テスラ、ソフトで稼ぎ高収益、自動運転進化、常に「新車」。 2021/11/29  日経産業新聞  3ページ  1664文字  PDF有  書誌情報 1面から続く  2021年、自動車各社は半導体不足に悩まされた。一方、テスラは生産能力に余力がある工場に生産を切り替え、ソフトを書き換えることで在庫のあった半導体を制御できるようにして克服した。ソフトに重点を置く同社の強みが発揮された格好だ。自動運転の分野でも他社とは異なるアプローチで供給制約をしのいでいる。  一般的な自動運転の仕組みでは、車体に複数のセンサーを積み込み周囲の状況を認識する。さらに3次元のマップなどのデータを組み合わせることで自動運転の精度を高めている。 ■制御はカメラ・AI併用  これに対し、テスラの自動運転はセンサーではなくカメラを中心に据えている。カメラが読み取った情報を人工知能(AI)が解析し、車線などを認識する。つまり、カメラと最低限のセンサーさえ積んでいれば、あとはソフトウエアのアップデートで自動運転の精度を高めることができる仕組みだ。  同社では既に自社開発した「完全自動運転」向けの車載コンピューター「FSD」を搭載している。車本体には既に自動運転をする装備が施されており、あとはソフトを更新していけば自動運転が実現できるというのが同社の考えだ。  業界全体で自動運転車開発が進んでも部品の取り合いに巻き込まれることなく、ソフトの更新のみで独自の自動運転を進化させることができる。  この機能は米国ではすでにサブスクリプションとして提供されている。長距離のドライブが必要なときだけ追加購入といった使い方ができる。  他にも加速ブーストや航続距離をサブスクで利用でき、日本でも「プレミアムコネクティビティ」というサービス名で、ナビの交通情報や音楽ストリーミングなどを提供している。車本体を買った後も機能を更新でき、テスラも継続的に収入を得ることができる。車は買った後にどんどん古くなっていく、そんな常識も覆している。 ■ソフトに不具合の恐れも  だが、ネットはリアルの世界と違った課題もある。11月中旬、世界中で車の遠隔操作に使う際のサーバーにアクセスできない不具合が一時的に発生して、利用者が車から離れている状態だと温度設定など一部機能の利用ができなくなった。  「ソフトで車両を制御するという先駆的なチャレンジをしているが故に、ガソリン車では想定し得ないトラブルが起きる可能性はある」とアーサー・ディ・リトル・ジャパンの貝瀬斉パートナーは指摘する。  ソフトの不具合で、テスラのビジネスモデルの根幹である高い利益率を誇るサブスク課金など、収益面で影響が出ないようにする工夫が必要だ。 ■注目のスペースXと連携  テスラを率いるイーロン・マスク氏と言えば民間宇宙企業「スペースX」でも注目を集めている。今は「宇宙旅行」で話題をさらっているが、その裏にはしたたかな戦略がある。  ツイッターで「Starlink(スターリンク)」と検索すると、シンプルなデザインの箱に入ったアンテナの写真の投稿が目につく。スペースXの通信衛星を利用したブロードバンドサービスの受信設備だ。Starlinkでは約1万2000基の人工衛星を打ち上げ、世界全体をカバーできる通信網を構築する計画を進めている。  海外の一部地域では既にサービス提供が始まっており、日本ではKDDIがスペースXと業務提携し、22年をめどにKDDIの通信サービスでStarlinkの通信衛星を活用することを目指す。  固定回線や5Gでカバーされない地域への通信接続を可能にするほか、低い軌道を飛ぶ通信衛星を使うため、地上との距離が近く高速の通信ができるという。  スペースXで採用した素材や部品などもテスラの車にも採用できる。車両の強度や耐軽量化、耐熱性など過酷な宇宙空間で培った素材・材料開発の横展開も可能だ。  自前での急速充電の設備、自動運転用のスパコンなど、テスラは自動車以外の技術にも自信を持つ。自動車メーカーの枠にとらわれない総合的な開発力も、ものづくりで世界を席巻した日本の自動車業界をしのぐ可能性がある。 【図・写真】自動運転機能などをサブスクで利用できる

テスラ、日本車の「常識」変える、納車専門拠点や自前の充電網、ソフトで半導体不足解消。 2021/11/29  日経産業新聞  1ページ  2033文字  PDF有  書誌情報  米テスラが日本の自動車市場の常識を塗り替えようとしている。自前で超高速の充電網を広げるほか、「ソフトで稼ぐ」ビジネスモデルを構築したことが、日本の消費者にも浸透し始めた。足元ではソフトの不具合などテスラならではのトラブルも起こっているが、こうした課題を解消すれば、自動車王国・日本にとって大きな脅威となる。  東京・有明でテスラが11月18日に国内では初めてオープンした車両の引き渡し拠点では、オーナーを待つ45台の新車が並ぶ。「ユーチューブを見て予習してきた」と品川から新車を受け取りに来た男性は嬉しそうに話す。 納車時間は3分  他の客もスタッフとのやりとりは「2~3分で終わった」と言い、スマートフォンを片手に車内のタッチスクリーンを操作する人の姿が目立った。  平日でも20組ほどの受け渡しがあるというが、店頭ではサインのみ、後は客自身で設定するという納車風景だ。車が並び簡易な受付があるだけの殺風景な拠点だ。  国内メーカーでの新車の受け取りは、ディーラーの店舗で実施するのが一般的だが、テスラは異なる。国内の4店舗は主に試乗のための拠点だ。メーカーが直接販売するので、ユーザーは納車までパソコンなどで手続きを進める。  テスラのユーザーはインターネットで購入した後に、車を受け取りに向かうか、追加料金を払って家まで運んでもらうかを選択する。テスラは「ショールームは試乗、デリバリーセンターは受け渡しと役割を明確に分けて、業務を効率化している」と説明する。  ディーラー網の維持にかかる費用をテスラはユーザーに還元する。  その1つが値下げだ。米国から中国に生産地を変えたことに伴い、2月に「モデル3」の標準タイプを511万円から429万円に値下げした。国や自治体からの補助金を入れれば300万円台で購入できるようになったことで、販売拡大に火が付いた。  2021年1~9月の国内の販売台数は約3300台で、20年同期比で約3倍となった。同期間に約8000台を販売した日産自動車のEV「リーフ」を追いかける。国内のEVでのテスラのシェアは日産に次いで2位と日本の電動化をけん引する。  直販かつネット販売であるため、細かな値下げにも対応しやすい。最近になって国産メーカー各社もネット販売に乗り出しているが、ネット販売と店舗販売が共存する場合は、同じ車であっても購入方法によって価格に差が出るという「二重価格」問題が生じる。テスラは一物一価だ。 機能追加サブスク  メーカー直販によるユーザー還元の2つ目は自前で急速充電器を整備していることだ。テスラは自前の急速充電器「スーパーチャージャー」の設置を進めており、日本では20年12月以降、1基あたりの最大出力が250キロワットのタイプ「V3」を設置している。  スーパーチャージャーの設置箇所は日本で約40カ所、韓国では50カ所以上だ。日本の急速充電器の統一規格「CHAdeMO(チャデモ)」の充電器は、最大出力が50キロワットのものが大半だ。  CHAdeMO規格の充電器にテスラ車を30分〓ぐと、走行距離にして125キロメートル分充電できるが、スーパーチャージャーは同じ時間で最大250キロメートル分、V3ではわずか15分で最大250キロメートル分充電できる。充電するために「渋滞」することはない。  CHAdeMO規格にはトヨタ自動車や日産、ホンダなどが参加しており、国内メーカーのEVは同じ充電器から充電ができる。  しかし、公共の充電器の設置基数は減っている。ゼンリンによると、データのある13年から伸びてきたが近年伸び悩み、21年3月末時点では20年から約1000基減の2万9233基となった。  日本では経済産業省がEV充電器の設置に対して補助金を用意している。この制度には「保有義務期間」があり、設置から5年間の適切な管理、運用を義務付けている。EVの需要が高まるとみて充電器を設置したものの、稼働率が期待より低く5年の義務期間終了とともに撤去されるケースがあるという。  EVが普及せず充電器設置が進まず、充電器がないのでEVが普及しないという負のスパイラルに陥っている。世界では50キロワットの低出力のCHAdeMO充電器は日本だけだ。欧州では、統一規格である「Combined Charging System(CCS)」の350キロワット充電器の設置が始まっている。  さらにテスラはスマートフォンと同じように新しい機能を追加するごとに、サブスクリプション方式で課金する新たなビジネスモデルを取り入れている。これまで車両の機能を追加したりサービスを更新したりする際には車を買い替える必要があった。  GAFAなどIT(情報技術)企業と同様、ソフトで稼ぐ収益モデルが、新型コロナウイルス禍での半導体不足や顧客接点のあり方などで、自動車業界での競争力を左右する時代になる。 (臼井優衣、藤本秀文) ソフトで稼ぐ 高収益モデル 3面に続く

自動車メーカー信頼性調査…テスラは下から2番目、ただし満足度は1位

日産が今後5年間でEV開発に2兆円を投資へ、2030年度までに23車種の新型電動車投入 | TechCrunch Japan

EV Battery Prices Risk Reversing Downward Trend as Metals Surge

日産自動車、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表

早すぎた日産「リーフ」(DeepInsight) 2021/11/30  日本経済新聞 朝刊  7ページ  2121文字  PDF有  書誌情報 本社コメンテーター 中山淳史  電動車の「長期ビジョン」を29日発表した日産自動車。世界初の量産型電気自動車(EV)「リーフ」を販売し、先駆的な印象があったが、EV市場の序列は現在7位だと知って驚く。  リーフの発売は2010年。カルロス・ゴーン元会長をめぐる事件もあったが、この間、日産の7倍強もEVを売るトップ企業に躍り出たのは、11年前はスタートアップ企業だった米テスラだ。  2位から6位は中国、ドイツ、フランス、韓国企業が占める。一方で、米国では「EVスタートアップ」が相次ぎ株式公開し、アマゾン・ドット・コムが投資するリヴィアン・オートモーティブの時価総額は現在、日産やフォード・モーターを上回る。  「EVバブル」を指摘する声もあるが、リーフの11年間で日本車メーカーが世界に与えたイメージが脱炭素の先駆者(ファストムーバー)ではなく、波に乗り切れない追随者(スローフォロワー)に転じたことは残念だ。  タイミングの問題もあった。トヨタ自動車のハイブリッド車を意識したのか、日産は世界のEV市場を20年に1000万台と予想し、利幅は小さいが「ボリュームゾーン」とされるコンパクトカーで勝負を急いだ。実際の市場は200万台にとどまった。  既存事業が大きすぎて動けない「イノベーションのジレンマ」はよくある。だが、日産が陥ったのは、早すぎて市場がついてこられない「ファストムーバーのジレンマ」と言える部分がある。  荒木博行氏の著書「世界『失敗』製品図鑑」によれば、そうした現象は他の業種でも見られる。米ゼネラル・エレクトリック(GE)は企業向けIT(情報技術)プラットフォーム「プレディックス」、コカ・コーラも「ニュー・コーク」が「顧客がスピードについていけずに撤退・縮小を余儀なくされた」事例になった。  リーフを「失敗作」だと断じてはいないが、初めから規模を追い過ぎた戦略は誤りだった可能性がある。一度失速すると投資や研究開発で悪循環が始まり、巻き返しは難しい。巨大ビジネスの変革には勝負を仕掛けるタイミングが重要だということだ。  今はむしろ、その時かもしれない。脱炭素が世界共通の政策となり、技術もそろいつつある。現在の車載用電池の性能(エネルギー密度)は、11年前の約1・7倍。1回の充電で150キロしか走れなかった車が260キロまで走れる。あと10年もすれば、500キロ(全固体電池を利用)を走ることも夢ではないといわれている。  次の10年で市場は年間3000万台にまで拡大するとの見通し(ゴールドマン・サックス)もあるが、日本のメーカーはどうするだろう。最も積極的なのはホンダで、「2040年の脱ガソリン車」を表明している。  一方で、「30年度までに5割を電動化」とした日産を含め、日本企業の大半ににじむのはよく言えば、できることしか言わない律義さ、悪く言えば煮え切らなさだろう。早すぎたリーフの反動もあろうが、EVの比率が世界でまだ3%弱にすぎない以上、ガソリン車やハイブリッド車で稼げるだけ稼ぐ。性急な重心移動は危ない、との考え方が優勢だ。  各国メーカーも同じかといえばそうではない。日産と提携するルノーの母国フランスはEV比率が昨年、10%を超えた。仏政府は「35年のガソリン車販売禁止」と「原子力発電への一段のシフト」を決め、官民そろってEVへの決意を明確にする。  日本はどうか。「電源構成で火力発電の比率が75%以上あり、EVを増やしても脱炭素になりにくい」との声を業界から聞く。そういう背景からか、政府の経済対策で55兆円の支出が決まったが、EV関連で目立つのは充電スタンド整備のわずか400億円。桁違いの規模で充電拠点や送電網の整備を進めようとする米欧や中国とは、やはり覚悟が違う。  自動車産業が求めないのか、政府が気づかないのか。いずれにしても世界の趨勢に対し、日本だけがEVや再生エネルギーのうねりに気づかぬフリをしているように見えるのは、一つの事実だ。  出遅れが心配なのは、EV時代はハードウエア産業の上にIT産業が覆いかぶさる可能性が高いからでもある。電気はデジタルデータだ。ガソリン車時代と違いIT企業が参入しやすく、データを使った新産業が誕生する余地が大きい。各種調査機関によれば、将来はハードと同規模の「まだ見ぬ産業」が現在の自動車産業に乗っかるイメージだ。  立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は自動車新時代のバリューチェーンを10階層に分け、「10の選択肢」としてまとめる。ハードの支配とともに重要なのはOS(基本ソフト)やプラットフォーム、エコシステムの支配だが、今の日本車メーカーはEVをいつまでに何車種発売するか、の段階に議論はとどまる。  テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)のような人目を引くパフォーマンスを不得手とする「カルチャーのジレンマ」もあるだろう。すべてでファストムーバーである必要はないが、新しい技術と潮流に敏感なアーリーアダプター、スマートフォロワーといった戦術も使い分け、EV時代の強固なビジネスモデルを創る。そんな覚悟と一貫した戦略を世界に示してほしいものだ。

世界のEV投資40兆円、日産は5年で2兆円、インフィニティを専用ブランドに。 2021/11/30  日本経済新聞 朝刊  15ページ  1302文字  PDF有  書誌情報  日産自動車は29日、2026年度までの5年間で電気自動車(EV)など電動車の開発に2兆円を投じると発表した。30年度までに新車販売の5割を電動車にし、高級車の「インフィニティ」をEV専用ブランドにする。世界の車大手によるEV向け投資額は25年までに計40兆円に達する見込み。投資競争が激しさを増している。  「EVの車両コストをガソリン車と同等に引き下げ、本格普及につなげる」。同日開いたオンライン記者会見で内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)はこう強調した。  26年度までの5年間でハイブリッド車(HV)を含む電動車への研究開発費と設備投資の合計を2兆円にする。20年度までの約10年間で計1兆円を電動化に投じており、年間の投資規模を約4倍に引き上げる。  30年度までに電動車を車種ベースで5割以上(21年度見込みは1割)にする。EVは世界で15車種の新車をそろえ、HVを含めて23車種の電動車を販売する。米中などで販売するインフィニティは原則、ガソリン車やHVの販売をやめ、EVのみにする。  地域別の販売台数では26年度までに欧州で75%、中国で40%以上を電動車にする。日本では55%以上とし、米国では30年度にEVを4割にする。日産のEVの世界市場シェアは20年に3%。電動化に投資を集中して生き残りを目指す。  内田社長は同日、日本経済新聞の取材に対し「環境変化が激しく、普通に事業を進めていたら置いてきぼりになるような状況だ」と指摘した。  世界の自動車大手は相次ぎEVへの大型投資を打ち出している。トヨタ自動車は30年にEVと燃料電池車(FCV)を200万台販売し、車載電池に1兆5千億円を投じる。独フォルクスワーゲン(VW)も30年に5割をEVとし、25年までに350億ユーロ(約4兆5千億円)を投資する計画だ。  米コンサルティング会社のアリックスパートナーズによると、25年までの5年間で世界の車大手によるEVへの投資額は3300億ドル(約40兆円)に達する見込みだ。世界で環境規制が強まっており、20年時点の試算よりも4割増える。基幹部品の電池の増産や車両開発などへの投資が大きい。  国などもEVシフトを支援する動きが相次ぐ。米バイデン政権は消費者への購入補助などEVの振興に1740億ドル(約19兆円)を投じる計画だ。欧州連合(EU)も30年までに急速充電器の設置などに官民で150億ユーロを投資する。日本も購入の補助金など375億円を21年度の補正予算に盛り込む。  自動車は日米欧を中心に雇用や輸出の屋台骨を担う基幹産業だ。各国・地域ともメーカーと足並みをそろえてEVへの転換を急いでいる。  ただ、急激なEVシフトには雇用面での懸念も大きい。EVは複雑な加工が必要となるエンジンなどが不要になって部品数が半減する。国内の車部品メーカーで働く約70万人のうち、50年までに約1割の雇用がなくなるとの試算もある。  ドイツではVWやダイムラーなどがすでに工場従業員の整理を決めた。日本でもホンダがEVへの移行を見据えて2000人超の社員を早期退職で減らすことを決めた。(浅山亮、山田遼太郎)

車8社、世界生産25%減、10月、減産幅は縮小。 2021/11/30  日本経済新聞 朝刊  15ページ  807文字  PDF有  書誌情報  トヨタ自動車など国内の乗用車8社が29日にまとめた10月の世界生産台数は、前年同月比25%減の181万8千台だった。4カ月連続で前年同月を下回ったが、減少幅は9月の35%減から改善した。世界的な半導体不足や東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大による部品不足の影響は和らいでおり、減産幅は縮小傾向となった。  メーカー別では、トヨタの世界生産が26%減の62万7千台、日産自動車が22%減の30万4千台、ホンダが28%減の32万6千台だった。49%減の6万5千台だったマツダの落ち込みが最も大きかった。35%増の10万5千台だった三菱自動車は主要8社で唯一前年同月比で増加した。コロナ禍の影響で前年同月の生産が振るわなかったため、反動増となった。  8社の10月の国内生産は40%減の48万1千台で、3カ月連続で前年割れとなった。50%減だった9月と比べて、減少幅は縮小した。  各社は21年3月期に減産した分を挽回するため22年3月期は期初時点で増産計画を立てていた。だが東南アジアでのコロナの感染再拡大で都市封鎖が広がり、部品調達が滞ったことで計画比で大幅な減産が続いている。  トヨタは9月に続けて10月も国内全14工場で稼働を一時停止。10月の世界生産について、8月時点の計画に比べて4割減にあたる33万台減産すると発表したが、8万台改善し、計画比では3割減にとどめた。日産は10月の世界生産を9月時点の計画比で3割減らした。  部品不足の影響は足元では緩和しつつある。トヨタは「今後も部品不足の状況を注視しているが、最悪期は脱した」(広報部)としている。同社は11月の生産を9月時点の計画に比べて15%減としている。ホンダも同1割減まで減産幅が改善する見通し。  生産の遅れを挽回する動きは広がっており、トヨタは12月の世界生産を同月として過去最高となる約80万台とする予定。国内の全工場で通常稼働に戻る予定だ。

車載半導体、逼迫感薄れる、大手5社が9カ月ぶり在庫増、9月末。 2021/11/30  日本経済新聞 朝刊  3ページ  1057文字  PDF有  書誌情報  車載半導体の需給逼迫感が薄れてきた。ルネサスエレクトロニクスなど世界大手5社の9月末在庫総額は、生産能力の回復などを受けて9カ月ぶりに増加に転じた。高水準の需要が続き先行き不透明感は残るものの、今夏までのような逼迫状況は和らぎつつある。自動車生産の回復を下支えしそうだ。  車載半導体5社の期末在庫(棚卸し資産)の増減率を縦軸に、売上高の増減率を横軸にとり在庫循環図を作製した。  2020年10~12月期以降、売上高は大幅に増えたが在庫は伸び悩んだ。需要急増に生産が追いつかず、在庫を取り崩し供給を続けてきた。四半期ごとの在庫循環の移動も通常とは逆方向の時計回りが続いた。  ところが21年7~9月期に反時計回りに反転した。在庫が前年同期比0・7%増と3四半期ぶりに増加し、5社中4社の在庫が前年同期の水準を上回った。  在庫を積み増せなかった要因として、1つは寒波や火事、東南アジアでの感染拡大をうけた工場の稼働停止があった。製造ライン再開から出荷まで工数が多く、生産回復に時間を要した。  2つめはファウンドリー(製造受託企業)の生産能力だ。足元では自動車メーカーの要請などを受け車載半導体に生産能力を振り向けているファウンドリーだが、当初は利幅の大きいスマートフォンなどの生産に重点を置いていた。  最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の魏哲家・最高経営責任者(CEO)は「第3四半期(7~9月期)から自動車メーカー向けの供給不足が大幅に解消されると考えている」と話す。  今後の車載半導体の需給はどうなるのか。  独の自動車部品大手、コンチネンタルのウォルフガング・シェーファー最高財務責任者(CFO)は「半導体不足の最悪期は脱した」とみる。  ただ需給逼迫による品不足リスクが払拭されたとは言い難い。  自動車各社は7~9月に減産した分の挽回生産に取り組む考えで、当面は車載半導体の旺盛な需要が続く。ルネサスの片岡健執行役員は「自動車メーカーの在庫水準は歴史的な低さ」と話す。  トヨタ自動車が29日に発表した10月の世界生産台数は前年同月比25・8%減の62万7千台と当初の生産計画(約88万台)と比べて3割減った。英調査会社オムディアの南川明氏は「(車載半導体の)不足解消は22年春ごろだろう」と話す。  今後、需要に応じて在庫が増え在庫循環の反時計回りが続けば、需給はより正常化に進むと言える。逆に、高水準の需要の中、在庫が減少し時計回りとなれば半導体不足が再び深刻さを増していると読める。半導体需給は予断を許さない。

百度が23年に発売予定のEV、米クアルコム半導体を採用: 日本経済新聞

10年後にはクルマが普通に空を飛ぶ社会へ。空飛ぶクルマの現在と未来|KINTOマガジン

インフレ無風のアジア――コロナ対策、米欧より緩やか(FINANCIALTIMES) 2021/12/01  日本経済新聞 朝刊  6ページ  2530文字  書誌情報 アジア・エディター ロビン・ハーディング  世界中で物価が劇的に上昇している。ただし、急騰していない地域もある。消費者物価指数(CPI)が前年同月比でそれぞれ6%、4%上昇している米国と英国の物価高騰は、中央銀行による悲惨な過ちと1970年代の慢性的インフレに回帰する不安を引き起こしている。  だが、アジアの大半の地域では、物価は落ち着いている。この違いは、現在と将来にわたる経済政策の教訓になるはずだ。  中国では、CPIが前年同月比で1・5%上昇する一方、日本ではいつも通り、インフレ率はほぼゼロだ。オーストラリアでは、CPIが3%上昇したかもしれないが、2・1%の「刈り込み平均値」(変動が大きい品目を除いたコアインフレ率に相当)は同国中銀のインフレ目標の下限に近い。  欧州と南米の多くの国でインフレ率が5%を上回っているのに対し、アジアの大きな新興国で同水準の物価上昇が起きているのはスリランカとパキスタンの2カ国だけだ。東京や北京、ジャカルタからながめると、世界的な物価上昇は世界的なものにはみえない。  しかも、アジアはエネルギー資源を大量に輸入しており、世界のどの地域とも同じように石油、天然ガス、石炭、その他市況商品が高騰しているにもかかわらず、物価はそれほど上昇していない。  アジアの物価上昇が緩やかで深刻でない理由は、結局のところ、1つのシンプルな要因に行き着く。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)への対応が比較的うまくいったからだ。  アジアの大半で、各国は強制的なロックダウン(都市封鎖)を避けたり(一例が韓国)、その対象地域と期間を限定したりした(中国と台湾)。あるいは、2021年に入ってワクチンが手に入るようになるまでロックダウン緩和を先送りした国もあった(ニュージーランド)。  世界的にみると相対的に成功したといえるアジアでその結果が現在、いくつかの形で姿を現している。需要をみると、欧米諸国ではロックダウンを繰り返し、そのたびに消費がサービスからモノにシフトしては反転することがたびたび起きた。  しかし、アジアではそうした劇的な消費の振れが少なかった。自宅にずっと閉じ込められることがなかったために、消費者は室内ランニング器や新しいテレビ、裏庭に積み上げるほど木材などを買う必要性を感じなかったのだ。  一方、定期的な散髪や歯科検診、友人との飲み会も続けることができたため、経済活動が再開した時に、美容院や歯科医、一番近いバーへ駆けつける必要もなかった。  また、アジアの人は概して、経済が再開した時に欧米人より慎重だった。  例えば日本では、日銀の黒田東彦総裁が最近の講演で指摘したように、高齢世帯が消費のほぼ4割を占める。だが、日本の年金生活者は今、ワクチン接種がほぼ済んでいるにもかかわらず、高齢者のサービス消費はまだ平時のレベルに戻っていない。ましてやパンデミック後の消費ブームはみられない。  需要の増減の振れが小さいことは、供給への圧力が小さいことを意味する。だがコロナ禍は、アジアが製造業で世界的に優位にあることの影響も浮き彫りにした。アジアは世界のモノの大半を作っているため、比較的容易に供給を確保できるのだ。  英調査会社キャピタル・エコノミクスのギャレス・レザー、マーク・ウィリアムズ両氏は最近のリポートで、こうした要因について説明している。  例えば、コロナの感染急拡大以来、中国から欧州へコンテナを1個運ぶ輸送料が5倍に高騰したのに対し、アジア域内の輸送料の上昇は2倍にとどまっている。  コロナ禍で工場が閉鎖されても、アジア企業は地域内におけるサプライヤーの選択肢がかなり多く、おかげで供給の混乱は小規模にとどまった。  自動車産業では、韓国と中国は自国メーカーが供給不足の半導体を優先的に確保できるようにした。米国では、自動車価格の上昇率が2ケタに及んだが、東アジアでは、ほとんど上昇していない。  アジアと米国の最大の違いの一つは、労働力の供給だ。新型コロナの感染が急拡大した際、米国では多くの労働者がレイオフ(一時解雇)されたほか、学校閉鎖の影響を受けた子供の面倒をみるために退職したり、コロナ感染を避けるために仕事を辞めたりした。  これが、労働供給に長期にわたる影響を及ぼした。米国と英国では、この労働者不足が賃金を押し上げており、インフレ懸念の大きな理由になっている。  アジアでは、このような加速度的な賃金上昇の兆しがほとんどみられない。ロックダウンの回避(あるいは、封鎖の最悪期を通して従業員の雇用を守るための人件費助成の利用)は、ロックダウン全体の傷痕を小さくした。  オーストラリアとニュージーランドでは、労働参加率が過去最高レベルで推移している。日銀の黒田氏は、「労働保蔵により、日本企業は経済活動の再開に伴う需要の増加に対しても供給を素早く増やす能力を維持している」と語った。  目先のインフレを心配する必要がないため、アジア諸国の中銀は景気回復に注力できる。ニュージーランドや韓国など金利を引き上げている国は、経済が完全雇用状態にあり、景気の過熱を恐れているため、あるいは金融の安定性への懸念があるために利上げした。  オーストラリア準備銀行(中銀)は、22年に利上げする見通しはないと断言している。日銀はいつものごとく、今後しばらくは、利上げする見込みがまったくない。  欧州と米州の中銀からみれば、欧米などのインフレがパンデミックからの混乱によって起きたとの見方はアジアの経験を加味するとさらに説得力が増す。  現在起きている混乱はそのうち治まるはずだ。だが、米欧の中銀はアジアの中銀ほど安穏とはしていられない。賃金上昇が加速すれば、インフレ圧力は一時的なものから持続的なものになるからだ。コロナ禍で各国が下した決断は、異なる様々な結果をもたらした。物価への影響が今、明白になりつつある。(11月26日付)

インド、電動二輪市場沸く――大気汚染で環境意識向上(ASIAトレンド) 2021/12/01  日本経済新聞 朝刊  10ページ  1100文字  PDF有  書誌情報  インドで電動二輪市場を巡る動きが活況だ。現在はガソリン車が圧倒的な割合を占めるが、燃料高などを背景に、各社が相次ぎ普及に向けてアクセルを踏む。大気汚染が深刻ななか、環境意識の高まりも追い風となっている。  商都ムンバイに住むテジャス・ラネさん(27)はこれまでホンダの二輪車などに乗ってきたが、最近になって電動二輪の購入を検討するようになった。「理由は明白で、ガソリン価格の上昇。それに電動車の購入で、環境汚染の軽減に少しでも貢献したいんだ」  インドは世界最大の二輪市場だ。2020年度の国内販売は新型コロナウイルスの影響により19年度比で減少したものの、1500万台を超えた。電動二輪の普及率は1%にも満たないが、インドの格付け会社ICRAによると25年には8~10%にまで高まる見通しだ。  四輪車の電動化では車両価格の高さや充電インフラなど、普及に向けた課題は多い。一方で電動スクーターや三輪については政府の補助金などもあり「すでに従来の(ガソリン)車両と同等の総保有コストを達成している」(ICRA)。  21年は大手・新興企業ともに電動車を巡る取り組みが目立った。二輪の地場大手であるバジャジ・オートとTVSモーターがそれぞれ、電動二輪事業を担う新会社を設立すると発表した。TVSは電動二輪に100億ルピー(約150億円)を投じて、ラインアップを増やしていく見込みだ。ホンダは10月に、電動三輪タクシー向けの電池シェアリング事業を22年から始めると発表している。  新興企業で注目を集めたのは配車サービスを手がけるオラのグループ企業であるオラ・エレクトリック・モビリティーで、240億ルピーを投じて南部タミルナド州での大量生産体制の構築を進めている。  同社のバルン・デュベイ最高マーケティング責任者(CMO)は「需要は多く、いかにインドの消費者が電動車を受け入れる準備ができているかを物語っている」と胸を張る。同社は消費者と電動車の接点拡大に向けて、12月中旬までに試乗会をインド国内1000カ所以上で開く方針だ。  インドではモディ首相が第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で、70年までに温暖化ガス排出を実質ゼロにする目標を発表した。首都ニューデリーでは最近、新型コロナウイルスではなく大気汚染対策としてロックダウン(都市封鎖)が検討されたほどだった。環境意識の高まりとメーカーの相次ぐ投資で、22年以降の二輪市場の光景は急変しそうだ。

理想汽車(中国)――SUV好調、先行きも期待(アジア注目銘柄) 2021/12/01  日本経済新聞 朝刊  10ページ  331文字  PDF有  書誌情報  30日の香港株式市場で、中国電気自動車(EV)の理想汽車(リ・オート)が上昇した。前日比で4・8%高となる場面もあった。29日の取引終了後に発表した2021年7~9月期決算は売上高と最終損益がともに市場予想を上回った。利益率の改善や強気な見通しも好感され、買いにつながった。  7~9月期の累計出荷台数は前年同期の2・9倍に膨らんだ。SUV(多目的スポーツ車)「理想ONE」の21年モデルの出荷比率が高まり、平均販売価格が上昇。売上高総利益率が3・5ポイント改善した。  10~12月期については、出荷台数が前年同期の2・1~2・2倍、売上高が2・1~2・3倍になりそうだとした。月間で過去最高だった8月を上回る出荷ペースが続く見通しだ。

パナソニック、欧州での電池共同事業を断念。 2021/12/01  日本経済新聞 朝刊  14ページ  284文字  PDF有  書誌情報  パナソニックはノルウェーのアルミ大手ノルスク・ハイドロやエネルギー会社エクイノールと進めていた欧州での電池共同事業の検討作業を打ち切った。2020年に市場調査を始め、工場新設も視野に電気自動車(EV)向けなどで現地の供給先を探っていた。パナソニックは「今後も北米を中心に欧州を含むグローバルであらゆる可能性を検討する」としている。  ハイドロが現地時間の29日に「ノルウェーや欧州連合(EU)域内で進めている(事業拠点となる)候補地の選定プロセスは打ち切る」と明らかにした。調査を終了した理由についてパナソニックは「覚書(MOU)の有効期間が終了したため」と説明する。

リチウムイオン電池価格、22年は上昇へ 21年は6%減: 日本経済新聞

上小阿仁村 自動運転サービス開始2年も利用者数は低迷続く|NHK 秋田県のニュース

テスラ

賃上げ要求を職種・階級別に、トヨタ労組、「脱一律」鮮明。 2021/12/02  日本経済新聞 朝刊  1ページ  491文字  PDF有  書誌情報  トヨタ自動車労働組合は2022年の春季労使交渉で賃上げの要求方式を見直す。従来の全組合員平均で要求額を出す方式は廃止する。代わりに、職種や階級ごとに細分化して要求する執行部案をまとめた。  トヨタの労使交渉は「脱一律」の流れが鮮明となる。大企業の多くの労組が取り入れる組合員平均による要求を止めることで賃上げ相場のけん引役だったトヨタの役割がさらに薄れるのは必至。他の企業の賃上げ交渉にも影響を与えそうだ。  変更理由についてトヨタ労組は「(個々の組合員の)水準をわかりやすくし、組合員が当事者意識を持ちやすくするため」(幹部)と説明した。  要求内容は22年2月に正式決定する。見直し案では賃上げのベースアップ(ベア)や定期昇給が含まれる額を職種や階級ごとに要求する。例えば「事務職の指導職クラス」「(生産現場が中心の)技能職の中堅クラス」といった職種・階級ごとに要求額を出す。具体的な額は今後決める。  21年春の交渉ではトヨタ労組は全組合員平均で9200円の賃上げを要求し、会社側から満額回答を得た。ベアの要求額は19年春から非開示。組合側は22年春もベアの要求額は示さない方針だ。