(おかしいなとは)思いませんね、教育されておりましたから。日本は強いんだ、事実、ロシアとやったときも勝ったでしょう。あれです。勝っておるんだから、絶対に神風が吹くんだと、みんな、みんな思っていました。
(3/19の空襲後)あのときは、まだ負けるとは思わなかったですねえ。負けると思いたくないから、そんな話をしたこともなかったと思います。勝つばっかりですよ。過去がそうだった、勝ったんだからって。神様がついてくださっている、そういう教育なんです。洗脳されているから信じておりました。だから一生懸命に働くんですよ。早く飛行機を組み立てられるようになって、1機でもつくって、敵機に突っ込んでもらわんとならん。兵隊さんが1人亡くなってなのに、ね。
(『呉本に』大久保圭子さんの証言より 37ページ)
戦後から現代
ふと、軍歌は嫌いではないのか、尋ねてみた。すると、 「いいえ、嫌いじゃないですよ。だって、みんなで歌って元気を出していたんだから。いまでも嫌いじゃないですよ、元気が出ます」 (中略) たとえばわたしの親世代には、軍歌を嫌う人も多くある。あんな戦争の歌なんか嫌だ、と。曲調が難しい、と。あんな歌詞を口にするのは辛い、と。 けれど、大久保さんは違った。 それが真実なのだ、大久保さんの真実。真実なんだ。
(『呉本に』52-53ページ)