された再現可能でもなければ統計的な精査にも耐えられない技術へと置き換えるのは、科学でもなければ正しい行動でもない。本書の執筆時点で、科学は製品(マーガリン、遺伝子組み換え商品) の押し売り商人たちに乗っ取られてしまった。そして、皮肉なことに、その懐疑的な活動とやらが、懐疑主義者たちの口を封じるために悪用されている。
オレンジ色のハイライト | 位置: 699 語る者は実践するべきであり、実践する者だけが語るべきである。
オレンジ色のハイライト | 位置: 725 その点、身銭を切れば物事はシンプルになる。それも、拍子抜けするくらいシンプルに。複雑な解決策を握っている人々には、シンプルな解決策を実行する動機がない。すでに見たとおり、官僚化したシステムは、複雑な解決策を売りこむ人々の干渉主義のせいで、どんどん複雑になる。彼らの受けてきた教育や立場がそうさせるからだ。 身銭を切らない連中の設計した物事は、どんどん複雑になる傾向がある(そして、最終的に崩壊する)。