**退職して2年と3ヶ月で学んだ

「審美眼を磨く」という考え方**


1社目を退職して2年と3ヶ月が経った

2018年4月入社で、AGCという化学メーカーに研究職として入社して6ヶ月後の2018年10月、私はユーザベースというIT企業に転職しました。どうしても自分で1から事業を作る経験をしたいという好奇心を抑えられなかったのが、転職の理由です。

ユーザベースは2016年10月21日に東証マザーズに上場した、売上高130億円ほどのITベンチャーです。事業はメディア事業である「News Picks」と、企業・業界情報プラットフォームのSaaSを中心にサービスを提供しています。

転職先のユーザベースでは、「起業家に特化したライブ配信サービス」の新規立ち上げを行っていました。

ただそのサービス自体は、開始から1年ちょっと経った2019年12月にコンセプトをピボット(転換)することとなります。そのタイミングの少し後で、チーム異動が決まり別事業でプロダクトマネジメントの仕事をし、2020年11月に空き情報を可視化するサービスを提供するスタートアップ「バカン」に転職しました。(実はバカンはAGCと協業したこともあります!)現在はその会社で、1人目の広報PRとして働いています。

今回はユーザベースでの「事業を作り、止めることになった」経験を通して、行動がどう変わったかを少し振り返ってみようと思います。

転職した先の事業が無くなった経験から学べること

私自身器用ではなく行動指針を複数持ってうまくいった試しがないので、AGC入社時から「打席にとりあえずたくさん立つ」ことだけを大事にしてきました。

そしてこの指針は2年間たった今も特に変わってはいません。しかしこのままだと、「2年間経ったけど、何も変わりませんでした」というなんの学びもない結論になってしまうため、もう少し「打席に立つ」ことについて考えを深めてみることにします。

「審美眼」を鍛える

前述の通り、入社して約1年後に事業のピボットが決定し、実質打ち切りとなります。ではその経験を経て、自分が新たに学んだことはなんだったのか。それは「何を捨てるか」に思考の重点を置くようになったことです。

そこで順を追って、その理由を説明していきたいと思います。

まずここからの話の前提として、「学びの総量=経験の回数×学ぶ中身」「事業の成功確度が高い=学びの総量が多い」が成り立つものとしてます。

AGC入社当初から私が重視していたのは、前述の2要素のうち「経験の回数」でした。経験を増やして、学びを増やすことに重きを置いていた訳です。というのも、大学生のうちは比較する相手も競争する相手の対象も狭いですし、行動などの制約も少なかった分、経験の回数で十分勝負できていると感じていました。

しかし社会人になりその状況は一変します。時間や行動の制約が多くなりますし、それ以上に今までとは比較にならないほど回数をこなす超人が相手になるのです。「1日数百件のテレアポを楽しみながらこなす元リク○ートの営業マン」「事業アイディアの壁打ちを10個/日はおこなう元Go○gleのエンジニア」「呼吸をするかのように、ロジックツリーなどのフレームワークを使い課題分析をする元マッ○ンゼーのプロダクトマネージャー」。そんな人と勝負し、勝ち筋を見つけていかなければなりません。その環境下で生き残り、自社サービスに貢献するためには、量以外の部分での勝負が必要不可欠でした。

そうすると、残りは学びの「中身(内容、質、量など)」が焦点になります。