日本各地で農作物被害を引き起こしているイノシシ。彼らの行動を理解するためには、「イノシシの感覚」と「イノシシの生態」を正しく知ることが欠かせません。イノシシは人間と同じように五感を持っていますが、その使い方は大きく異なります。特に嗅覚や聴覚の鋭さは、私たちの想像を超えるレベルです。今回は、イノシシの視覚・嗅覚・聴覚・触覚を中心に、その驚きの生態を詳しく紹介します。


1.イノシシの視覚|色の見え方は人間と違う

イノシシの視覚は人間ほど優れていません。人間は3種類の錐体細胞を持ち、多様な色を識別できますが、イノシシは2種類の錐体しか持たない「二色性視覚」を持っています。

このため、イノシシは色を細かく識別するよりも、光の明暗や動きで環境を捉えていると考えられます。狩猟用のナイトスコープで赤外線がよく使われるのも、この特性に基づいています。


2.イノシシの嗅覚|生態を支える最強の武器

「イノシシの感覚」の中でも最も優れているのが嗅覚です。

イノシシはこの嗅覚を使って食べ物を探すだけでなく、天敵や人間の存在を察知します。雨天時や強風時には匂いの拡散が変化するため、行動が制限されることもあります。野生のイノシシは、まるで金属探知機のように常に鼻を使って周囲を探っているのです。


3.イノシシの聴覚|わずかな物音にも反応

イノシシは聴覚も非常に優れており、32Hzから40.5kHzの幅広い音域を聞き取ることができます。特に250Hzから16kHzの音に最も敏感です。