野生動物を効果的に遠ざけるためには、その生態を理解することが欠かせません。特に「視覚」は、害獣撃退装置を設計・開発する上で大きなヒントとなります。

動物の視覚の基本構造

動物の目の網膜は、**桿体細胞（暗闇に強い）と錐体細胞（色を識別する）**で構成されています。

• 捕食者や人間のように前向きの目を持つ動物は「両眼視」に優れ、奥行きの判断が得意です。
• 一方、鹿や馬など草食動物は目が側面にあり、横方向や後方の動きに敏感です。これは外敵をいち早く察知するための適応です。

この違いは、害獣撃退装置で「どの方向から光や動きを与えると効果的か」を考える上で重要です。

昼行性と夜行性で異なる視覚

動物の活動習慣も視覚特性に直結しています。

• *夜行性動物（シカ、コヨーテなど）**は、桿体細胞が多く「暗所に強い目」を持ちます。また輝板（タペタム）によって光を反射し、わずかな光でも感知できるため、ライトを当てると「アイシャイン」と呼ばれる目の反射が見られます。
• *昼行性動物（多くの鳥類など）**は、錐体細胞と油滴構造により鮮やかな色を見分けます。特に鳥は赤やオレンジなどの色に敏感で、餌や仲間の識別に活用しています。

この性質を利用すれば、夜行性の害獣には「強い光のフラッシュ」や「視覚的な点滅刺激」が効果的であり、昼行性や薄明薄暮性の動物には「特定の色彩や模様」を組み合わせた撃退方法が有効と考えられます。

鳥類の特殊な色覚と応用

鳥は多くが**四色色覚（UV視覚を含む）**を持ち、哺乳類よりも色識別能力が高いとされています。

例えば、

• カモメのヒナは親の赤い斑点に反応する

• ハトは紫外線領域まで視認できる

  といった研究があります。

これらの知見は、鳥害対策として「紫外線を含む光源」や「特定の色を強調した撃退装置」を導入する可能性を示しています。

害獣撃退装置への応用例

動物の視覚特性を理解すると、撃退装置の設計に以下のような応用が可能です。

1. フラッシュライト型撃退装置

   夜行性動物の輝板を利用し、強い光で不快感を与える。