「ねえ。アンタたち、何者? ていうか、どこから来たの?」
小学生ぐらいの少女は、部屋の中央で固まる二人を怪訝そうな顔で見つめた。
片方は、魔法使いのような長い杖を抱えた少女――いや、外見は十代後半の若者だ。もう片方は、翼と角と尻尾を備えた少年――竜人と言うほうが近い。
床にはガラス片が散り、窓はぽっかりと大きな穴が開いている。
(ど、どうすんのよ、この状況……!)
魔法使いの少女が、隣の竜人に視線を投げた。
(どうするも何も……それよりクリスさん。この子、念話が効かないんですよ。今僕らが使ってる、相手の脳内に直接話しかける魔法)
(えっ、念話ってこっちの世界の人間には効かないの? 初耳なんだけど! じゃあどうやって話すのよ。こっちの言葉なんて、私知らないわよ?)
(それは僕も同じです!)
(ああもう! さっきアンタがちゃんと飛べてたら、人様の家の窓を突き破ることもなかったのに!)
(だって僕たちいきなり空に放り出されたんですから! 心の準備ってものが……!)
「……あのー。二人とも聞いてる?」
少女は目を細める。
「私の言葉、通じてる? てか、言葉はわかるけど、話し方はわからないって感じ?」
二人は慌てて、コクコクと頷いた。
「そっか。ええ〜面倒くさいなぁ」
少女は腕を組み、散らばったガラスと割れて大きな穴の開いた窓を見上げた。
「それにパパが帰ってくる前に、この窓なんとかしないといけないし」
少女の冷たい視線の圧に押されたのか、二人は黙ったままキビキビと動き出した。ガラス片を手早く拾い集め、近くにあったゴミ袋を裂いて何枚も繋ぎ、穴を覆っていく。