効果的な 害獣対策 を実現するためには、動物の生態や感覚特性を理解したうえで設計された 害獣撃退装置 を導入することが重要です。撃退装置は、単一の刺激、あるいは複数の刺激を組み合わせて、被害をもたらす、または被害を引き起こそうとしている野生動物を効果的に抑止します。動物が反応する刺激は、視覚・嗅覚・味覚・触覚・聴覚といった感覚に依存しており、その中でも特に 視覚 と 聴覚 へのアプローチが害獣対策装置において重要な役割を果たします。

1. 視覚に基づく害獣対策

動物の色覚や視力は種によって大きく異なります。

• 肉食動物やフクロウのように前向きの両眼視を持つ動物は奥行きの認識に優れています。
• 草食動物やハトのように頭の横に目を持つ種は、広範囲の視野を確保し、後方の動きも感知できます。
• 鳥類は色覚に優れ、紫外線（UV）を利用できる種もおり、餌の選択や仲間の識別に役立てています。

このような視覚特性を利用した 害獣撃退装置 には以下の例があります。

• ライト、ストロボライト、投光器
• 旗、反射板、反射テープ、動くオブジェ
• 捕食者を模した模型（タカやフクロウのデコイ、スケアリーアイなど）

新しい物に対する恐怖心（ネオフォビア）を持つ動物も多いため、これらの装置を定期的に移動・変化させることで、害獣の定着を防ぐことが可能です。

2. 聴覚に基づく害獣対策

多くの野生動物は鋭敏な聴覚を持ち、音を利用した撃退が有効です。

• ガス爆発装置の爆発音
• サイレン
• 捕食者や同種の鳴き声の録音

これらは一時的に有効ですが、単調な使用では動物が慣れてしまいます。そこで注目されているのが 生体音響（バイオアコースティック） を活用した方法です。

代表的なものに ディストレスコール（苦悶・警戒の鳴き声） があります。これは動物が捕食者に襲われた際や拘束されたときに発する音で、仲間に危険を知らせたり、捕食者を驚かせて逃げようとする信号です。これを高品質に録音・再生することで、大音量の騒音を使わずとも動物に強い警戒心を与えることができます。