これは壁 Advent Calendar 2025 12日目の記事です。

2025年4月に某大学の准教授職を拝命した。

執筆者はこれまで准教授であったことはなく,これが初めての准教授職だ。

年齢的には特別早いわけでも遅いわけでもなさそうである。少なくとも最年少准教授でも最年長准教授でもない。一応,30代でなれてたらいいなあくらいにぼんやり思っていたので,30代ギリギリ滑り込みでこの職を得られたのは僥倖であった。

まだ1年にも満たない短い期間であるが,実際に働いてみてわかったこと,思ったことなどをつらつらと書いてみたい。

属人性の壁

大学という職場では,仕事が「その人がいるから回っている」状態になりやすい。研究室運営,委員会,外部資金の実務,学会対応,学生対応などなど,どれも重要だが,一度引き受けると継続が前提になりがちであり,個人依存は本人の消耗だけでなく組織的なリスクをも同時に増やす。

属人性が厄介なのは,成果が見えにくい割に失敗した時だけ可視化される点にある。例えば,特定の教員だけが把握している手続き,特定の研究室だけが抱える非公式なルール,特定の委員だけが回している関係者調整といったものは,上手く回っている間は評価されにくい一方,問題が起こると「なぜ共有されていないのか」と責任が個人に回収される。結果的に,合理的な防衛行動として「自分が全部知っている状態」を維持してしまう悪循環に陥る。

准教授はこの構造の中心に立たされやすい,と私は思っている。教授ほど裁量が大きくはないが,講師・助教よりは裁量と期待が増え,かつ「現場が分かる中堅」として様々な仕事が集中しやすくなっているように見えるからだ。仕事を回すことと,個人の評価(論文・外部資金・教育実績)の板挟みにもなり易いと言えるだろう。

しかし,実際のところ属人性をゼロにするというのは現実的ではない(それができるなら既に誰かがやっているはずである)。できることといえば,せいぜい事故が起きても回復できる設計にするくらいだろうか。具体的には,何が属人化しているかを明確化し,情報の置き場所の統一し,手順の最小限の文章化をする(次の人が再現できる粒度の)といった,地味だが確実に効果がありそうなことをちまちまやっていくしかないかな〜〜〜というところである(少なくとも私にはこの程度しか思いつかない)。属人性の壁はあまりにも高い。

単身赴任の壁

執筆者は生まれも育ちも愛知県であり,人生で生活拠点が愛知県以外だったことはない,魂を愛知に縛られている人間である。

そのような人間が突然愛知県外の大学に異動することになったのだ。破滅である。

まず,私の異動が確定したのが年度末もほど近い2月末であったことで,異動先に(予算内での)まともなアパートの選択肢が残っていなかった。もっと早く確定する前から動いておけ!とか,もうちょっとお金出せば良いのでは?とかいうご意見もあるかもしれない。いやもう全くもっておっしゃる通りです。

そんなわけで(?)消去法で残った部屋にしたのだが…

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選ばれたのは独房でした☆