野生動物を効果的に遠ざけるためには、彼らがどのように音を感じ取っているのかを理解することが重要です。音は目に見えない刺激でありながら、動物の行動に大きな影響を与えます。近年の研究では、動物の聴覚特性を利用した 害獣撃退装置 が注目されており、その開発には「周波数」と「音圧」に関する正しい知識が欠かせません。


音の基礎と聴覚の違い

音は周波数(Hz)と音圧レベル(dB SPL)で表されます。

人間は一般的に 20~20,000 Hz の範囲を聞き取れますが、野生動物はこれを大きく超える範囲の音を感知できることがあります。たとえば、コウモリは 50,000~90,000 Hz の超音波を使って獲物を探し、象は 20Hz未満の超低周波音 で遠距離コミュニケーションを行います。


鳥類の聴覚と応用

鳥類は 1,000~3,000 Hz の音に特に敏感で、絶対感度は人間より高い(-10~10 dB SPL程度)といわれています。

また、鳥は哺乳類と異なり 内耳の有毛細胞を再生 できるため、加齢による聴力低下を克服します。これは非常に強い聴覚適応であり、撃退装置で用いる周波数選定の際に「単純な大音量」では効果が持続しない可能性を示しています。

👉 応用例:鳥害対策では、聴覚特性に合わせた 1~5kHz帯域の変動音 や、予測不能な音のパターンを組み込むと効果的と考えられます。


哺乳類の聴覚と応用

哺乳類は生息地の多様性により聴覚の幅が広く、種によって感度が異なります。