ディープテックスタートアップが直面する「資金の壁」は、他領域に比べて圧倒的に高く、その構造は2025年現在、国や公的支援機関が明確にデータで裏付けています。
たとえば、経済産業省の資料には、ディープテック分野における事業化・社会実装には従来型IT/SaaS系スタートアップの初期資金(1~2億円)の何倍も多い、10~30億円規模の資金が必要と記載されています。さらに世界の動向を見ても、2025年の調査によればディープテック領域はIT系に比べて約1.4倍多い資金調達を求められるというデータも示されています。
たとえば、経済産業省の資料によれば、ディープテック領域のスタートアップが事業化や社会実装を進めるには、従来型のIT/SaaS系スタートアップに比べてはるかに大規模な10~30億円規模の資金調達が必要だと見込まれています。
ディープテック領域に挑戦する起業家・研究者にとって、「補助金」は“賢い成長戦略”の一つでしょう。しかし、獲得におけるノウハウは余り知られていません。
本記事では、経済産業省を含む政府およびスタートアップでの勤務経験をもち、それらの知見や経験を活かした社会変革の可能性に取り組む、awake株式会社 代表取締役社長の山本聡一さんにご協力いただき、「補助金活用戦略の最前線」について研究者・起業家向けにまとめました。
**申請から採択・実施・拡張まで、現場の本音とノウハウを凝縮し、補助金を「使える武器」に変えるための戦略とノウハウをお届けします!**ぜひ、最後までご覧ください。
補助金は、返済不要の資金であり「自己資金」として使える貴重な手段です。近年では、多いものでは数億~数十億もの大型補助金プログラムが存在し、獲得できる金額の幅も大きくなってきました。
返済不要なら全部獲得しよう!と意気込むかもしれませんが、リソースの限られたスタートアップにとって「申請作業」や「採択後のバックオフィス業務」が大きなハードルとなります。これらの作業を紐解いていくと、「500万円の補助金と5,000万円の補助金を比較すると、金額は10倍となる一方で、手続きの手間は1.2倍程しか変わらない」と言われるほど、金額に依存せず申請の負担が大きいです。時間とリソースの限られたスタートアップにおいては、小口の助成金を狙うよりも「数千万円以上の大型補助金に絞って狙う戦略」が有効となりそうです。
研究開発型スタートアップが活用できる主な大型補助金一覧は次の通りです。
| 区分 | 補助金名 | 機関 | 概要 |
|---|---|---|---|
| 創業支援 | 創業融資 | 政策金融公庫 | ・最大7,200万円の融資 |
| 創業資金 | ディープテック・スタートアップ支援事業(DTSU) | NEDO | ・最大25億円 |
| ・VC出資と連動が必要 | |||
| ディープテック・スタートアップ支援基金/国際共同研究開発 | NEDO | ・加・英・仏・蘭・星・オーストリア・フィンランドとの共同開発を支援、最大1億円 | |
| **研究開発補助金 | |||
| (人件費対象)** | 人材発掘・起業家育成事業(NEP) | NEDO | ・最大3千万円 |
| ・初期の研究開発支援 | |||
| SBIR推進プログラム | NEDO等 | ・特定テーマ設定 | |
| ・政府調達への連続性 | |||
| グリーンイノベーション基金事業 | NEDO等 | ・GX分野特化 | |
| ・1件当たりの契約は大型 | |||
| 成長型中小企業研究開発支援事業 | 経済産業省 | ||
| 中小企業庁 | ・大学等と連携 | ||
| ・3年で最大3億円 | |||
| A-STEP | JST | ・最大5億円の研究開発費(融資) | |
| TOKYO戦略的イノベーション促進事業 | 中小企業振興公社 | ・他企業連携必須 | |
| ・3年8千万円程度 | |||
| **設備資金・ | |||
| システム導入 | |||
| (人件費対象外)** | ものづくり補助金 | 中小企業庁 | ・手続きが型化されている |
| ・最大1千万円〜2.5千万円程度 | |||
| 中小企業経営強化税制 | 中小企業庁 | ・新規投資の税制優遇 | |
| IT導入補助金 | 経済産業省 | ・ITツールの導入を1/2〜4/5補助 |
※上記以外にも、「領域特化」や「地域限定」などに絞った場合、多数の補助金があります。